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ワインガイド Vinotier
日本のワイナリー

酒井ワイナリー

sakai / 創業 1892年
産地
山形県南陽市
訪問
試飲・ショップ
代表銘柄
名子山・バーダップ
どんなワイナリー?

酒井ワイナリーは、1892(明治25)年に醸造を始めた山形・南陽市赤湯の家族経営の蔵です。山形県の観光サイトやGI山形の公式サイトでは「東北最古のワイナリー」と紹介されています。創業者は酒井家十六代目の酒井弥惣。赤湯温泉の中心に蔵を構え、濾過も清澄もしない昔ながらの造りを続けています。自社畑は名子山・十分一山・大洞山など5区画。現在は酒井家二十代目、ワイナリーとして五代目の酒井一平が代表を務めます。

この記事の目次

赤湯温泉の真ん中で、130年

酒井ワイナリーは、山形県南陽市の赤湯温泉の中心に蔵を構える、家族経営のワイナリーです。醸造を始めたのは1892(明治25)年。山形県の観光サイトやGI山形の公式サイトでは「東北最古のワイナリー」と紹介されています。

創業者は、酒井家十六代目の当主・酒井弥惣。公式サイトによれば、弥惣は1864年に赤湯村に生まれ、1887年に赤湯の鳥上坂(とりあげざか)にぶどう園を拓き、1892年、27歳でぶどう酒の醸造に乗り出しました。のちの1908年から1924年まで赤湯町長も務めています。蔵には、明治35年ごろの醸造免許の申請書類がいまも残っているそうです。

2004年に代替わりし、現在は酒井一平氏が代表を務めます。酒井家としては二十代目、ワイナリーとしては五代目。東京農業大学で醸造を学んだと、複数のメディアが紹介しています。

ぶどうの里・南陽

南陽市は、市の公式サイトによれば「山形県でのぶどうの発祥の地と言われ」る土地で、ワイン造りは明治の半ばまでさかのぼります。JA山形おきたまによれば、ぶどう栽培は江戸時代に現在の南陽市金山地区の大洞山で始まり、明治期には県令の三島通庸が栽培を奨励しました。この地方はいまもデラウェアの大産地です。

市内のワイナリーは6社(市の公式サイト)。酒井ワイナリーのほか、須藤ぶどう酒(紫金園)、佐藤ぶどう酒(金渓ワイン)、大浦葡萄酒、グレープリパブリック、YellowMagicWineryが並びます。2016年11月には「ぶどうの里なんようワイン特区」に認定され、小さな醸造所を開きやすくなりました。

山形県全体では、2021年6月30日に地理的表示「GI山形」が指定されています。GI山形の公式サイトによれば、酒井ワイナリーも2022年2月に3銘柄でGI山形の認定を受けました。

5区画の自社畑

公式サイトが紹介する自社畑は、次の5区画です。

  • 名子山(なごやま)375a——鳥上坂の北側、南東向きの砂礫質の畑。収穫量はいちばん多い
  • 十分一山(じゅうぶいちやま)105a
  • 大洞山(おおほらやま)90a——岩の多い土地
  • 上野(わの)60a——凝灰岩の砂礫質
  • 金沢(かねざわ)25a

合計は約6.5ヘクタール。借りている畑を含めると7.5ヘクタールとする販売店の資料や、「自社畑15か所」と書く商品ページもあり、数え方で数字は変わります。山形県の観光サイトは、鳥上坂の自社畑を急傾斜で砂礫質、2004年に新たに開墾したと紹介しています。

育てる品種は、マスカット・ベーリーAとブラック・クイーン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、デラウェア、甲州など。マスカット・ベーリーAとブラック・クイーンは、どちらも新潟の川上善兵衛が交配した日本生まれの品種です(第69講 交配品種とクローン完全編)。畑の下草を牧草として刈り、それを食べた羊の糞を堆肥にして畑に戻す取り組みも、公式の商品ページで紹介されています。

濾過しない、清澄しない

酒井ワイナリーの造りでよく知られるのが、濾過も清澄もしないことです。販売店の資料によれば、蔵には創業当時から濾過用のフィルターがありません。タンクの中で澱を沈め、上澄みを静かに移して瓶詰めします。

発酵は野生酵母で、亜硫酸(酸化防止剤)はごく少量。公式通販では、「バーダップ白2024」「尉鶲(じょうびたき)2024」「バーダップ赤 sans SO2」など、亜硫酸を加えていないと明記された銘柄もあります。濾過や清澄が味にどう影響するかは、第47講 醸造完全編で詳しく扱っています。

主な銘柄と価格

価格は公式通販の税込価格です(2026年9月時点。完売の銘柄を含む)。

  • 名子山——自社畑「沢」に混植したカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを中心に混醸したフルボディの赤。2019年は4,840円(完売)
  • マスカットベーリーAブラッククイーン——大洞山・芳香園・沢の自社畑のぶどうを樽で24か月熟成。2022年は3,300円
  • 赤湯——ミディアムからフルボディの赤。2024年は4,400円
  • バーダップ——鳥上坂(bird+up)の名を冠したシリーズ。南陽市産のデラウェアなどを使う白の2024年は2,530円
  • 小姫——デラウェアのやさしい甘口。2025年は2,200円。微発泡の「小姫○(あわ)」は2,970円
  • 鳥の名のシリーズ——尉鶲、鶫、四十雀、百舌、翡翠など。2,750〜3,850円
  • まぜこぜワイン——赤と白、720mlで2,200円。1800mlもある

旧版の本ページで「一番人気の赤『鳥上坂』」と紹介していましたが、現在の公式の商品一覧に「鳥上坂」という名の銘柄はありません。鳥上坂にあたるのは「バーダップ」のシリーズです。

訪ねるなら

所在地は山形県南陽市赤湯980。JR赤湯駅から車で約5分(山形県の観光サイト)、駐車場は6台です。営業は平日13:00〜16:00、土日10:00〜16:00(12:00〜13:00は休憩)、水曜が定休で不定休もあります。店頭で試飲と購入ができますが、試飲の料金や醸造所の見学については公式サイトで確認できませんでした。出かける前に電話(0238-43-2043)で確かめると安心です。

温泉街の中にあるので、赤湯温泉に泊まって歩いて訪ねるのがいちばん気楽です。試飲をするなら運転は避けましょう。同じ置賜地方の高畠ワイナリー、山形市に近い上山のタケダワイナリーと組み合わせれば、山形のワインの古さと新しさを一度にたどれます。

よくある質問

酒井ワイナリーはどんなワイナリー?
1892年に醸造を始めた、山形・南陽市赤湯の家族経営のワイナリーです。山形県の観光サイトやGI山形の公式サイトでは「東北最古のワイナリー」と紹介されています。創業者は酒井家十六代目の酒井弥惣で、1887年に赤湯の鳥上坂にぶどう園を拓き、5年後に醸造を始めました。
いまの当主は?
2004年に代替わりした酒井一平氏が代表取締役です。公式サイトによれば、酒井家としては二十代目、ワイナリーとしては五代目にあたります。東京農業大学で醸造を学んだと複数のメディアで紹介されています。
どんな造りが特徴?
創業当時から濾過用のフィルターを持たず、濾過も清澄もせずに瓶詰めする造りが知られています。発酵は野生酵母で、亜硫酸(酸化防止剤)はごく少量。公式通販では「バーダップ白」や「尉鶲」など、亜硫酸を加えていないと明記された銘柄もあります。
「鳥上坂」と「バーダップ」の関係は?
鳥上坂(とりあげざか)は、創業者の弥惣がぶどう園を拓いた赤湯の地名です。「バーダップ(BIRDUP)」はその名を英語に置き換えたもので、鳥=bird、上=upから来ています。公式サイトの名前も「BIRDUP WINE 酒井ワイナリー」です。
代表的な銘柄と価格は?
カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー中心のフルボディの赤「名子山」(2019年は税込4,840円、完売)、自社畑のマスカット・ベーリーAとブラック・クイーンを樽で24か月熟成した赤(2022年は税込3,300円)、赤「赤湯」(2024年は税込4,400円)、デラウェアの甘口「小姫」(2025年は税込2,200円)などがあります。価格は2026年9月時点の公式通販のものです。
自社畑はどこにある?
公式サイトでは、名子山(なごやま、375a)、十分一山(105a)、大洞山(90a)、上野(60a)、金沢(25a)の5区画を紹介しています。いちばん広い名子山は鳥上坂の北側にある南東向きの砂礫質の畑です。借りている畑を含めた面積は資料によって異なります。
試飲や購入はできる?
店頭で試飲と購入ができます(試飲が有料か無料かは未確認)。営業は平日13:00〜16:00、土日10:00〜16:00で、12:00〜13:00は休憩、水曜が定休です。公式サイトでの注文は24時間受け付けていますが、定休日はメールの返信と発送が休みになります。
アクセスは?
所在地は山形県南陽市赤湯980。山形県の観光サイトによれば、JR赤湯駅から車で約5分、駐車場は6台です。赤湯温泉の温泉街の中にあるので、温泉と組み合わせて訪ねやすい蔵です。

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最終更新: 2026-09-25 / 編集: Vinotier編集部