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ワインガイド Vinotier
日本のワイナリー

サンクゼール・ワイナリー

st-cousair / 創業 1990年
産地
長野県飯綱町
訪問
見学ツアー・試飲・ショップ・レストラン・カフェ
代表銘柄
サンクゼールシャルドネ・長野シャルドネ
どんなワイナリー?

サンクゼール・ワイナリーは、斑尾高原のペンションで生まれた手作りジャムを原点とする造り手(創業1979年・会社設立1982年)。1988年に旧三水村(現・飯綱町)の丘へ移って初仕込みを行い、1990年にワイナリーとショップが完成しました。北信州の「サンクゼールの丘」にワイナリー・ショップ・レストラン・チャペルが集まり、看板はシャルドネとシードル。和の食品ブランド「久世福商店」を展開する株式会社サンクゼールの原点でもあります。

この記事の目次

ジャムから始まった物語

サンクゼールの話は、ワインではなくペンションから始まります。1975年、久世良三氏が長野・新潟県境の斑尾高原でペンションの経営を始めました。そこで妻のまゆみ氏が作っていた手作りジャムが宿泊客のあいだで評判になり、1979年、ジャムの製造販売に乗り出します。公式には、この年の6月1日が創業です。

1982年6月、中野市で株式会社斑尾高原農場を設立。サンクゼールという社名になるのはずっと後の2005年10月で、それまでの会社は「斑尾高原農場」でした。昔の話を「サンクゼール社が〜」と書くと、実は少し時代が合いません。

旧三水村の丘へ——1988年の初仕込み

ジャムの工房がワイナリーになるまでには、十年近い準備がありました。1985年に三水村(現・飯綱町)で本社・工場・農園をつくる計画が動き出し、1986年には村が百周年記念事業の一環として企業誘致を決定。1987年に約16,000平方メートルの土地を取得して工事に入ります。

1988年4月に建物が完成して移転し、同時にワインの試験製造免許を取得。同年10月に初仕込みを迎えました。翌1989年にはレストランを開き、ぶどうを育てる農業生産法人も立ち上げます。そして1990年、「サンクゼール」ブランドが発足し、ワイナリーと売店が完成——いまの「サンクゼールの丘」の骨格がここでそろいました。果実酒の製造免許を取ったのは1994年6月です。

「何年創業」の数字が揃わない理由。 紹介記事によって1979年・1982年・1988年・1990年と数字がばらつきますが、どれも公式の沿革に根拠があります。1979年=ジャムで創業、1982年=会社設立、1988年=ワインの初仕込み、1990年=ブランド発足とワイナリー完成。この記事では、ワイナリーとしての区切りを1990年として扱っています。

三つのヴィンヤード

丘の周りには、公式サイトが紹介する三つのヴィンヤードがあります。

  • 大入(おおいり)ヴィンヤード——標高約650mの丘陵地で、面積は約7ha。畑の中心です。
  • チャペルヴィンヤード——レストランの目の前に広がる急斜面の畑。後述の赤ワイン「チャペルヴィンヤードプラス」の名の由来です。
  • 戸谷峰(とやみね)ヴィンヤード

合わせて約10ha。ただし実際に植わっているのは約3.5ha・約12,000本で、最大15,000本まで植える余地を残しています。看板品種はシャルドネです。北信の冷涼な丘で、酸を保ったまま熟すことをねらった選択だと考えられます(栽培の一年の流れは第59講)。

面積は公式の数字で。 外部のワイン紹介サイトには「自社畑6ha」とする記載があり、また栽培品種の一覧も資料によって顔ぶれが違います。公式サイトに品種の一覧はないため、この記事では公式に明記された「三つの畑・計約10ha・植栽約3.5ha」と、看板がシャルドネであることだけを確かな情報として扱います。

ワインとシードル——ラインナップの見取り図

公式のワインリストを眺めると、サンクゼールの造りは大きく四つの系統に分けて見ると整理しやすくなります。

  • シャルドネの系統——サンクゼールシャルドネ、長野シャルドネなど。シャルドネは国際コンクール「シャルドネ・デュ・モンド」でも評価され、2025年にはサンクゼールシャルドネNVが金賞と世界トップ10入り(同社によれば、トップ10で唯一の日本ワイン)、2023年と2026年には長野シャルドネが金賞を受けています。
  • 赤とブレンド——長野ルージュ、チャペルヴィンヤードプラス、サンクチュアリー、ザイオンなど。チャペルヴィンヤードプラス2018は、2022年の国際女性審査員コンクール「フェミナリーズ」で金賞を受けました。
  • 香りの白と北米系品種——ナイアガラを使ったナイアガラブラン、ケルナー、そして長野県の伝統品種・竜眼を使った微甘口の白「長野竜眼」。ロゼのキャンベルローズもあります。
  • 泡とりんご——スパークリングのほか、飯綱シードル(ブラムリー&ふじ/ふじ&高坂)やいいづなアップルブランデー。飯綱町はりんごの産地で、2013年2月にはサンクゼールのシードルが長野県原産地呼称の認定を受けています。飯綱シードル ブラムリー&ふじ2022はジャパン・シードル・アワード2023で最高評価の五つ星(大賞)でした。
ナイアガラブランのぶどうは北海道産。 日本ワインコンクールで2019年・2025年に部門最高賞、2026年に金賞と部門最高賞を重ねているのがナイアガラブランですが、2025年ヴィンテージは北海道産ナイアガラ100%と同社が発表しています。「長野のナイアガラ」と思い込まずに、産地を気にするなら裏ラベルを確認してください。長野県産ぶどうにこだわるなら、名前に「長野」が入った銘柄が目安になります。

日本ワインコンクールでの足跡

公式サイトの受賞一覧から、日本ワインコンクール(旧・国産ワインコンクール)の主な結果を年代順に抜き出すと、造りの軸がよく見えます。

年ワイン結果
2005サンクゼールシャルドネ2003銀賞
2011サンクゼールシャルドネ2008銀賞
2016・2017ナイアガラブラン2015・2016銀賞
2019ナイアガラブラン2018銀賞・部門最高賞・コストパフォーマンス賞
2022サンクゼールシャルドネ2019/サンクチュアリー2019/長野シャルドネ2019各銀賞
2025ナイアガラブラン2024銀賞・部門最高賞・コストパフォーマンス賞
2026ナイアガラブラン2025金賞・部門最高賞

シャルドネで20年以上評価を積み、ナイアガラでは部門の頂点を何度も取っている——欧州系と北米系の両方で結果を出しているのが、この造り手の特徴です。日本ワイナリーアワードでは2026年に四つ星を得ています。

丘まるごと楽しむワイナリー

丘にはサンクゼール・ワイナリー本店、1989年開業のワイナリーレストラン・サンクゼール、デリカテッセン、そして2005年に自分たちの手で建てたという白いサンクゼールチャペルが点在し、北信五岳を望むロケーションごと楽しめる造りになっています。

  • 無料ワイナリーツアー:11:00/13:30/15:00、約15分、各回10名まで。予約不要で、本店で整理券を受け取る方式。
  • 有料ツアー(要予約):3種を試飲するテイスティングツアー(約1時間・2,200円)、ガーデンランチ付き(約2時間・4,400円〜)、レストランランチ付きの半日コース(約3.5時間・6,000円〜)など。
  • 本店:平日9:00〜17:00、土日祝9:00〜18:00。ワイン、シードル、ジュースの試飲ができます。
  • レストラン:ランチ11:00〜15:00。定休日は月ごとに変わるので、公式サイトのカレンダーで確認を。

いずれも時期によって変わることがあるため、出発前に公式サイトを見ておくのが安心です。ワイナリーを訪ねるときの基本的な段取りは第51講にまとめています。

北信州ドライブの目的地に——アクセス

車なら長野市中心部から国道18号で北へ約40分、上信越自動車道の信州中野ICから約12分。電車なら長野駅から牟礼(むれ)駅まで約20分、そこからタクシーで約5分です(長野〜牟礼間はしなの鉄道北しなの線)。ワインを飲むなら、電車とタクシーの組み合わせが現実的です。

ヴィラデスト(東御)やマンズワイン小諸が千曲川沿いの東信の顔なら、サンクゼールは北信の顔。食とワインの「買って・食べて・飲んで」が一か所で完結するので、家族連れのワイナリー入門にも向いています。

本社は信濃町へ。 古い資料ではサンクゼールの本社所在地を飯綱町芋川としていますが、現在の会社概要では本社(JAPAN Head Quarters)は信濃町の「サンクゼールの森」です。ワイナリーと丘の施設は、引き続き飯綱町芋川にあります。訪ねるときは飯綱町の丘へ。

よくある質問

サンクゼールと久世福商店の関係は?
どちらも<strong>株式会社サンクゼール</strong>の事業です。1975年に斑尾高原でペンションを始めた久世良三氏と、妻・まゆみ氏の手作りジャムが原点で、1982年に「株式会社斑尾高原農場」として法人化、2005年10月に現社名へ変わりました。和の食品を扱う<strong>「久世福商店」は2013年12月</strong>に誕生した同社のブランドです。会社は2022年12月に東証グロース市場へ上場しており、現在の代表取締役社長は久世良太氏です。
見学はできる?
できます。<strong>無料のワイナリーツアーは11:00・13:30・15:00の1日3回</strong>、約15分で各回10名まで。予約は不要で、本店で整理券を受け取ります。3種を試飲する<strong>テイスティングツアー(約1時間・2,200円)</strong>や、ランチ付きの半日コースなどの有料ツアーは要予約です。内容や時間は変わることがあるので、出かける前に公式サイトで確認してください。
どんなワインが楽しめる?
看板はシャルドネで、<strong>サンクゼールシャルドネ</strong>や<strong>長野シャルドネ</strong>が中心です。ほかに赤の長野ルージュ、ナイアガラブラン、ケルナー、スパークリング、長野県の伝統品種・竜眼を使った微甘口の白「長野竜眼」なども造られてきました。りんごの産地らしく<strong>飯綱シードル</strong>やアップルブランデーもあり、ワインとシードルの両方を丘のショップで試せます。
サンクゼールは何年創業? 1982年? 1990年?
数字が複数あるのは、指しているものが違うからです。公式の沿革では<strong>創業1979年6月(ジャムの製造販売を開始)</strong>、<strong>会社設立1982年6月(株式会社斑尾高原農場)</strong>。<strong>1988年4月</strong>に旧三水村(現・飯綱町)の新社屋へ移ってワインの試験製造免許を取り、<strong>同年10月に初仕込み</strong>。サンクゼールのブランド発足とワイナリー・売店の完成は<strong>1990年</strong>です。「1990年創業のワイナリー」と「1979年創業の会社」は、どちらも間違いではありません。
ナイアガラブランは長野のぶどう?
<strong>ナイアガラブラン2025は北海道産ナイアガラ100%</strong>と、同社の発表で明記されています。サンクゼールの白といっても、すべてが自社畑や長野県産のぶどうではありません。産地にこだわって選ぶなら、「長野シャルドネ」のように<strong>名前に産地が入った銘柄</strong>か、裏ラベルの原料表示を確認するのが確実です。なおこのナイアガラブラン2025は、日本ワインコンクール2026の北米系等品種白部門で金賞・部門最高賞を受けています。
自社畑はどれくらい?
公式サイトによると、<strong>大入(おおいり)・チャペル・戸谷峰(とやみね)の三つのヴィンヤード</strong>を持ち、合わせて約10ha、そのうち<strong>植栽済みは約3.5ha・約12,000本</strong>(最大15,000本まで植えられる計画)です。中心の大入ヴィンヤードは標高約650mの丘陵地で約7ha。外部サイトには「6ha」とする記載もありますが、ここでは公式の数字を採っています。

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最終更新: 2026-09-13 / 編集: Vinotier編集部