りんごの加工場から、安曇野のワイナリーへ
スイス村ワイナリーは、北アルプスを望む安曇野市豊科南穂高にあります。運営する株式会社あづみアップルの会社概要をたどると、始まりはワインではなくりんごでした。1988年(昭和63年)、地元農家のりんごを加工する施設として、梓川村(現在の松本市)が「梓川村ジュースセンター」を設立。1989年5月、あづみ農業協同組合がその業務を引き受けて株式会社あづみアップルを設立し、りんごジュースの受託加工を始めます。
ワイナリーとしての出発点は1997年4月です。新工場が完成し、本社を梓川村から豊科町南穂高(現在の安曇野市)に移して醸造免許を取得、果実酒と果実飲料の製造販売を始めました。資本金は1,000万円、株主はあづみ農業協同組合。いまも松本市梓川に梓工場を持ち、ワインと並んでりんごやもも、ぶどうのストレートジュースを造っています。
「ワインは農産物である」
公式サイトのコンセプトページは、「ワインは農産物である」を軸足に置くと書きます。基本姿勢は「地元の風土で育ったブドウを使って地元で醸す」。ラベルにはぶどうの産地、品種名、収穫年を記載し、生産者の顔の見えるワイン造りを掲げています。5年先、10年先を見据えた研究を重ね、安曇野の食材を使った和食にも合わせられるワインを造り、地元の「地産地消」に貢献したいとしています。
その言葉どおり、品種紹介には栽培地が細かく書かれています。ソーヴィニヨン・ブランは北安曇郡池田町青木原で、公式サイトは青木原を「日本有数のソーヴィニヨン・ブランの畑」と紹介。シャルドネとピノ・ノワールは池田町青木原と安曇野市三郷、メルローは松本市今井と塩尻市桔梗ヶ原、カベルネ・フランは松本市今井、フランスで育成されたハイブリッド品種セイベル9110は大町市です。NAGANO WINEの紹介ページには、ナイアガラ、竜眼、ブラッククィーン、コンコードも挙がっています。
主な銘柄と参考価格
公式サイトの商品ラインアップ(2026年11月1日時点)から。価格は税込で参考です。シリーズ名の『clair(クレール)』は「光り輝く」の意と説明されています。
- 『ソーヴィニヨン・ブラン プルミエ青木原』——青木原のソーヴィニヨン・ブラン100%。公式の商品説明ではトロピカルフルーツのアロマとミネラル感、キレのある辛口と紹介。2,420円(参考)
- 『ピノ・ノワール プルミエ三郷』——ピノ・ノワール100%。色は薄めながらしっかりした骨格を持つ赤と紹介。3,300円(参考)
- 『メルロー&カベルネ プルミエ』——長野県産メルロー80%、カベルネ・フラン20%の辛口の赤。2,420円(参考)
- 『シャルドネ clair』——白桃のような香りのキリッとした辛口と紹介。1,760円(参考)
- 『ブラック・クィーン deuxième』——松本平産ブラック・クィーンを、マセラシオン・カルボニック製法で渋みの少ない赤に。1,815円(参考)
- 『竜眼』——長野県の特産品種・竜眼のやや甘口の白。1,375円(参考)
- 『ソーヴィニヨン・ブラン アイス』——青木原産のソーヴィニヨン・ブランを収穫後に凍結し、自然解凍して濃縮した果汁だけを発酵させた極甘口。アルコール15%。3,981円(参考)
ほかにナイアガラ、コンコード、酸化防止剤無添加のコンコード、ロゼ2種、りんご・もも・みかんのフルーツワインも並びます。大町市産メルローの『メルロー Nishina』は、2022年以降は製造していないと記されています。
訪ねる——いまは店舗・見学とも休止中
NAGANO WINEの紹介ページによれば、ワイナリーの店舗は休業中、工場見学も休止中です。ワインは同じエリアにある「安曇野スイス村 ハイジの里」で購入でき、公式オンラインショップからも注文できます。オンラインショップの受注確認は祝日を除く月〜金曜の営業時間内で、年末年始やお盆には休業期間が告知されます。現地で試飲ができるかどうか、営業の再開時期は確認できませんでした。条件は変わることがあるので、出かける前に電話(0263-73-5532)か公式サイトで確かめてください。
日本アルプスワインバレーの中で
スイス村ワイナリーの白の柱である池田町青木原には、ヴィニョブル安曇野 ドメーヌ・ヒロキがあります。同じ安曇野市では、北アルプスの麓の安曇野ワイナリーや小さな造り手のLe Milieu(ル・ミリュウ)、松本平に下りれば山辺ワイナリー。農協系の加工場から始まったワイナリーと、個人の造り手を飲み比べると、安曇野・松本の産地の厚みが見えてきます。長野の全体像は産地:長野と第72講 長野完全編にまとめています。

