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日本のワイナリー

軽井沢アンワイナリー

anne-winery / 創業 2023年
産地
長野県軽井沢町
訪問
試飲・ショップ
代表銘柄
アンの泡 ブラン・ド・ノワール・アンの泡 ブラン・ド・ブラン
どんなワイナリー?

軽井沢アンワイナリーは、長野県軽井沢町大日向の文化財「旧大日向教会・聖ヨゼフ保育園」の一角に、2023年10月に開かれた軽井沢初のワイナリーです。運営はアンワイナリー株式会社で、代表は醸造家の松村清美さん。2015年に小諸市で畑を借りて始まり、2018年の小諸の醸造所を経て、ワイン造りを軽井沢へ移しました。主力は瓶内二次発酵のスパークリング『アンの泡』で、ブラン・ド・ノワール2023がサクラアワード2026の最高賞、ダイヤモンドトロフィーを受けています。

この記事の目次

教会の一角で、泡を仕込む

浅間山を背にした軽井沢町大日向に、戦後の開拓の歴史を伝える建物があります。公式サイトによれば、「大日向教会・ヨゼフ保育園」は大日向開拓団とコンラード神父によって1953年に開設されました。2011年に閉園するまでの卒園児は983名。2016年までは神父がおり、併設の修道院には多くの修道士が研修に訪れていたといいます。

この文化財の一角に2023年10月、軽井沢アンワイナリーは生まれました。開所式は10月9日です。公式サイトは標高を1,050mと記し、「軽井沢初のワイナリー」と名乗っています。建物全体は「ひなたのテラス」として再活用され、教会ホールではコンサートやイベントも開かれています。

保育園は、代表の二人の息子が通った場所でもありました。公式のストーリーによれば、ワイン熟成のための土蔵などを探すなかでこの建物に出会い、ここに深い縁を感じた夫の勧めでワイナリーとしての再活用を決めたといいます。

松村清美さんと、切られるはずだったりんごの木

松村清美さんは新潟県柏崎市の出身です。NAGANO WINE(長野県の公式サイト)の2020年の取材によれば、東京で約10年会社員として働いたのち、自然のなかで子育てをしたいと考えました。公式のストーリーでは、2001年に埼玉から軽井沢町へ移住しています。軽井沢では別荘専門の不動産業に携わりました。

子育てが一段落するころ、第二の人生としてワイン造りを志します。週末にヴィラデストワイナリーの栽培ボランティアに通い、長野県ワイン生産アカデミーや、広島の酒類総合研究所でも学びました。

転機は2015年です。小諸市で、父親が倒れて栽培を続けられないので木を切るという、りんご畑に出会いました。30本の木を見るなり「この畑を貸してください」と頼んだと、公式のストーリーは振り返ります。公式サイトの畑の紹介によれば、同じ2015年から小諸市糠地(ぬかじ)の遊休農地でぶどうも育て始めています。会社の設立は11月2日です。

シードルは2年間、信州まし野ワインへの委託で造り、自分で最適な時期に収穫したいとの思いから、2018年12月に小諸の城下町で古民家を改装した「小諸城下町アンワイナリー」を開いて自社醸造へ進みます。もとは衣料店だった建物です。

開設から5年で生産量が増えて施設が手狭になり、2023年に軽井沢へ。小諸の建物は2025年1月からクラフトビールの「北國街道麦酒」の醸造所となり、ワインとシードルの製造は軽井沢に集約されました。なお、2024年ごろまでの発表では、運営会社は株式会社プラスフォレストと記されています。現在の公式表記はアンワイナリー株式会社で、設立日と代表者は同じです。

糠地の南斜面、標高870m

原料の中心は、軽井沢から20kmほど西の小諸市糠地の畑です。公式サイトによれば標高870mの南斜面で、八ヶ岳と北アルプスの稜線、遠く富士山まで望めます。スパークリングを目指してピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエのシャンパーニュ3品種を植えて始まり、いまはピノ・グリなどへ少しずつ広げています。

りんごは後継者のいない畑を引き継いだもので、ふじ、シナノスイート、シナノゴールド、紅玉を育てます。5月には白い花が畑を埋めるといいます。畑の面積は確認できませんでした。

『アンの泡』と、ダイヤモンドトロフィー

『アンの泡』は2019年から造り続けているスパークリングです。公式の説明によれば、手摘みのぶどうを瓶内二次発酵で仕上げ、ドサージュを加えないノンドサージュ。シリーズにはブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワール、アンムスーがあります。エチケットには、はつらつとした女性のためにという意味の仏語が添えられています。

ブラン・ド・ノワール2023は、自社栽培のピノ・ノワールとムニエから造る、淡いピンク色の辛口です。雨が少なくぶどうのよい年で、公式の説明は熟したりんご、イチジク、木イチゴの香りを挙げます。軽井沢新聞社の軽井沢ウェブによれば、仕込みは1,100本、750mlで3,960円(参考価格)。

このワインが第13回サクラアワード2026でダイヤモンドトロフィーを受けました。37か国3,715アイテムを430名の女性審査員がブラインドで審査し、最高賞はエントリー全体の約1%です。公式サイトは長野県産スパークリングで初の最高賞としており、ダブルゴールド、女性ワインメーカー賞、ジャパニーズワイン賞も併せて受賞しました。松村さんは軽井沢ウェブの記事で、標高の高さがきれいな酸と香りを残すと語り、受賞を「一つの通過点」と話しています。

泡のほかに、浅間山南麓の標高860〜1,100mのぶどうで造る、主にシャルドネとピノ・ノワールのスティルワインと、小諸のりんごのアンシードルがあります。手土産には、アンの泡かシードルをショップで選ぶのがよさそうです。

143年越しの、軽井沢のワイン

軽井沢でのぶどう栽培には前史があります。1883年に実業家の雨宮敬次郎が挑みましたが、家庭画報の記事によれば、冬の寒さで植えて3年後にほぼ全滅しました。アンワイナリーはこの歴史を引き継ぐ形で「軽井沢ワインプロジェクト」を始めています。

畑は建物の前の「元園庭の畑」と、ひなたのテラスから歩いて10分ほどの「未来の畑」の2か所。標高約1,000mの高冷地のため、耐寒性と耐病性を基準に品種を試してきました。2026年の発表によれば、2023年春に園庭へ苗木を植え、複数の品種のうちメイヴが2025年に初めての収穫に至っています。

2023年の発表で2029年以降の目標とされていた軽井沢産ワインは、こうして早く形になりました。軽井沢町産メイヴの初ヴィンテージ『KARAMATSU』は非売品で、ミディアムボディの赤です。記念ワイン『L’aventure commence ici 2025』は小諸産ピノ・ノワールにメイヴを少量ブレンドしたもので、100本限定、税込8,800円。2026年10月10日に店頭で予約が始まり、12月1日から順次発送です。

栽培には会員も加わります。2026年の「ファーマーズ・メイト会員」は3〜12月に軽井沢と小諸の畑で季節の作業を体験し、「ファーマーズ・プラス会員」は醸造も体験できます。

土日の午後、ひなたのテラスへ

試飲の場は、ひなたのテラス内のショップ&テイスティングルームです。営業は3〜12月の土日12:00〜16:00で、1〜2月は冬季限定営業。有料テイスティングは500円からで、ノンアルコールドリンクとおつまみもあります。ボトルのワイン、スパークリング、シードルも買えます。施設見学と取材の対応は、公式サイトによれば当面控えています。

所在地は軽井沢町大字長倉5670-1。信濃追分駅から車で6分、軽井沢駅から車で15分で、中軽井沢駅と信濃追分駅からは公共バスもあります。駐車場の常設の案内は確認できませんでした。収穫祭のページは、台数に限りがあるとして公共交通を勧めています。試飲をするなら、なおさらバスかタクシーの計画を。

毎年10月には収穫祭「軽井沢ヴァンダンジュ」が開かれ、2026年は10月10・11日に入場無料で行われました。旧修道院を宿坊にする計画もクラウドファンディングで目標を達成し、公式サイトは「Coming Soon」と準備を伝えています。

ワインの多くは、ショップと町内の酒販店で販売されています。ネット販売はほとんど行っておらず、軽井沢を訪ねて買う一本と考えておくとよさそうです。小諸市にはジオヒルズワイナリー、テールドシエル、マンズワイン 小諸ワイナリーもあります。瓶内二次発酵の本場の考え方は第6講 シャンパーニュ完全編、千曲川流域の全体像は産地:長野と第72講 長野完全編で整理しています。

軽井沢アンワイナリーのよくある質問

軽井沢アンワイナリーはどんなワイナリー?
長野県軽井沢町大日向の文化財「旧大日向教会・聖ヨゼフ保育園」の一角に2023年10月に開かれた、軽井沢初のワイナリーです。運営はアンワイナリー株式会社で、代表は松村清美さん。ぶどう栽培から醸造までを手がけ、小諸と軽井沢に自社畑を持っています。
試飲や見学はできる?
ひなたのテラス内のショップ&テイスティングルームで、有料テイスティング(500円〜)ができます。営業は3〜12月の土日12:00〜16:00で、1〜2月は冬季限定営業です。施設見学は当面受けていないと公式サイトに書かれています。
『アンの泡』はどんなワイン?
小諸の自社畑のシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエから造る、瓶内二次発酵のスパークリングです。ブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワール、アンムスーがあり、公式の説明ではノンドサージュで仕上げています。ブラン・ド・ノワール2023は750mlで3,960円(参考価格)と報じられ、1,100本が仕込まれました。
軽井沢産のぶどうのワインはある?
2025年に初めて収穫した軽井沢町産のメイヴから、初ヴィンテージ『KARAMATSU』が造られました。こちらは非売品です。軽井沢産のメイヴを少量ブレンドした記念ワイン『L'aventure commence ici 2025』は100本限定、税込8,800円で、2026年10月10日から店頭で予約を受け付けています。
どこで買える?
公式の案内によれば、主な販売先はひなたのテラスのワイナリーショップと軽井沢町内の酒販店で、ネット販売はほとんど行っていません。受賞を受けて、ごく少量がネットショップに用意されたこともあります。

同じ産地のワイナリー

同じ品種のワイナリー

県をまたいで、育てている品種の重なりが大きい順に並べています。育てる造り手が少ない品種の一致ほど重く数えます。

最終更新: 2026-11-06 / 編集: Vinotier編集部