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ワインガイド Vinotier
日本のワイナリー

ヴィラデストワイナリー

villadest / 創業 2003年
産地
長野県東御市
訪問
見学ツアー・試飲・ショップ・レストラン・カフェ
代表銘柄
ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ・ヴィニュロンズリザーブ メルロー
どんなワイナリー?

ヴィラデストワイナリーは、エッセイスト・画家の玉村豊男氏(1945–2026)が1991年に長野・東御市に開いた農園を母体に、2003年10月に創業したワイナリー。標高約850mの丘から千曲川を見下ろす畑とガーデン、カフェが一体になった空間で、看板のヴィニュロンズリザーブ シャルドネは2008年の北海道洞爺湖サミットと2016年の伊勢志摩サミットで各国首脳に供されました。千曲川ワインバレーの起点であり、2015年開講の千曲川ワインアカデミーを主宰した一軒でもあります。

この記事の目次

エッセイストが描いた「田園の理想郷」

ヴィラデストを開いたのは、エッセイスト・画家の玉村豊男氏(1945–2026)です。ただ、ワイナリーが最初にあったわけではありません。

1991年8月、玉村夫妻は東京から小県郡東部町(現・東御市)へ移り、西洋野菜とハーブを育てる農園「ヴィラデスト」を始めました。翌1992年5月、0.2ヘクタールの畑にメルロー、シャルドネ、ピノ・ノワールを植えます。これが最初のぶどうです。醸造免許を取ってワイナリーとして初めて仕込んだのは、それから11年後の2003年10月。翌2004年4月にショップとカフェが開き、法人「株式会社ヴィラデストワイナリー」も同月に設立されました。

つまりこの一軒は、畑とガーデンが先にあって、ワイナリーがあとから加わった場所です。ぶどう畑とハーブガーデン、カフェ、ショップ、ギャラリーがひとつの丘にまとまっている構成は、その順番をそのまま映しています。

玉村氏は2026年8月9日、80歳で亡くなりました(会社の公式発表は8月25日)。ヴィラデストの代表取締役会長として、また後述する日本ワイン農業研究所の代表取締役社長として、長野のワインの制度づくりにも関わった人です。この記事では、その仕事を過去形で書きます。

標高850メートル、三つの区画

ワイナリーの立地は、千曲川流域の段丘の上、標高約850メートル。公式が強調するのは「日本有数の小雨地帯」であること、日照時間が長いこと、昼夜の寒暖差が大きいことの三つです。雨が少ないことは、ぶどうの病気を抑えるうえで日本ではきわめて有利に働きます(第59講)。

畑は、時期を追って三つの区画に広がりました。

  • 和・田沢地区(1992年〜)——ワイナリーのある丘。標高約850m。垣根仕立て。
  • 八重原地区(2015年〜)——メルロー主体で約2ヘクタールを新規植栽。
  • 御堂地区(2019年〜)——シャルドネ主体で約3ヘクタールを新規植栽。2024年に「御堂シャルドネ」として初めて単独で瓶詰めされたと公式ニュースにあります。

品種は公式のワイナリー紹介にあるとおりシャルドネ、メルロー、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール。ワインリストにはピノ・グリもあります。

面積と土壌は、あえて数字を置きません。 自社畑の総面積は「約12ヘクタール」と紹介されることがありますが、公式サイトには総面積の記載がなく、2021年ごろの外部記事に基づく数字です。土壌を「火山性粘土」とする説明も販売元の記事1本にとどまります。この記事では、公式が明記している「標高約850m・段丘・小雨地帯・垣根仕立て」だけを確かな条件として扱います。

ワインの階段

ラインナップは三段構えです。

頂点がヴィニュロンズリザーブ(シャルドネ/メルロー)。その下にプリマベーラ(シャルドネ/メルロー・カベルネ)、いちばん気軽なカンティーヌ(ブラン=シャルドネ+ソーヴィニヨン・ブラン/ロゼ=メルロー)。これにタザワメルロー、八重原メルロー、御堂シャルドネといった区画名を冠したもの、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブラン(樽熟成あり/なし)、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール、オレンジシャルドネ、貴腐シャルドネなどが並びます。シードルとぶどうジュース、蒸留酒(ヴィナッチャ)まで造っているのは、「農園が先」のワイナリーらしいところです。

看板のヴィニュロンズリザーブ シャルドネについて、公式のテクニカルシート(2025年ヴィンテージ)は仕様をはっきり書いています。生産本数4,034本、アルコール12.5%、新樽比率約25%、樽発酵、マロラクティック発酵あり、樽熟成約7か月。仕込みは2025年9月29日から10月12日にかけて、瓶詰めは2026年5月18日。樽は使うが新樽は4分の1にとどめ、収穫から1年以内に瓶に入れる——冷涼な高地の酸を、樽で塗りつぶさない設計です。

価格は公式で、プリマベーラが3,410円、単一品種ものが3,850円前後、ソーヴィニヨン・ブラン樽熟成が4,620円、ヴィニュロンズリザーブが5,500円(いずれも税込)。中心帯はおよそ3,400〜5,500円と見ておけば大きく外れません。

表記は「プリマベーラ」。 「プリマヴェーラ」と書かれることが多いのですが、公式の銘柄名はプリマベーラ(Primavera)です。検索するときはこちらで。

サミットに二度出たシャルドネ

このワイナリーの評価を一言で示すなら、ヴィニュロンズリザーブ シャルドネがサミットで二度、外相会合で一度使われたという事実でしょう。

公式の受賞歴によれば、2008年7月の北海道洞爺湖サミットではワーキングランチで2005年が、2016年5月の伊勢志摩サミットではワーキングディナーで2014年が、各国首脳に供されました。2023年にはG7長野県軽井沢外相会合の夕食会で「ヴィニュロンズリザーブ メルロー2020」が使われています。

コンクールの結果もぶれていません。2008年、シャルドネ2007が国産ワインコンクール(現・日本ワインコンクール)で金賞と欧州系白ワイン最優秀カテゴリー賞。2015年にはソーヴィニヨン・ブラン2014が日本ワインコンクール金賞。近年は海外の審査にも出しており、2026年はシャルドネ2024がデカンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)で銀賞、メルロー2022も同じく銀賞、日本ワインコンクール2026ではシャルドネ2025とプリマベーラ シャルドネ2024がそれぞれ銀賞でした。日本ワイナリーアワードの2026年(第9回)一覧では4つ星に置かれています。

千曲川ワインバレーの起点

ヴィラデストがほかの一軒と違うのは、自分の畑の外側に仕組みを作ったことです。

東御市は2008年11月、長野県で最初のワイン特区(とうみSunライズ ワイン・リキュール特区)に認定されました。果実酒の最低製造数量が年6キロリットルから2キロリットルに下がり、小さな畑からでもワイナリーを始められるようになった制度です。2015年には周辺市町村に広がった「千曲川ワインバレー(東地区)特区」となり、その後も加わる自治体が増えて、現在は12市町村にまたがっています。

同じ2015年4月、ヴィラデストは「千曲川ワインアカデミー」を開講しました。主催は玉村氏が代表を務めた日本ワイン農業研究所(=兄弟ワイナリーのアルカンヴィーニュ)で、玉村氏が「主宰」。ぶどう栽培・醸造・ワイナリー起業経営を土日の座学と実習で1年かけて学ぶ、民間のワインアカデミーです。東御市の公式ページに載る市内のワイナリーはいまや15軒。長野の東側に造り手が集まった背景には、特区とアカデミー、そしてその真ん中にこの丘があったことが効いています。

「修了生のワイナリー」と結びつけすぎない。 東御のリュードヴァン(2010年設立)などはアカデミー開講より前の創業で、修了生の店ではありません。「千曲川ワインバレーの造り手はみなアカデミー出身」という説明を見かけますが、開講時期を考えると成り立ちません。アカデミーが生んだワイナリーがあることと、バレーの全部がそうであることは別です。

丘の上でランチを——予約と冬季休業

訪問のハイライトは、ガーデン越しに千曲川と山並みを望むカフェです。ただし、ふらりと行くと入れないことがあります。カフェの食事(11:30〜15:00)は予約必須。個人・個人グループのみで最大16名、グループは13:30以降が推奨です。

ワイナリーツアーは営業期間中の土日祝、13:00の1回のみ。定員10名、1名500円(税込)、中学生以上で、前日までの予約が必要です。予約なしでも歩けるQRコード式の無料セルフガイドツアーがあるので、平日に来た人はこちらを。ショップでの試飲はなく、飲むならカフェのグラスワイン(840〜1,200円)です。

営業は10:00〜17:00(カフェ休業日はショップのみ16:00まで)、毎週水曜が定休(時期により変動)。そして12月下旬〜3月中旬は冬季休業で、2026年は3月14日に開きました。計画は春から秋に。

アクセスは上信越自動車道東部湯の丸ICから約4km、北陸新幹線上田駅からタクシーで30分弱、しなの鉄道田中駅または大屋駅からタクシーで約10分(各駅前にタクシー常駐)。駐車場は第一・第二があり、大型バスは第二へ。犬は駐犬場までで、ショップとカフェには入れません。

同じ東御の丘にはアルカンヴィーニュ(和6667)があり、隣の小諸には標高約950mのテールドシエルがあります。一日で2〜3軒を回るなら、この三角形が組みやすい(第51講)。

ワイナリーの前に、畑とガーデンがあった。その順番を知って丘に立つと、テーブルに置かれたシャルドネの意味が少し変わって見えます。

よくある質問

ヴィラデストはどんなワイナリー?
エッセイスト・画家の玉村豊男氏(1945–2026)が<strong>1991年8月</strong>に東御(当時は東部町)へ移住して開いた農園「ヴィラデスト」を母体に、<strong>2003年10月に創業</strong>したワイナリーです(法人「株式会社ヴィラデストワイナリー」の設立は2004年4月16日)。標高約850mの丘にぶどう畑、ガーデン、カフェ、ショップ、ギャラリーが集まり、<strong>千曲川ワインバレー</strong>に新しい造り手が集まる流れの起点になりました。現在の代表取締役社長は、創業期から醸造を担ってきた<strong>小西超</strong>氏で、栽培醸造責任者を兼ねています。
玉村豊男さんは今もワイナリーにいる?
玉村豊男氏は<strong>2026年8月9日に80歳で逝去</strong>されました(同月25日に会社が公式に発表)。長く株式会社ヴィラデストワイナリーの代表取締役会長を務め、日本ワイン農業研究所の代表取締役社長として千曲川ワインアカデミーを主宰し、長野県原産地呼称管理委員会や信州ワインバレー構想推進協議会の会長も歴任しました。逝去後の役職の後任などは公式に発表されていないため、ここでは書きません。なおワイナリーの経営と醸造は、以前から代表取締役社長の小西超氏が担っています。
どんなワインを造っている? 値段は?
トップキュヴェが<strong>ヴィニュロンズリザーブ</strong>(シャルドネ/メルロー)、その下に<strong>プリマベーラ</strong>(シャルドネ/メルロー・カベルネ)、気軽な<strong>カンティーヌ</strong>(ブラン/ロゼ)。単一畑・単一品種ものとして<strong>タザワメルロー、八重原メルロー、御堂シャルドネ</strong>、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネールなどが並びます。公式の価格はプリマベーラが3,410円、単一品種ものが3,850円前後、ヴィニュロンズリザーブが5,500円(いずれも税込)で、<strong>およそ3,400〜5,500円</strong>が中心帯です。ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ2025は生産本数4,034本、新樽比率約25%で樽発酵・マロラクティック発酵あり、約7か月の樽熟成と公式テクニカルシートにあります。
「サミットのワイン」というのは本当?
本当です。公式の受賞歴によれば、<strong>2008年の北海道洞爺湖サミット</strong>のワーキングランチで「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ2005」が、<strong>2016年の伊勢志摩サミット</strong>のワーキングディナーで同2014が各国首脳に供されました。2023年には<strong>G7長野県軽井沢外相会合</strong>の夕食会に「ヴィニュロンズリザーブ メルロー2020」が使われています。コンクールでは、2008年に同シャルドネ2007が国産ワインコンクールで金賞と欧州系白ワイン最優秀カテゴリー賞、2026年にはシャルドネ2024がデカンター・ワールド・ワイン・アワードで銀賞、日本ワインコンクール2026でシャルドネ2025とプリマベーラ シャルドネ2024が銀賞を受けました。
見学はできる? 予約は必要?
<strong>ワイナリーツアーは営業期間中の土日祝、13:00の1回のみ</strong>。定員10名、1名500円(税込)、中学生以上で、<strong>前日までに予約が必要</strong>です。予約なしで歩ける<strong>QRコード式の無料セルフガイドツアー</strong>も用意されています。以前は「無料・先着制」と案内されていた時期があり、その情報が他サイトに残っていますが、現在の公式案内は上記です。ショップでの試飲は行っておらず、ワインを飲むならカフェのグラスワインを。<strong>冬季は12月下旬〜3月中旬が休業</strong>(2026年は3月14日オープン)、通常は<strong>毎週水曜が定休</strong>です。
カフェは予約がいる? どう行く?
カフェ(ヴィラデストカフェ)の食事は<strong>11:30〜15:00で、予約が必須</strong>です。個人・個人グループのみ受け付けで最大16名、グループは13:30以降が推奨されています。子ども連れ用の席は数が限られます。アクセスは上信越自動車道<strong>東部湯の丸ICから約4km</strong>、北陸新幹線<strong>上田駅からタクシーで30分弱</strong>、しなの鉄道の<strong>田中駅または大屋駅からタクシーで約10分</strong>(各駅前にタクシーが常駐)。駐車場は第一・第二があり、大型バスは第二へ。

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最終更新: 2026-09-12 / 編集: Vinotier編集部