本文へ移動
ワインガイド Vinotier
日本のワイナリー

Kisvin Winery(キスヴィン・ワイナリー)

kisvin / 創業 2013年
産地
山梨県甲州市塩山
代表銘柄
Kisvin 甲州・甲州 レゼルヴ
どんなワイナリー?

Kisvin Winery(キスヴィン・ワイナリー)は、山梨県甲州市塩山にある、ぶどう農家が始めたワイナリーです。3代目の栽培家荻原康弘氏が2005年に仲間と勉強会「Team Kisvin」を立ち上げ、2009年に農業生産法人の株式会社Kisvinを設立、2013年に自社の醸造所を建てました。醸造責任者は、カリフォルニアとブルゴーニュで経験を積んだ斎藤まゆ氏。畑は塩山と勝沼の約5ヘクタールです。2026年はワイナリーでの見学・試飲・販売を休止しており、ワインは取扱いの酒販店で購入します。

この記事の目次

ぶどう農家が始めたワイナリー

Kisvin Winery(キスヴィン・ワイナリー)は、山梨県甲州市塩山にあるワイナリーです。所在地は甲州市塩山千野474。運営する株式会社Kisvinの代表は、ぶどう農家の3代目にあたる荻原康弘氏です。

公式サイトの沿革によれば、荻原氏が父・登氏から家業のぶどう栽培を継いだのは2001年。多くの日本のワイナリーが「醸造所が先にあり、ぶどうを農家から買う」形で始まったのに対し、Kisvinはまず畑があり、醸造があとから加わったワイナリーです。この順番が、キスヴィンを理解するいちばんの手がかりになります。

Team Kisvin から自社醸造へ

転機は2005年でした。荻原氏は、甲府で栽培コンサルタントとして活動する池川仁氏、東京大学大学院の西岡一洋氏とともに、醸造用ぶどうの勉強会「Team Kisvin」を立ち上げます。名付けたのは池川氏で、シャトー酒折の公式サイトは、その意味を「Vine(ぶどうの樹)にKissする」、つまり口づけしたくなるようなぶどうを育てることだと紹介しています。

勉強会で育てたぶどうは、まず近くのワイナリーの手でワインになりました。2008年、Kisvinはシャトー酒折へワイン用ぶどうの販売を始め、シャトー酒折から「Kisvin Koshu 2008」が発売されます。栽培家の名前がラベルの前面に出る甲州は、当時としては珍しい存在でした。

その後の歩みは、公式サイトによると次のとおりです。

  1. 2001年 荻原康弘氏が家業のぶどう栽培を継ぐ
  2. 2005年 勉強会「Team Kisvin」を立ち上げる
  3. 2008年 シャトー酒折へのぶどう販売を始め、「Kisvin Koshu 2008」が発売される
  4. 2009年 農業生産法人 株式会社Kisvinを設立
  5. 2013年 自社の醸造所を建設し、醸造を始める
  6. 2014年 自社のワインの販売を始める

栽培家がぶどうの質を追いかけ、その先で自分の醸造所を持つ。日本ワインの「畑から始まる」流れを代表する例のひとつです。

醸造責任者・斎藤まゆ氏

2013年から醸造責任者を務めるのが斎藤まゆ氏です。公式サイトのプロフィールによれば、1980年生まれ。早稲田大学を中退してアメリカへ渡り、カリフォルニア州立大学のワイン醸造学科を卒業、同校のワイナリーで醸造アシスタントを務めました。その後、ブルゴーニュのドメーヌ・ジャン・コレやドメーヌ・ティエリ・リシューなどで経験を積んでいます。

斎藤氏は、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられました。ジョナサン・ノシター著の翻訳書『ワインの真実』には「訳者あとがきにかえて」を寄せています。ブルゴーニュで学んだ醸造家が、甲州市の農家の畑と組む。その組み合わせが、キスヴィンのワインの輪郭をつくっています。

塩山と勝沼の畑、約5ヘクタール

公式サイトによれば、栽培面積は約5ヘクタールで、畑は甲州市の塩山と勝沼地区にあります。栽培は植物生理学に基づいて管理し、土壌分析装置で土を調べたうえで肥料を決めています。畑は草生栽培で、土を耕さずに下草を生やしたまま管理します。

仕立ては、山梨で伝統的な棚仕立てと紹介されています(取材記事による情報)。垣根が「高品質の証」と語られることもありますが、棚か垣根かで品質が決まるわけではないことは、第59講 ぶどう畑の一年・栽培完全編で詳しく解説しました。棚の畑で欧州系品種の質を突き詰めている点も、キスヴィンの特徴です。

取材記事によれば、栽培品種は甲州、シャルドネ、ピノ・ノワール、シラー、ジンファンデル、ヴィオニエなど。ほかにマルベックやグルナッシュ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョも試験的に育てていると紹介されています。日本では珍しいジンファンデルが含まれているのが目を引きます。

どんなワインがあるか

公式サイトの商品一覧には、次のワインが並んでいます。

  • 白── 甲州/甲州 レゼルヴ/ブラン/シャルドネ/シャルドネ ヌード/シャルドネ レゼルヴ
  • ロゼ── ロゼ/シラー ロゼ/ピノノワールロゼ/ジンファンデル ロゼ
  • 赤── ルビー/ピノノワール/シラーヴィオニエ
  • スパークリング── 甲州 スパークリング

「シラーヴィオニエ」は、黒ぶどうのシラーに白ぶどうのヴィオニエを少し合わせる、北ローヌのコート・ロティで知られる組み合わせです(銘醸図鑑:コート・ロティ)。ロゼが4種類あるのも、このワイナリーらしい品ぞろえです。

ANAショッピング限定の「ANAオリジナルブレンド甲州」や、時計ブランドのフランク ミュラーと組んだ「ピノノワールロゼ 2022」のプレートセットなど、企業との協業による限定品も出ています。通常の銘柄の価格は公式サイトには載っておらず、生産量も多くないため、酒販店での扱いはヴィンテージごとに変わります。

2026年は見学・試飲を休止。買い方は

訪問を考えている人は注意してください。公式サイトの「2026年ワインショップ&ワイナリー見学ツアー」のページには、ワイナリーでの試飲や販売は行っておらず、見学も休止していること、本年のワイナリー見学ツアーは休止することが書かれています。ワインショップも一時休業中です。観光サイトなどには以前の営業時間や試飲の案内が残っている場合がありますが、公式の告知を優先してください。

ワインを手に入れるには、公式サイトに掲載されている取扱いの酒販店や、そのオンラインショップを利用します。醸造所は塩山駅から北へ歩いて約15分の場所にありますが、見学の受け入れを再開するかどうかは、公式サイトの告知で確かめてから計画しましょう。

甲州市を訪ねるなら、見学できるほかのワイナリーと組み合わせるのが現実的です。勝沼の歩き方は勝沼ワイナリー散歩、山梨全体の産地と造り手の見取り図は第70講 山梨完全編と産地:山梨にまとめています。

キスヴィンを飲むときに

Kisvinの甲州は、「栽培家の甲州」として飲むと面白い一本です。同じ甲州でも、ぶどうをどこまで熟させるか、どんな畑で育てるかで味わいは大きく変わります。甲州という品種の幅は品種図鑑:甲州で確かめてから、シャトー酒折の「キュヴェ・イケガワ」など、同じTeam Kisvinの流れをくむワインと飲み比べると、日本の畑から始まったワインづくりの系譜が見えてきます。

よくある質問

Kisvin(キスヴィン)はどんなワイナリー?
山梨県甲州市塩山の、ぶどう農家が始めたワイナリーです。3代目の栽培家・荻原康弘氏が2009年に農業生産法人の株式会社Kisvinを設立し、2013年に自社の醸造所を建てて醸造を始めました。ワインの販売は2014年からです。醸造責任者は斎藤まゆ氏です。
見学や試飲はできる?
2026年はできません。公式サイトによれば、2026年のワイナリー見学ツアーは休止しており、ワイナリーでの試飲や販売も行っていません。ワインは、公式サイトに一覧がある取扱いの酒販店や、そのオンラインショップで購入する形です。再開の情報は公式サイトで確認してください。
「Kisvin」という名前の意味は?
2005年に栽培家の池川仁氏、荻原康弘氏、東京大学大学院の西岡一洋氏が立ち上げた勉強会「Team Kisvin」に由来します。シャトー酒折の公式サイトでは、Vine(ぶどうの樹)にKissする、つまり「口づけしたくなるような葡萄を育てる」という意味だと説明されています。

同じ産地のワイナリー

最終更新: 2026-09-29 / 編集: Vinotier編集部