高社山のふもと、農家のワイナリー
たかやしろファーム&ワイナリーは、長野県中野市竹原にあるワイナリーです。名前の「たかやしろ」は、中野市の北にそびえる高社山(こうしゃさん)の愛称。公式サイトによれば、ワイナリーはこの山の南麓に自社畑を持ち、自分たちで育てたぶどうでワインを造っています。所在地は中野市竹原1609-7です。
中野市が発行した広報誌の別冊(2015年ごろ)によれば、設立は2004年(平成16年)。竹原地区で果樹農家を営む武田晃氏が、ぶどうの付加価値を高め、農業を生業として続けていくために、同じ農家の仲間とワイン造りを始めたと紹介されています。記事のなかで武田氏は、家庭で毎日飲めるワインを造りたいという趣旨を語っており、利益を追うより地元の人に飲んでもらうことを大切にする姿勢が伝わります。長野県の観光サイト「Go NAGANO」も、このワイナリーを「果樹栽培の専業農家が立ち上げたワイナリー」と紹介しています。
運営会社の名前は、公式サイトのワイナリー紹介では「有限会社たかやしろファーム&ワイナリー」、特定商取引法に基づく表記や長野県の認定一覧では「有限会社たかやしろファーム」となっています。公式サイトによれば、栽培から加工・販売までを一体で行うアグリビジネスとして、地域農業の活性化と中野市のPRを目指しているとのことです。
扇状地の畑と、18品種のぶどう
中野市は、公式サイトが「生産量日本一」とうたう巨峰の産地として知られます。農林水産省の紹介ページによれば、ワイナリーの畑は高社山の南側に広がる、水はけのよい中野扇状地にあります。中野市の資料では、畑は標高400mあまりで日照時間が長く、ぶどう栽培に向いている一方、近年の異常気象もあって品質管理には苦労が多いとも記されています。
同じ資料によれば、自社農園は6ヘクタールで、18種類のワイン用ぶどうを栽培。ワインに使うぶどうの94%を自社栽培でまかない、年間の生産量は約2万5,000〜3万本、その6〜7割が県内で飲まれているとされます。なお、現在の観光サイトでは「自社栽培のブドウ100%」と案内されており、資料の時期によって数字が異なります。面積や本数も約10年前の記事の数字である点にご注意ください。
公式サイトに並ぶ品種は多彩です。赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトレーベ、マルスラン、タナ。白はシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエ、リースリング、ピノ・グリ、アルバリーニョ、シェンブルガー。ボルドー系の品種から、オーストリアのツヴァイゲルトレーベ、ドイツ生まれのシェンブルガー、南西フランスのタナまで、ひとつの農園でこれだけ育てている例は珍しいといえます。生食用でもあるシャインマスカット、クイーンルージュ、ナガノパープル、巨峰も育てています。
ワインのラインナップ
公式サイトの商品ページでは、白・赤・ロゼ・スパークリング・シードル・ジュース・ジャムが紹介されています。ワインの主な銘柄は次のとおりです(説明は公式サイトの紹介を要約したもの)。
- シャルドネ シュール・リー(白)── 澱の上に置いて仕上げる製法で、さわやかさの中にうまみのある辛口。
- ソーヴィニヨンブラン Cuvee TAKEROKU(白)── 柑橘とハーブの香り、酸がまろやかな辛口。
- プレミアムヴィオニエ/ヴィオニエ(白)── 黄色い花や杏の香り。ヴィオニエは栽培が難しく、年間約600本のみとされます。
- シェンブルガー、リースリング(白)── 香りの華やかな品種を単一で。
- カベルネソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、カベルネフラン、ツヴァイゲルトレーベ(赤)── 単一品種の赤。メルローは自社圃場産を半年間樽熟成。
- たかやしろエステートブラン/エステートルージュ── 自社畑の複数品種のブレンド。公式ではワインを飲み慣れない人にも勧めています。
- シャルドネスパークリング── 自社農場のシャルドネ100%。
いくつかの銘柄はフィルターを使わずに瓶詰めしたと紹介されています。2026年10月時点の公式トップページでは、クイーンルージュやナガノパープル、シャインマスカットのスパークリング、「カベルネソーヴィニヨン -PR-」「メルロー -プライベート・リザーブ-」「ピノ・グリ オレンジ -PR-」が新商品として案内されていました。生食用の品種をワインにする取り組みは、ぶどう産地・中野市の農家のワイナリーらしい試みです。
評価の面では、長野県原産地呼称管理委員会による「GI長野」第19回認定(2026年2月3日)で、2024年産の「プレミアムシャルドネ」がGI長野プレミアムに認定されています。さかのぼると2014年2月にも、当時の長野県原産地呼称管理制度で「たかやしろカベルネ・ソーヴィニヨン2011」「たかやしろソーヴィニヨン・ブラン2012」が認定を受けていました。GIや原産地呼称の考え方は用語:アペラシオン(原産地呼称)と産地:長野で解説しています。
訪ねる前に
公式サイトのアクセスページによれば、営業は平日8:30〜17:00、土曜9:00〜16:00で、日曜・祝祭日は休業です。公式トップには月ごとの休業日も掲載されています。日曜・祝日に買いたい場合は、市内の直売所「中野市物産館オランチェ」と「信州中野いきいき館」(どちらも9:00〜18:00、元日のみ休み)で商品を扱っていると案内されています。
施設見学は要電話予約で、ワインとジュースの製造時期は見学できません。試飲は公式では「要問い合わせ」。Go NAGANOでは試飲は無料(本数の少ない銘柄は有料)、見学は無料・要予約とされていますが、条件は時期によって変わりうるので、出かける前に電話(0269-24-7650)で確かめるのが確実です。レストランやカフェの併設は確認できませんでした。訪問の心得は第51講 ワイナリー訪問を参考にしてください。
アクセスは、車なら上信越自動車道・信州中野ICから国道292号を志賀高原方面へ約20分。鉄道なら長野駅から長野電鉄で信州中野駅へ行き、タクシーで約15分。北陸新幹線の飯山駅からはタクシーで約20分です。試飲をするなら、運転しない人を決めるか、鉄道とタクシーで移動しましょう。
北信のワイナリーと合わせて
Go NAGANOでは、たかやしろファーム&ワイナリーを北信濃エリア・千曲川ワインバレーのワイナリーとして紹介しています。北信には、自然派の草分けとして知られる小布施町の小布施ワイナリー、須坂市の楠わいなりー、高山村の信州たかやまワイナリーなど、個性の違う造り手が点在しています。
ぶどう農家が多品種を自ら育て、地元で飲まれることを大切にする。たかやしろファーム&ワイナリーは、巨峰の里・中野市の農業とワインがつながる場所です。日本各地の産地の広がりは第9講 日本ワイン産地巡りで整理しています。
