「聖なる雪」の名をもつ、山梨市の老舗
サントネージュワインは、山梨県山梨市上神内川にあるワイナリーです。公式サイトの会社概要によれば、設立は1942年11月28日。ブランド名の「サントネージュ」はフランス語で「聖なる雪」を意味し、富士山の頂にかかる雪にちなんで名づけられました。
工場はJR中央本線の山梨市駅から歩いて約3分。甲府盆地の東側、笛吹川の流れる町の中心にあり、電車で訪ねやすいワイナリーのひとつです。
沿革——社名を変えながら続いた80年
サントネージュワインの歩みは、社名と資本の移り変わりの歴史でもあります。公式サイトの年表から拾います。
- 1942年── 旧「日本葡萄酒株式会社」が創立(会社の設立日とされる)
- 1947年── 中巨摩郡若草村で「中央発酵化学株式会社」として設立
- 1950年・1951年── 日東工業、太平醸造へと社名を変更
- 1953年── カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなど、欧州系品種の育成を始める
- 1957年── 昭和天皇・皇后の行幸を受け、ブランド名を「サントネージュ」と命名
- 1959年── 協和発酵工業の系列に入る
- 1972年── 社名を「サントネージュワイン株式会社」に変更
- 2002年── アサヒビールの系列に入る(2011年からはニッカウヰスキーのグループ会社)
- 2021年── 株式譲渡により、株式会社サン.フーズのグループ会社となる
2021年の売却は日本経済新聞も報じています。いまはアサヒグループのワイナリーではない点に注意してください。1950年代前半に欧州系品種の育成に取り組んでいたことは、日本のワイン造りの流れの中でも早い動きです。山梨のワインの歴史は、第70講 山梨完全編でたどっています。
畑は山梨・牧丘と、山形・かみのやま
サントネージュのワインを特徴づけるのは、県をまたいだ二つの産地です。
山梨・牧丘では、山梨市牧丘町倉科に自社畑「牧丘倉科畑」があります。公式サイトによれば標高約750mの南向き斜面で、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネを育てています。近くの「倉科前嶋畑」では甲州を、また自社のオリジナル品種「恋紅(こいべに)」も栽培しています。
もうひとつが山形県上山市、通称「かみのやま」です。公式サイトによれば、サントネージュは1974年から上山市でワイン用ぶどうの栽培に取り組んでおり、これが上山市で初めてのワイン用ぶどうの栽培だったといいます。標高約370mの南向き斜面にある「奈良崎畑」のメルローは、約40年にわたって栽培を続けてきた取引先の畑です。ほかに中島畑(メルロー)、渡辺畑(カベルネ・ソーヴィニヨン)、佐竹畑(シャルドネ)があり、ソーヴィニヨン・ブランやヴェルデレーも育てています。山形のワイン産地については産地:山形で紹介しています。
畑の名を冠したワイン
2017年に発売した日本ワインのブランド「サントネージュ」では、ラベルに畑の名前を記したシリーズを展開しています。公式サイトの商品一覧から主なものを挙げます。
- かみのやま 奈良崎畑 メルロー、中島畑 メルロー
- かみのやま 渡辺畑 カベルネ・ソーヴィニヨン、佐竹畑 シャルドネ
- 山梨 牧丘倉科畑のシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン
- 甲州樽熟、牧丘甲州のオレンジワイン、スパークリングワイン
主催者の山梨県の資料と公式サイトによれば、日本ワインコンクール2025では「かみのやま奈良崎畑メルロー2022」と「山梨牧丘倉科畑カベルネ・ソーヴィニヨン2023」の2本が金賞を受けました。同じ品種でも、山形と山梨という違う土地の畑からワインを造っているので、飲み比べると産地の違いを感じる手がかりになります。
このほか、「和の雫」や、国内製造ワインの「リラ」「酸化防止剤無添加のやさしいワイン」なども手がけ、工場ではウイスキーも製造しています。オリジナル品種「恋紅」のワインは、限定本数で直営ショップのみの販売です(公式サイトのお知らせ)。
工場見学と、直営ショップ
サントネージュでは、無料の工場見学を受け付けています。公式サイトの案内によれば、次のとおりです。
- 予約── 前日までに電話で予約。来訪時間・人数・代表者名を伝える。一度に受け入れられる人数に上限あり
- 料金・所要時間── 無料・約30分
- 受付時間── 月〜金 9:00〜12:00/13:00〜15:00
- 休業── 土日祝・年末年始など。2026年は9〜11月に限り土日祝も受付
- 見学できる場所── 地下の樽貯蔵庫、ウイスキーの製造場、生産ライン(専用通路から)
- 注意── 稼働日は一部でヘルメットを着用。充填工場は撮影禁止
試飲もでき、銘柄は時期によって変わります。一部は有料で、運転する人と20歳未満の人は試飲できません(年齢確認あり)。工場に併設された直営ショップは9:00〜15:00の営業で、創業当時のワインや、最初に出荷したワインのシリアルNo.1なども展示されています。レストランやカフェについて、公式サイトに案内はありません。
アクセスと、山梨市のワイン巡り
公式サイトによれば、電車なら新宿から中央線の特急で約90分、山梨市駅から徒歩約3分(駅の南口のすぐ近く)です。車なら中央道の勝沼ICから約15分、石和温泉から約10分。駅から歩けるので、運転を気にせず試飲を楽しめます。ペットは同伴できません(補助犬は可)。車椅子で訪ねる場合は事前に電話で連絡するよう案内されています。
山梨市の周辺には、牧丘や万力など、規模も個性もさまざまなワイナリーがあります。予約の取り方や試飲のマナーなど、ワイナリーを訪ねるときの心得は第51講 ワイナリー訪問完全編に、山梨の産地の全体像は産地:山梨にまとめています。

