野生の木から選んだ、山ぶどう
山ぶどう(学名 Vitis coignetiae)は、日本に古くから自生するつる性の植物です。ヨーロッパにはない日本固有の種で、栽培も醸造も難しく、前例が少ないと公式は説明しています。ひるぜんワイナリーの仕事は、この山ぶどうをワインのぶどうにするところから始まりました。
手がかりは、蒜山高原に自生していた約1,000本の野生の木です。その中から糖度が高く、酸味の少ない木を選び出す作業に約30年をかけました。栽培では試行錯誤を重ね、安定して収穫できるようになったといいます。公式によれば、蒜山産の山ぶどうは東北産に比べて甘みが強く、皮の色が濃いのが特徴です。いまはワインのほか、100%ジュースやコンフィチュールにも使われています。
運営は農業生産法人ひるぜんワイン有限会社で、2010年4月に現在の場所へ移りました。
「三座」と、山葡萄のシリーズ
主力の「ひるぜんワイン」は近年刷新され、代表銘柄になったのが「三座」です。山ぶどうに選んだ品種のぶどうを工場長がブレンドしたもので、赤とロゼがあります。名前は、高原から見える「ひるぜん三座」から。赤はフランス中南部アリエ産のオーク樽で熟成させています。
話題をさらったのはロゼでした。蒜山産の山ぶどうに甲州を合わせた三座ロゼは、2025年のジャパン・ワイン・チャレンジのロゼワイン部門で日本1位になり、「TROPHY FOR BEST JAPANESE ROSE WINE」「TROPHY FOR BEST NEW WORLD ROSE WINE」「PLATINUM GOLD MEDAL」を受けたと公式は紹介しています。
銘柄の並びは次のとおりです(公式の表記)。
- 山葡萄 赤ワイン(フルボディ)/山葡萄 ロゼワイン(やや甘口)
- 三座 赤ワイン(ミディアムボディ)/三座 ロゼワイン(中口ドライ)
- 山葡萄赤 樽熟成48ヶ月(フルボディ)
- メルロー 赤ワイン(フルボディ)
- 岡山ピオーネ(デザートワイン・360ml)
山ぶどうの個性を正面から知りたいなら「山葡萄 赤」、食事と通したいなら「三座」、時間をかけた姿を見たいなら「樽熟成48ヶ月」。試飲の前に、この3つの方向を頭に入れておくと選びやすくなります。ぶどうジュースの「妖精たちの宴」は山ぶどう100%で、運転する人の土産にもなります。
コアニエで、三座を眺めながら
訪ねる先は、ショップとカフェのある「コアニエ」です。山ぶどうの学名に由来する名前の施設で、試飲コーナーには常時10種類以上のワインが並びます。公式によれば、会長自らが試飲のブースに立つこともあるそうです。ショップには自社のワインのほか、蒜山ジャージーの乳製品、山ぶどうの関連品、地元の特産品も並びます。
カフェのメニューはグラスワイン、蒜山ジャージーチーズのピザ、チーズの盛り合わせ、コーヒー、ぶどうジュースなど。テラス席からは「ひるぜん三座」を望め、テラスはペット同伴もできます。
営業は季節で変わります。4〜11月は10:00〜17:00で無休、12〜3月は10:00〜16:00で毎週火曜が定休(祝日の場合は翌日に振り替え)です。カフェのオーダーは閉店の30分前まで。団体の見学は問い合わせが必要です。
行き方の注意点
車なら米子道の蒜山ICから約4km、約5分です。岡山方面から約1時間15分、大阪吹田方面から約2時間40分。駐車場は40台で無料です。ひとつ気をつけたいのがカーナビで、電話番号で検索すると旧工場に案内されることがあると公式が注意しています。隣のウッドパオ(0867-66-4655)を目安にしてください。
岡山の南にあるふなおワイナリーがマスカットの土地の造り手なら、こちらは高原の山ぶどうの造り手です。県内の違いは岡山のワインで見比べられます。
