黒部の丘で、ピノ・ノワールを
VINIQROBE(ヴィニクローブ)は、長野県上高井郡高山村黒部のワイナリーです。長野県が営むNAGANO WINEでは、信州ワインバレー構想のうち千曲川ワインバレーに数えられ、紹介の見出しには「高山村のピノ・ノワールを醸す」とあります。公式サイトの書き出しは、北アルプスを望み、風が吹き抜ける丘陵に誕生した、というもの。所在地は高山村黒部4048-3、運営は株式会社ヴィニクローブです。
NAGANO WINEによれば、設立は2019年。ピノ・ノワールと高山村に魅せられてぶどう栽培を始めた倉田さん夫妻のワイナリーです。千葉の酒販店IMADEYAの紹介では、造り手は倉田康博さんと書かれています。公式サイトには「ピノノワール好きが高じてワイン造りを始めた」とあり、いつか心から納得できるピノ・ノワールを造りたい、という言葉が続きます。
標高650m、石の多い「マツチ」の畑
公式サイトは、高山村の気候を、標高が高く冷涼で、昼夜の寒暖差が大きいと紹介しています。年間の降水量が少なく、土の水はけがよく、山から強い風が吹き下ろす土地です。村では標高400〜800mの間で、さまざまなワイン用ぶどうが育てられています。
ヴィニクローブの畑は標高約650m。石が多い粘土質の沖積土壌が主体で、他の地域や村内でも多い「黒ボク土」に対し、地元の人はこの土を「マツチ(真土)」と呼ぶそうです。総面積は2ヘクタール弱。品種は約2,500本のピノ・ノワールが主体で、メルローも育てています。
最初に苗を植えたのは高山村黒部区の標高650mにある単一畑です。公式サイトによれば、樹齢500年のエドヒガン桜の巨木が見守る里山にあり、小石の多い粘土質の薄い表土の上を、山からの風が急な斜面に沿って吹き抜けます。もうひとつ銘柄名になっているのが二ツ石区の畑で、標高620m、周囲にさえぎるもののない日当たりのよい西向きの斜面です。
手で摘み、重力で運ぶ
収穫は、ぶどうの熟度に合わせて区画ごとに。一房ずつ手で摘み、果粒ひとつぶまで選果します。収穫したぶどうはポンプを使わず重力だけで発酵タンクへ送られます。状態によっては一部の梗を手で取り除くなど、果粒をなるべくつぶさない扱いです。発酵のあとは温度を管理したカーブで、フレンチオークの樽で熟成します。カーブは真夏でも15℃を超えず、床の一部はコンクリートを打たずに砂利で敷き固めた土間にして、自然の調湿を生かしています。瓶詰めの際に清澄とろ過はしません。
開ける一本を選ぶ
公式サイトの銘柄ページに載っているのは次の4本です。味わいの表現は公式の説明によります。
- Pinot Noir 2021── 単一の自社畑のピノ・ノワール100%。新樽比率は3分の1程度。2020年より淡めの色調で、赤いバラや紅茶、オリエンタルスパイスの香りと説明されています。
- Merlot 2021── 高山村の自社畑のメルロー100%。新樽比率は3分の1程度。濃いルビー色で、熟したプラムやブルーベリー、ハーブ、きのこの香りと説明されています。
- Kurobe Pinot Noir 2020── 最初に植えた黒部区の単一畑のピノ・ノワールだけで造る一本。新樽比率は3分の1程度で、フレンチオーク樽で2年熟成。4分の3は乾燥酵母を加えない自然発酵です。
- Futatsuishi Merlot 2021── 二ツ石の畑の特別な一区画のメルローだけを、新樽100%で熟成。長期熟成もできるとされ、数年後が楽しみな仕上がりと紹介されています。
ヴィンテージの条件もそれぞれ違います。2021年は5月の低温でピノ・ノワールの一部に軽い「花ぶるい」が出て収量は下がったものの、健全に熟したぶどうが収穫できたそうです。メルローは開花が少し遅く、その影響が少なかったと公式サイトは書いています。2020年は梅雨明けが記録的に遅れたものの、8月以降の晴天で挽回しました。
価格の目安として、IMADEYAの商品一覧(税込・750ml、確認時はいずれも販売中ではない表示)では、Merlot 2021が4,180円、Pinot Noir 2021が5,060円、Kurobe Pinot Noir 2020とFutatsuishi Merlot 2021が7,480円でした。IMADEYAの商品説明によれば、2019年ヴィンテージのメルローには初収穫の自社畑のぶどうが使われています。同じ一覧には2023年のメルローも載っています。
踊るエチケット
ラベルのテーマはバレエです。西洋で生まれ、日本で独自の発展を遂げたバレエに、日本で造られるワインと通じるものを感じた、と公式サイトは説明しています。踊るのは東京バレエ団のソリスト、政本絵美さん。一連の踊りをひとコマずつ切り取っているため、同じ銘柄でもボトルごとにダンサーの画像が異なります。ワインは飲む人によって感じ方が違う、エチケットと同じように完全に同じものはない、という思いが込められています。手土産にするなら、この話を添えて渡したくなる一本です。
取扱店で探す
公式サイトによれば、2021年11月の初リリース以来、完売が続いています。そのため取扱店の一覧が公開されています(2024年1月更新)。関東のいまでや、日本ワインショップ 遅桜、SAKE MIZUHASHI、銀座NAGANO、長野県の新崎酒店(須坂市)やアッソヴィーニ・キイチ(小布施町)、藤田屋酒店(高山村)などのほか、中部や関西の店も並びます。在庫切れの店も多いとのことで、在庫は直接確かめるのが確実です。次回リリースの情報は公式Instagram(@viniqrobe)に載せると案内されています。
Go NAGANOの記事によれば、高山村の信州たかやまワイナリー、カンティーナ・リエゾー、ヴィニクローブは歩いて10分以内の距離にあります。ただし見学には事前の連絡が求められており、記事は作業の状況によっては対応できない場合もあるとしています。訪ね方の心得は第51講 ワイナリー訪問に、村の位置づけは産地:長野と第72講 長野完全編にまとめています。

