高山村で最初のワイナリー
カンティーナ・リエゾーは、長野県北部、上高井郡高山村にあるワイナリーです。公式サイトは自らを「信州・高山村のワイン農家」と名乗り、北アルプスと善光寺平を望むしだれ桜の里で、ぶどう畑と小さな醸造所を家族で営んでいると紹介しています。所在地は高山村大字高井4217です。
長野県の観光情報サイト「Go NAGANO」(2025年9月更新)によれば、村内のワイナリーのうち最初に開設されたのがカンティーナ・リエゾーで、開設は2015年。同じ記事では、湯本さん夫妻が自宅に隣接するりんご畑を借り受け、2007年からワイン用ぶどうに植え替えたと紹介されています。2018年の雑誌記事は、畑を「標高約600mの西斜面」に広がる小さな畑と描き、栽培から醸造までをオーナーの湯本康之氏がひとりで手がけていると伝えました。
湯本氏は、飯綱町のサンクゼールのワイン部門で働いたのちに独立し、資金の一部をクラウドファンディングで集めてワイナリーを立ち上げたと報じられています(2019年の雑誌記事)。ワイナリーの名前は、苦労をともにしてきた奥様の理絵さんに由来するとされます。高山村は、村のワイン用ぶどう栽培が1990年代に始まった新しい産地で、いまは信州たかやまワイナリーをはじめ複数の造り手が集まっています。その最初の一軒が、この家族のワイナリーでした。
機械を入れない畑と、4つの品種
公式サイトが挙げる栽培品種は、シャルドネ、メルロー、そしてバルベーラとドルチェットです。後の2つはイタリア北西部ピエモンテを代表する黒ぶどうで、日本で育てる造り手はまだ多くありません。公式サイトでは「この地の未来を託した」品種と位置づけています。ピエモンテでの役割は第48講 北イタリア完全編で解説しています。ワイナリー名の「カンティーナ」もイタリア語で醸造所を指す言葉で、イタリアへの思い入れがうかがえます。
畑づくりの方針も特徴的です。公式サイトによれば、土を締め固めないよう乗用の草刈機やスピードスプレヤー(薬剤散布機)は使わず、すべての作業を人が歩いて手で行っています。また、除草剤や殺虫剤に頼らない畑にしていると説明しています。手間はかかりますが、傾斜地の小さな畑だからこそ選べるやり方といえそうです。
温度管理も濾過もしない醸造
醸造について、公式サイトは「操作しない、待つしごと」と表現しています。畑と醸造所が近いことを生かし、収穫したぶどうをすぐに醸造所へ運ぶ「キロメトロゼロ(距離ゼロ)」の考え方を大切にしているそうです。醸造所の気温や空気そのものもテロワールの一部ととらえ、人為的な温度管理や炭酸ガスの使用はせず、最後も濾過をせずに瓶詰めすると説明しています。
このため、白ワインにはかすかな濁りが見られるものもあります。公式サイトに載る代表的な銘柄は次の3本です(ヴィンテージは掲載時点のもの)。
- Ciao Ciao ROSSO 2023 MERLOT ── メルローの赤。ラズベリーやプルーン、バラの香りに、若々しい酸と細やかなタンニンが続くと紹介されています。温度で表情が変わる赤とされます。
- Ciao Ciao BIANCO 2023 Barbera ── 黒ぶどうのバルベーラから造る白。麦わら色で、ほどよいボリュームと細かくビターなタンニンがあるとされます。
- RIEZO BIANCO 2025 CHARDONNAY ── シャルドネの白。青梅や白桃、文旦の香り、和柑橘のような苦みがアクセントと紹介されています。
2025年11月には「CHARDONNAY BEL VEDERE 2024」もリリースされました。少量生産のため、品ぞろえは時期によって変わります。最新は公式のオンラインショップで確認してください。
2023年新設のラウンジを訪ねる
公式サイトによれば、2023年に新設したラウンジで、ワインの販売と有料の施設見学を行っています。見学はぶどう畑と醸造所の見学に、ラウンジでの3種テイスティングが付く内容で、所要時間は約1時間30分〜2時間。料金はひとり1,980円(税込)、運転などで飲まない人は990円(税込)です。テイスティングのワインは指定できません。
注意したいのは予約の扱いです。見学は前日までの予約制で、買い物だけの来店でも予約をお願いしています(造り手が畑に出ていて不在の場合があるため)。予約は公式サイトの来店予約フォームから行い、返信メールで可否が伝えられます。また、収穫と仕込みの繁忙期は休みになります。2026年は9月12日〜11月1日の見学&テイスティングを休止すると告知されており、2024年・2025年も9〜10月はラウンジ営業を基本的に休んでいました。大型連休やお盆には、グラスワインの提供など特別営業が告知されたこともあります。訪問の心得は第51講 ワイナリー訪問完全編も参考にしてください。
なお、公式サイトのイベント告知ではラウンジの所在地を「高山村大字高井4210-1」と記しており、醸造所の番地(4217)と表記が異なります。カーナビなどで向かう際は、予約時に確認すると安心です。
アクセスと、高山村の巡り方
公式サイトによれば、車なら上信越自動車道・須坂長野東ICから約20分。電車ならJR長野駅から長野電鉄線で須坂駅まで行き、タクシーで約15分です。Go NAGANOでは、路線バスの「役場前」バス停から徒歩15分ほどとも案内していますが、本数が少ないため事前の確認がすすめられています。試飲をするなら、運転は避けて計画しましょう。
同じ村の信州たかやまワイナリーはすぐ近くで、公式の告知では徒歩10分、Go NAGANOの記事では徒歩15分とされています。カンティーナ・リエゾーは他の造り手のワインの委託醸造も引き受けており、2026年4月には自社と委託先5者のワインを楽しめるワインフェス「Riezo itto 2026」を開きました。公式の告知によれば、春に咲く「黒部のエドヒガンザクラ」までは徒歩8分ほどです。須坂の楠わいなりーや小布施の小布施ワイナリーも同じ長野北部です。千曲川沿いに広がる産地の全体像は第72講 長野完全編で紹介しています。
