十勝川温泉の南斜面に生まれた、新しい醸造所
十勝が丘ワイナリーは、北海道河東郡音更町の十勝川温泉、北14丁目4番10にあるワイナリーです。運営は十勝ぶどう園株式会社。公式サイトによれば、十勝川温泉にワイン用ぶどうの栽培農園を取得し、2020年に「十勝ぶどう園」として歩みはじめました。ぶどう畑は十勝が丘公園に隣接し、十勝平野を見渡せる場所にあると公式サイトは紹介しています。
醸造所ができたのはその5年後です。北海道庁がまとめた「Wines of HOKKAIDO」の道東エリア(令和8年2月現在)によれば、十勝が丘ワイナリーは2025年4月に醸造免許を取得しました。同じ資料は、ここを十勝初の有機加工認証ワイナリーと紹介しています。自社で有機栽培したぶどうを原料に、オーガニックワインを造るワイナリーです。公式サイトは、ぶどうの栽培から醸造、瓶詰めまですべての工程を自分たちで行うと書いています。
畑と品種 ── 山幸と清舞を有機栽培で
育てているのは、山幸(やまさち)と清舞(きよまい)という北海道の品種です。どちらも同じ十勝の十勝ワイン(いけだワイン城)や十勝まきばの家ワイナリーでも使われている品種です。清舞のワインについて公式サイトが「山葡萄由来の凜とした酸味」と書いているように、山ぶどうの血を引く品種でもあります。交配で生まれた品種の考え方は第69講 交配品種とクローンにまとめています。
公式サイトは、農法について「人や環境にやさしい」「自然に逆らわず自然を尊重した」ワイン造りを目指すと書いています。ラインナップのページでは、ぶどうは一房ずつ時間をかけ、病虫害を抑えながら育てた有機栽培ぶどうだと紹介されています。畑の広さは、北海道庁の資料の本文では2020年から取り組んできた南斜面の圃場が約1.6ha、データ欄の栽培面積は2.55haとされています(時点の違いと考えられますが、公式サイトには面積の記載がありません)。
『オトプケ浪漫』── 山幸と清舞の一本
ワインの名前は『オトプケ浪漫』。公式サイトのラインナップには山幸と清舞のヴィンテージ違いが並びます。2026年11月1日時点で販売中とされているのは、『山幸 2024』『清舞 2025』『山幸2025G』『GODZILLA EDITION 山幸2025』などです。過去には『山幸 2022』『山幸 2023』『清舞 2023』『清舞 2024』、ロゼのスパークリング『ポンノロゼスパークリングワイン 2025』も出ています。
2026年に出た3本の案内は、それぞれに読みどころがあります。
- 『山幸ロゼ2025』ハーフボトル(375ml):6月5日のお知らせで「十勝初オーガニックワイン第三弾」として発売。要望の多かった小さな瓶で、数量限定。オンラインショップとワイナリーショップだけで扱うとされています(ロゼワイン)。
- 『清舞 2025』:7月24日発売。十勝が丘の南斜面で育てた清舞を使い、木苺を思わせる甘酸っぱい果実味、山ぶどう由来の酸、樽熟成による奥行き、と公式サイトで紹介されています。
- 『GODZILLA EDITION 山幸2025』:11月3日発売で、10月2日から先行予約。音更町ゆかりの作曲家・伊福部昭さんが手がけた映画「ゴジラ」のテーマ音楽を聴かせて熟成させた、と公式サイトは説明しています。オンキヨーの加振技術を使った商品で、『山幸2025G』との飲み比べセットもあります。
価格は公式サイトのお知らせには載っておらず、公式オンラインショップで確認できます。北海道庁の資料では、ワイナリーのショップとオンラインのほか、音更町・帯広市の酒販店、道の駅おとふけ、道の駅ガーデンスパ十勝川温泉でも買えるとされています。
訪ねる ── 見学通路、ワインサーバー、チーズとソフトクリーム
公式サイトによれば、ぶどう畑に隣接する醸造施設を見学でき、ワイナリー内には試飲用のワインサーバーが置かれています。おつまみのチーズと一緒に、気軽に味を確かめられる仕組みです。北海道庁の資料は、試飲はラクレットチーズ付きで、見学通路からワイナリーの内部を見られると紹介しています。試飲の料金と、見学・試飲に予約が要るかどうかは、公式サイトに記載がありません。
敷地内ではオリジナルのソフトクリームと、隣接する十勝プライド(十勝品質事業協同組合)が開発したチーズも売られています。十勝のチーズと山幸を同じ場所で選べるのは、このワイナリーならではの組み合わせです。
営業時間は9:00〜16:00、休みは火曜・水曜(祝日などは営業)。冬は時間が短くなり、2026年10月30日のお知らせでは、11月19日〜翌年4月12日は10:00〜15:00、4月15日から通常の時間に戻るとされています。駐車場や公共交通での行き方は公式サイトに書かれていないため、出かける前に電話(0155-67-1981)か公式サイトで確かめてください。ここに書いた条件は2026年11月1日に公式サイトと北海道庁の資料で確認したもので、季節や年によって変わります。
十勝のワインのなかで
十勝には池田町の十勝ワインをはじめ、いくつものワイナリーがあります。山幸と清舞を有機栽培で育て、温泉街の丘で小さく醸す十勝が丘ワイナリーは、同じ品種を別の土地と別の農法で表す、新しい担い手のひとつです。芽室町のMEMURO WINERYと合わせて回れば、十勝平野のなかでも造り手ごとの違いが見えてきます。十勝川温泉に泊まる旅の、午前の一軒にしやすい立地でもあります。北海道全体の産地の流れは第68講 北海道完全編、ワイナリーを訪ねるときの心得は第51講 ワイナリー訪問完全編で。
