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日本のワイナリー

10R Winery(トアールワイナリー)

10r-winery / 創業 2012年
産地
北海道岩見沢市
代表銘柄
上幌ワイン 風・上幌ワイン 森
どんなワイナリー?

10R Winery(トアールワイナリー)は、北海道岩見沢市栗沢町にあるカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)です。北海道庁の資料によれば2012年に醸造免許を取得。ぶどう農家が持ち込んだぶどうを、それぞれの考えに沿ったワインに仕上げる「醸造の場」として開かれ、創設者は米カリフォルニアや栃木のココ・ファーム・ワイナリーで醸造家を務めたブルース・ガットラヴ氏です。自社畑のワイン「上幌ワイン」も造っています。直売所はなく、訪問・見学は受け付けていません(道の資料・2026年2月現在)。

この記事の目次

北海道で珍しい「受託醸造所」

10R Winery(トアールワイナリー)は、北海道空知地方の岩見沢市栗沢町上幌1123-10にあるワイナリーです。北海道庁が公開している「北海道内のワイナリー紹介」(2026年2月現在)によれば、2012年に栗沢地区に生まれ、同じ年に醸造免許を取得しました。運営は合同会社10R。公式サイトは、自らをカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)と紹介しています。

カスタムクラッシュとは、ぶどうを育てる農家が自前の醸造所を持たずに、設備の整ったワイナリーでワインを仕込む仕組みのことです。公式サイトは「欧米では一般的ですが、日本ではまだなじみが薄いかもしれません」と書き、空知信用金庫の地域情報誌(2024年5月号)は「日本初のカスタムクラッシュワイナリー」と紹介しています。原料は北海道産のぶどうだけ。地域のぶどう農家が育てた質の高いぶどうを、ほかにないワインに仕上げる手伝いを通じて、北海道の産地としての力を最大限に引き出すことが目標だとされています。

創設者ブルース・ガットラヴ氏

道の資料によれば、創設者のブルース・ガットラヴ氏は、アメリカ・カリフォルニアや、栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーで醸造家として活躍したのち、2009年に北海道へ移り住みました。ぶどう農家が自ら個性の違うワインを造る機会が必要で、やがて独立したワイナリーが増えていくことが北海道の産地の潜在力を引き出す——そう考えて受託醸造所を開いたと紹介されています。

公式サイトの見学案内には、10Rは「家族だけで運営している小さなワイナリー」とあります。2017年の告知では、ブルース氏と亮子氏が持ち込むぶどうから造るワインのラベルが「上幌ワイン」だと説明されています。

一つの醸造所から、いくつものラベル

受託醸造所では、畑の場所も栽培の考え方も違う複数の生産者が、同じ空間で同じ時期に、協力しながら仕込みを進めます。公式サイトの「生産者のご挨拶」によれば、10Rで造られるワインはどれも10Rのロゴが入る一方で、「一つとして同じ味のワインはありません」。畑でもワイナリーでも、できるだけ人の手を入れないという点で造り手たちは一致している、と書かれています。

同じページには、2012年の仕込みでワインが生まれた生産者として、ココ・ファーム・ワイナリー、上幌ワイン、Kondo Vineyard(KONDOヴィンヤード)、Nakazawa Vineyard、Takizawa Wine(タキザワワイナリー)の名前が挙がっています。その後も受託は続いており、ココ・ファーム・ワイナリーが岩見沢市栗沢町茂世丑の畑で2021年に初めて収穫したぶどうのペティアン・ナチュール(微発泡のワイン)は、同社の資料に「醸造場:10Rワイナリー」と記されています。2025年8月には、北星学園大学が開学60周年を記念したスパークリングワイン「+sparkle」の完成を発表し、その醸造を10Rが手がけたと紹介しました。

岩見沢市が2026年3月に公表した資料では、10Rは市内の造り手でつくる岩見沢ワイン生産者協議会「葡萄酒の○岩(まるがん)」の構成員として、KONDOヴィンヤード、宝水ワイナリー、ココ・ファーム・ワイナリーの「こことある」などと並んでいます。

自社畑のワイン「上幌ワイン」

10Rは受託醸造のほかに、自社のワイン「上幌ワイン」も造っています。公式サイトの2017年の告知によれば、上幌ワインには大きく二つの系統があります。

  • 尊敬する北海道の農家から分けてもらうぶどうのワイン── 代表は「藤澤農園余市ケルナー」。2012年産は2013年8月に発売され、翌月に完売。2014年産「塞翁が馬」は2016年10月に発売され、すぐに完売しました。
  • 上幌の自園のワイン── 2009年に苗木を植え、2012年に最初の収穫。ソーヴィニヨン・ブランを主体にした白の「森」と、ピノ・ノワールを主体にした赤の「風」の二つが毎年生まれると説明されています。

2014年産の藤澤農園余市ケルナーは、貴腐のついた完熟ぶどうだったため、野生酵母での発酵は難しいと最初から分かっていたそうです。教科書どおりに酵母を足したり、亜硫酸やろ過で発酵を止めたりする代わりに、10Rは「待つ」ことを選びました。発酵は1年以上かけてゆっくり進み、2016年の年明けごろ、糖を少し残したまま止まった——と公式サイトは振り返っています。このほか、2014年産の「木村農園余市ピノ・ノワール」や「余市ツヴァイゲルトレーベ」のデータシートも公開されています。

道の資料では、自社畑は1.5ha、主な醸造品種はピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブラン、主なラインナップは「木村農園ピノノアール」「風」「森」です。

訪ねる前に知っておきたいこと

10Rは訪問できないワイナリーです。北海道庁の「北海道内のワイナリー紹介」(2026年2月現在)では、直売所は「無」、訪問・見学は「不可」とされています。公式サイトにも、2016年10月から一般のお客様への販売とメーリングリストの受付を休止するという告知が出ています。

資料には食い違いもあります。公式サイトの「見学について」には、9〜11月の収穫・仕込みの時期は見学を受けず、それ以外は事前に問い合わせてほしいという案内が残っています。空知信用金庫の情報誌(2024年5月号)も「畑の見学と醸造所の見学は要問い合わせ」と書いていました。ただ、公式サイトの更新は2017年ごろで止まっており、いちばん新しい道の資料は「不可」です。このページでは道の資料に従い、訪問はできないものとして扱います。

ワインは、道の資料によれば酒販店やレストランを通じて販売されています。流通量は少なく、北星学園大学の発表でも「市場では入手困難」と紹介されていました。岩見沢周辺で訪ねられるワイナリーを探すなら、直売所のある宝水ワイナリーや、三笠市のタキザワワイナリー、山崎ワイナリー(直売所は土日祝のみ)が候補になります。長沼町の馬追蒸溜所も、週末に直売所と見学ツアーを開いています。北海道の産地の全体像は第68講 北海道完全編、訪問のマナーは第51講 ワイナリー訪問で整理しています。

よくある質問

10R Winery(トアールワイナリー)はどんなワイナリー?
北海道岩見沢市栗沢町にある、日本では珍しいカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)です。北海道庁の資料によれば2012年に醸造免許を取得し、運営は合同会社10R。北海道産のぶどうだけを原料に、複数の生産者がそれぞれのワインを同じ醸造所で造ります。創設者のブルース・ガットラヴ氏は、カリフォルニアや栃木県のココ・ファーム・ワイナリーで醸造家として働いたのち、2009年に北海道へ移り住みました。
見学や試飲、ワインの直接購入はできる?
できません。北海道庁の「北海道内のワイナリー紹介」(2026年2月現在)では、直売所は「無」、訪問・見学は「不可」とされています。公式サイトでも、2016年10月から一般のお客様への販売を休止すると告知されています。道の資料では、購入方法は酒販店とレストランです。
「受託醸造」とは?どんな造り手のワインが生まれている?
ぶどうを育てる農家が、自分の醸造所を持たずに、設備のあるワイナリーでワインを造る仕組みです。10Rの公式サイトによれば、2012年の仕込みでは、ココ・ファーム・ワイナリー、上幌ワイン、Kondo Vineyard、Nakazawa Vineyard、Takizawa Wineのワインがここで生まれました。道の資料は、農家が自らワインを造る機会を作り、独立したワイナリーが増えることが北海道の産地の力を引き出す、という考えから開かれたと紹介しています。

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最終更新: 2026-10-22 / 編集: Vinotier編集部