池田町で58年ぶりのワイナリー
十勝まきばの家ワイナリーは、北海道中川郡池田町清見144-1にある「十勝まきばの家」の敷地で、ぶどうを育ててワインを造っています。運営は帯広市に本社を置く株式会社大地(代表 林秀康さん)。
池田町といえば、1963年に町がワイン造りを始めた十勝ワイン(いけだワイン城)が知られていますが、こちらは別のワイナリーです。北海道庁のワイナリー紹介(令和8年2月現在)によれば、十勝まきばの家は2015年にぶどう栽培を始め、2021年に醸造免許を取得しました。池田町に新しいワイナリーが生まれたのは58年ぶりとされています。
町営レストランから滞在型施設へ
「十勝まきばの家」の歴史は、ワイナリーよりずっと長いものです。公式サイトの年表によれば、1975年に町営のレストランとして始まり、1991年に7棟のコテージ村が開業。2006年に株式会社大地が運営を引き継ぎ、2025年に50周年を迎えました。
北海道新聞の報道によれば、2026年4月23日に旧コテージ7棟を全面改装してリニューアルオープンし、食事やワイン、サウナの利用を宿泊料に含むオールインクルーシブの方式を取り入れました。ワイン樽を再利用したバーや、専用のドッグランも新しく設けられています。
いまの敷地には、受付を兼ねたワインショップ、ワイナリー、ヴィラ7棟(愛犬と泊まれるヴィラもあります)、レストラン、ワイン樽のサウナ、屋外と屋内のドッグラン、RVパークとオートサイト、フリーサイトが並びます。夜は19:00〜20:30に焚き火を囲む「焚き火BAR」が開かれ、冬はホットワインも出ると公式サイトにあります。
7.5haの畑と池田町の品種
畑は7.5ha。公式サイトと北海道庁の資料によれば、育てているのは清見、清舞、山幸、ナイアガラ、ニューナイアガラです。清見・清舞・山幸は、いずれも池田町の十勝ワイン(池田町ブドウ・ブドウ酒研究所)が寒い十勝の気候に合わせて生み出してきた品種で、同じ町の二つのワイナリーが、同じ品種でそれぞれの味を造っています。交配で生まれた品種の成り立ちは第69講 交配品種とクローンで整理しています。
公式サイトには月ごとの畑仕事が載っています。4月に冬越しの防寒シートを外して枝を上げ、5〜8月は芽かきや誘引、房の調整、9〜10月に収穫・選果・醸造、11〜12月は剪定と雪や獣害への備え。冬を越す手入れまでが一年の仕事に入っています。ぶどうの栽培から醸造、瓶詰めまでを自社で行っており、2026年10月2日には2026年ヴィンテージの収穫と仕込みが始まったと告知されました。
「祐瑞」と清見ブラン
代表的なワインとして北海道庁の資料が挙げているのは、黒ぶどうの清見から造る白ワイン「清見ブラン」と、2024年に発売した瓶内二次発酵のスパークリング「祐瑞(ゆうすい)KIYOMI SPARKLING」です。
公式サイトによれば、祐瑞は清見を使ったロゼの辛口で、果汁ごとに発酵させてから合わせ、瓶の中で二度目の発酵をさせる伝統的な方法で仕上げています。アルコール度数は12.5%、飲み頃の温度は5〜8℃と案内され、2026年8月12日に新しいヴィンテージが出ました。自社で育てたぶどうだけで瓶詰めまで手がける造り手を、シャンパーニュでは「レコルタン・マニピュラン」と呼びますが、公式サイトは自らをそう表しています。泡の造り方の違いは第13講 スパークリングワイン完全編で比べています。
ほかに公式サイトに並ぶのは、清見・清舞・山幸それぞれの樽熟赤(樽熟成のシリーズは2025年7月に発売)、セミスパークリングと白の「翠嵐」、清見セミスパークリングロゼです。ぶどうジュース(清見・清舞・山幸)と、自社で育てたミニトマトの無添加ジュースも造っており、トマトジュースはJALのファーストクラスに採用されたと北海道庁の資料にあります。ワインは敷地のショップと公式オンラインショップで買えます。
見学・試飲と食事
公式サイトによれば、ワイナリー見学は14:30〜15:30(宿泊のチェックイン前の時間帯)で、要事前予約。醸造家の案内でワイナリーを巡り、試飲も含まれます。北海道庁の資料では「有料・要予約」とされています。15〜20分ほどで剪定や芽かき、収穫などを手伝うぶどう畑の栽培体験(要事前予約)もあります。料金や定員、宿泊しない人も参加できるかは公式サイトでは確認できなかったため、受付(015-572-6000)に問い合わせてください。2025年11月には日帰りのワイナリー見学とぶどう染め体験のツアーが開かれたこともあります。
レストラン「Forest dining 清見」は11:00〜15:00の営業で、十勝の食材を使い、パンやソースを店で仕込んでいると紹介されています。自社ワインはグラスで頼め、3種の飲み比べもあります。受付・ワインショップは9:00〜18:00。どちらも水曜定休(GW・夏休み期間は営業)で、年末年始は休みます。ショップには自社のワインとジュースのほか、十勝のチーズや地サイダー、ワインに合わせる缶詰が並びます。
行き方
公式サイトによれば、JR池田駅からタクシーで約5分。JR帯広駅からは列車で池田駅まで約30分、車なら約40分です。帯広空港からはレンタカーで約50分で、帯広広尾道の幸福ICから道東道に入り、池田ICで降ります。北海道観光振興機構の案内では池田ICから約15分。受付の正面に駐車場があります。ワインを飲むなら、運転する人を決めておくか、泊まりで計画すると落ち着いて過ごせます。
同じ池田町の十勝ワイン(いけだワイン城)と合わせて訪ねると、清見や山幸が町でどう育てられてきたかがよく見えます。北海道の産地の全体像は産地:北海道と第68講 北海道完全編、ワイナリーを訪ねるときの心得は第51講 ワイナリー訪問で整理しています。
