廃校の体育館が醸造所になった
上ノ国ワイナリーがあるのは、渡島半島の日本海側、檜山郡上ノ国町の内陸にある湯ノ岱(ゆのたい)地区です。北海道庁の「北海道内のワイナリー紹介」(道南エリア)によれば、町の活性化を目指し、ワイナリーとサテライトオフィスの複合的な事業構想のもとで2021年に作られました。醸造所は旧湯ノ岱小学校の体育館を改装したもの。公式サイトの施設概要も、廃校をリノベーションしたワイナリーとサテライトオフィスの複合施設と紹介しています。
運営は上ノ国開発株式会社(代表取締役・丸山和之さん)。北海道庁の資料は、旧校舎を改装した宿泊施設付きのワーケーションスペースを持つワイナリーは全国で初めてとし、小規模な醸造家を育てる施設としての利用も見込んでいると書いています。公式サイトのブランドコンセプトは「上ノ国町の大地から『世界』に愛されるワインを届けたい」。2026年10月には、カザフスタンの首都アスタナの日本製品スーパーで、カザフ語ラベルのワインの販売を始めたとニュース欄で報告しています。
町の畑と、道内外のぶどう
公式サイトによれば、ワインには国産のぶどうと、上ノ国町で栽培したぶどうを使います。北海道庁の資料では、2021年からシャルドネとピノ・ノワールを1haで育て始め、2022年に8haへ広げて2025年からの収穫を目指していました。主な醸造品種はシャルドネ、メルロ、ピノ・ノワール、セイベルです。
ワイナリーに隣接する畑の一部は、「GACKT Vineyard」として開かれています。運営会社のサイトによれば、ピノ・ノワールを植えた畑で、苗木のサポーターを募る仕組み。2026年10月にはサポーター向けのツアーで苗木見学やワイナリー見学、試飲が行われ、約800本のぶどう摘みを体験したことが北海道新聞に取り上げられたと、公式サイトのニュースにあります。
これまでのワインは、自社畑の収穫を待つあいだ、道内外のぶどうで仕込まれてきました。公式サイトの商品ページに書かれた収穫地は、セイベルが北海道厚沢部町、ナイアガラが余市町、シャルドネと赤のブレンドが山梨県。醸造はいずれも湯ノ岱の醸造所です。
主な銘柄
公式サイトの銘柄一覧(2026年11月1日確認)より。価格は公式サイトに載る希望小売価格(税込・750ml)で、参考です。
- 『上の泡 セイベル ロゼスパークリング 2021』——厚沢部産セイベルをシャンパーニュ製法(瓶内二次発酵)で仕込んだ、ワイナリーの第1号。3,850円(参考)。公式サイトでは完売と案内。
- 『上の泡 セイベル ロゼスパークリング 2022』——同じく厚沢部産セイベルの「上の泡」第二弾。アルコール分11.5%。4,400円(参考)
- 『上の赤 2022』——山梨県産のメルロー、プティ・ヴェルド、北杜の雫。公式の商品説明では、果実味にスパイシーさが加わった濃い赤と紹介。4,400円(参考)
- 『上の白 シャルドネ 2023』——山梨県産シャルドネを上ノ国で醸造。柑橘系の香りとフレッシュな酸の辛口と紹介。4,400円(参考)。2021年はワイナリー初の白で、完売。
- 『上の白 ナイアガラ 2022』——余市町産ナイアガラ100%の微発泡。アンチェストラーレ製法で、濾過せずに瓶内の酵母の澱ごと楽しむワインと説明。3,850円(参考)
北海道庁の資料は、2022年7月のロゼのスパークリングをファーストリリースとしています。購入はワイナリーショップのほか、公式のオンラインショップや、公式サイトから案内される通販サイトで扱われています。
訪ねる:ショップ、見学、泊まれる校舎
北海道庁の資料(R8.2現在)では、直売所あり。訪問・見学は、宿泊施設と直売所は開館時に常時可能、製造現場は作業時と仕込みの時期以外とされています。定休日は不定休です。
公式サイトのワイナリーページは、ワインショップでワイナリーのワインと上ノ国町の物産品を販売し、ワインをその場で楽しめる空間も用意すると紹介しています。ただし試飲の有無や料金、ショップの営業時間は公式サイトでは確認できませんでした。
サテライトオフィスには、フリースペース、グループルーム、個室があり、個室8室はシャワー・トイレ・ベッドを備えた宿泊可能なタイプです。公式サイトの基本料金では、個室の1day利用が7,500円〜、フリースペースは1時間500円から。宿泊の料金は確認できませんでした。所在地は上ノ国町字湯ノ岱243-4、ワイナリーの電話は0139-56-1260。条件は変わることがあるので、出かける前に電話か公式サイトで確かめてください。
道南のワインの中で
日本海側では、北に乙部町のおとべワイナリー、沖に奥尻ワイナリーがあり、函館周辺には老舗のはこだてわいんや、北斗市のDue Punti Vineyardsなど新しい造り手が集まります。上ノ国ワイナリーは、廃校を醸造と滞在の場に変え、町外のぶどうで仕込みながら自社畑の実りを待つ途中のワイナリーです。北海道の産地全体は北海道の産地ガイドと第68講 北海道完全編に、ワイナリーを巡る準備は第51講にまとめています。
