2015年、新田の丘から
グレープリパブリック(GRAPE REPUBLIC)は、山形県南陽市新田にあるワイナリーです。公式サイトの会社概要によれば、株式会社グレープリパブリックの設立は2015年8月4日。代表取締役は平高行さんで、関連会社に有限会社ジュン・アンド・タン、LE VIN NATURE 株式会社が並びます。
ぶどう栽培は2015年に始め、当初から有機農業を実践してきました。醸造施設が完成したのは2017年9月末。公式サイトは、南陽市を「北に丘陵、南に沃野が広がる」土地と紹介し、一日の寒暖差が大きく湿度の低い気候と、水はけのよい地質がぶどう作りに向いている、としています。
社名の「リパブリック(共和国)」には理由があります。公式サイトのVISIONには、耕作放棄地が目立つ地域で質の高いぶどうとワインを生み出し、新規就農者や新しいワイナリーを集めて畑を再生させたい、ゆくゆくは南陽市の名産品とのコラボレーションやアグリツーリズムも広げ、街全体で「ぶどう共和国」と呼べる産地をつくりたい、と書かれています。
醸造責任者・矢野陽之さん
造りを率いるのは、取締役兼醸造責任者の矢野陽之さんです。公式サイトによれば、1989年神戸市生まれ。調理師学校を出て神戸市のイタリアンレストランで働き、ソムリエの資格を取ったあと、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドでぶどう栽培とワイン醸造を学びました。ニュージーランドでは、同社のアドバイザーでもあるアレックス・クレイグヘッド氏に師事。2018年に同社に加わるため帰国して南陽市に移り、2019年から醸造責任者を務めています。
“Made from 100% Grapes”と17基のアンフォラ
グレープリパブリックを言い表す言葉が“Made from 100% Grapes”です。原料は南陽市の風土で育てたぶどうだけ。公式サイトは、栽培で除草剤や殺虫剤などの農薬、肥料を使わないこと、醸造で酸化防止剤を使わず、補糖・補酸もせず、酵母は天然のものだけにすることを明記しています(造りの考え方は第45講 ナチュラルワイン完全編、酸化防止剤の役割は用語集に)。
醸造施設のいちばんの特徴は、スペインから直輸入した陶器の醸造かめ「アンフォラ」17基です。収穫したぶどうを除梗機で実と枝に分け、足で踏んで破砕し、アンフォラへ。ほかの菌に冒されないよう二酸化炭素とともに密閉すると、あとは自ら発酵してワインになる、と公式サイトは説明しています。
畑と品種
公式サイトによれば、総栽培面積は3ha。足りない分は地元の農家からぶどうを買って仕込んでいます。いま中心にしているのは、この地域の名産である生食用のデラウェア。2019年と2020年には、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、サンジョヴェーゼ、ネッビオーロ、ガメイ、アルバリーニョ、ソーヴィニヨン・ブランなどのヴィニフェラ種も植えました。これらの収量はまだ少ないものの、着実に増えているといいます。
GI山形の公式サイトには、デラウェアとスチューベンを使ったオレンジの「アランチョーネ2021」と、オレンジの「Cuvee Shinden 2022」がGI山形の認定ワインとして載っています。
主な銘柄
価格は2026年11月1日時点の公式オンラインショップの税込価格です(参考)。
- アンフォラ ビアンコ 2024——白・辛口。3,960円
- ビアンコ 2024——白・辛口。3,190円
- アランチョーネ 2024——オレンジワイン・辛口。3,190円
- キュベ新田 2023——オレンジワイン・辛口。畑のある地名を冠した一本。4,620円
- ヌメロ チンクエ 2024——自社栽培ぶどうの赤・辛口。4,620円
- アッセンブラッジョ 2024——赤・ミディアム・辛口。4,180円
- メルロー 2023/カベルネ ソーヴィニヨン 2023/カベルネフラン 2023——赤。各4,400円
- アロマティコ 2025——微発泡・辛口。2,970円
- アップルリパブリック 2024——辛口のシードル。2,750円
オレンジワインの造りは第55講 オレンジワイン完全編で詳しく扱っています。
訪ねるなら
所在地は山形県南陽市新田3945-94。公式サイトのFAQによれば、見学などの一般公開は通常行っておらず、ショップもありません。ただし平日9:00〜16:00(12:00〜13:00を除く)なら、ワイナリーでワインを購入できます。支払いは現金とキャッシュレスに対応し、マイバッグの持参を呼びかけています。同じページのSHOP DATAでは営業時間を平日9:00〜17:00、定休日を土日祝・年末年始・夏季休業としているため、買いに行くならFAQの案内どおり平日16:00までに着くよう計画すると確実です。試飲の有無、駐車場、駅からの行き方は公式サイトで確認できませんでした。
収穫祭などのイベントは公式サイトのNEWSで告知されます。条件は変わることがあるので、出かける前に電話(0238-40-4130)で確かめてください。
赤湯温泉の町なかには、金渓ワイン 佐藤ぶどう酒、大浦葡萄酒、酒井ワイナリーと、戦前から続く蔵が並びます。古い蔵が守ってきたデラウェアを、新しい世代がアンフォラとオレンジワインで読み替える。その対比を一本ずつ並べて飲めるのが、南陽という町の面白さです(日本の産地の全体像は第9講 日本ワイン産地巡り)。


