週末農業から始まったドメーヌ
Domaine Creation farm(ドメーヌ・クリエーションファーム)は、甲府盆地の北西、韮崎市穂坂町にある新しいワイナリーです。公式サイトの「変遷」に、ここまでの歩みが年ごとに記されています。
始まりは2016年、東京から韮崎市に通う週末の野菜づくりでした。2017年から上ノ山地区でぶどう栽培の研修を受け、毎週のように東京から通う日々が続きます。2019年に定年退職して韮崎市へ移住し、上ノ山に3反8畝(3,800㎡)のぶどう園を借りて栽培を開始。生食用のピオーネを中心に、ゴルビー、ロザリオビアンコ、しなのスマイル、そして生食・醸造用のマスカット・ベーリーAを育てました。
2020年に株式会社Creation farmを設立し、自社栽培のベーリーAでタンクと樽の2種類のワインを委託醸造。2021年に酒類販売業の免許とやまなしGAPを取得し、赤ワインの販売を始めます。2022年に山梨大学のワイン科学士を取得してワイナリー建設に着工、2023年に竣工して自社での醸造を始めました。酒類販売管理者の標識には、中村良行さんの名前があります。
上ノ山の畑と、ドメーヌの一体管理
ぶどう畑は韮崎市上ノ山161-1。公式サイトのアクセス案内では、韮崎インターチェンジの南西、車で約5分の場所と書かれています。商品案内のページは、自社のワインを「ドメーヌとして韮崎市で栽培から醸造まで一体管理され丁寧に造られたワイン」と説明しています。
使うのは自社農園のマスカット・ベーリーAと甲州。2024年からは甲州のオレンジワイン、2025年からはシャインマスカットのオレンジワインの醸造も始めています。ワイン用に栽培から選果まで手をかけたベーリーAは、一部がぶどうジュースにもなり、まだ熟す前の果実を摘んだ調味料「ロワイヤルヴェルジュ」も2021年から販売しています。
公式サイトのお知らせによれば、2025年の日本ワインコンクールで樽熟成の甲州白ワインが銅賞、2026年には2025年産の甲州樽熟成が銅賞、2024年産のマスカット・ベーリーA樽熟成が銀賞を受けています。
主な銘柄と参考価格
公式サイトの商品案内と公式オンラインショップ(2026年11月1日時点)から。販売はセットが中心で、価格は税込・送料別の参考です。
- 赤ワイン(マスカット・ベーリーA)——ベリー系の甘く華やかな香りと渋みの少ない軽やかな口当たりと紹介。樽熟成では樽由来の香りと落ち着きを加えたとしています。
- 白ワイン(甲州)——穏やかな柑橘系の香りとフレッシュな酸味。樽熟成は樽香をしっかり感じる仕上げと紹介。
- オレンジワイン(甲州)——果皮・種と共に発酵させたオレンジワイン。
- 『シャインマスカット醸し』——果皮ごと発酵させた限定280本。2本セット11,000円(参考)。
- 樽熟成 赤&白ワインセット 5,500円、ステンレスタンク熟成の赤&白セット 4,400円、赤のタンク熟成と樽熟成の飲み比べ 4,950円(参考)。
同じワインをタンクと樽熟成に分けた飲み比べセットは、熟成による色・香り・味の違いを楽しんでほしいと説明されています。
訪ねる前に——見学・直売の案内はなし
公式サイトでは、見学・試飲・直売店の営業についての案内は確認できませんでした。ワインは公式のオンラインショップで販売しています。一方でコンセプトのページは「一緒に農業をしませんか」と呼びかけ、5月から10月にかけて芽かき・摘房・袋掛け・収穫などのぶどう栽培の作業体験を紹介し、手伝った人を8月中旬〜9月上旬ごろのぶどう狩りに招待するとしています。日程や申し込み方法は書かれていないため、関心があれば電話(0551-45-8743)で相談してください。条件は変わることがあります。
アクセスは、最寄り駅がJR中央線の韮崎駅、車なら中央道の韮崎ICを出て右折し、道なりに約2km(約5分)と案内されています。
韮崎・穂坂と周辺の造り手
韮崎市の茅ヶ岳山麓には、同じ上ノ山に拠点を置くドメーヌ茅ヶ岳があります。甲府方面へ下れば甲斐市のサントリー登美の丘ワイナリーや敷島醸造(マウントワイン)、北へ向かえば北杜市白州町のシャルマンワイン。勝沼とは違う盆地北西の斜面で、移住者が一から畑とワイナリーを立ち上げた例として、クリエーションファームの歩みは読みごたえがあります。山梨全体の産地像は山梨の産地ガイドと第70講に、日本ワインの見取り図は第9講にまとめています。


