「日本のおへそ」から人をつなぐ
ベリービーズワイナリーは、長野県塩尻市の南西部、宗賀(そうが)地区にあるワイナリーです。英語の名前「Belly Beads」には、日本列島のほぼ真ん中、いわば「おへそ(belly)」にあたる塩尻から、ビーズ(beads)のように人と人をつなげたいという思いが込められていると、長野県の公式サイト「NAGANO WINE」や公式サイトは説明しています。NAGANO WINEでは、桔梗ヶ原ワインバレーの一軒として紹介されています。
運営するのは株式会社ベリービーズワイナリーで、松本市を拠点とする王滝グループの会社です。公式サイトによれば、王滝グループは外食の分野で40年以上の歴史があり、ワイナリーとしては「おうちごはんに合うワイン」を目指しているとされます。ぶどうの栽培と醸造に加え、グループの飲食店での提供や直売も手がけています。
長野県の観光サイト「go NAGANO」によれば、創業は2018年。荒れたぶどう畑に入植し、クラフトワインを造ることを目標に始めたワイナリーで、その畑では塩尻市の「塩尻ワイン大学」の第1期生が植えたぶどうが育っていたと紹介されています。2024年のワイン専門メディアterroir.mediaの記事では、取締役でワイナリー長の川島和叔さんと、2020年から栽培を担う川村泰丈さんが紹介されています。
標高780m、床尾の斜面の畑
公式サイトによれば、農園は塩尻市の床尾(とこお)地区にあり、標高約780mの傾斜地です。塩尻の一般的な畑(標高700〜730m)より少し高い位置にあるとされます。床尾は松本平のいちばん南、北へ流れる奈良井川がつくった扇状地の上にあり、南に鳴雷山、東に八幡山、西に石灰山などの山々がそびえます。北はゆるやかに桔梗ヶ原の台地へと下り、その先に北アルプスを望むと説明されています。公式サイトは、西の山から来る石灰質の土が独特のミネラルをもたらすとも書いています。
栽培では、草を生やしたまま育てる草生栽培や雑草の堆肥を使い、循環型の農業を目指しているとされます。収穫は9〜10月で、品種ごとに糖と酸のバランスを見て時期を決め、一房ずつ手で摘んでいます。terroir.mediaの記事では、地元の農家から引き継いだ畑を含めて3か所の畑を管理していると紹介されています。
主役はナイアガラとコンコード
塩尻のワイン造りは、1890年(明治23年)ごろに始まったぶどう栽培にさかのぼるといわれ、土地に合ったのがアメリカ系のナイアガラとコンコードだったとされます。ベリービーズワイナリーは公式サイトでナイアガラを「主力のぶどう」と位置づけ、この2品種を軸に据えています。公式サイトに載る品種はほかに、メルロー、カベルネ・フラン、マスカット・ベーリーA、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、マルスランです。
ナイアガラは香りがとても強い品種です。そこでこのワイナリーでは、熟しきる前に早摘みして、ナイアガラ特有の香り(フォキシー・フレーバー)を抑えた、食事に合わせやすい辛口に仕上げています。公式サイトの商品説明でも、2024年・2025年のナイアガラは早摘みとされています。
4つのシリーズとシードル
公式オンラインショップを見ると、ワインはおもに次のシリーズに分かれています(価格は750ml・税込、2026年10月16日時点)。
- ルヴァン デュ ボヌール(le vent du bonheur=しあわせの風)──自社畑のほか、桔梗ヶ原、床尾、岩垂原、西条、片丘、洗馬など塩尻市内各地のぶどうで造るシリーズ。早摘みナイアガラの白とコンコードの赤(各1,650円)、コンコードのロゼ、岩垂原のメルローを樽で熟成させた赤(2022年、4,400円)などがある
- ゼフィール(ZÉPHYR=そよ風)──信州のぶどうを選んで造るシリーズ。2023〜2024年のピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなどは収穫地が安曇野市と表示され、750mlは2,420円。180mlの小瓶(660円)もある
- ニシノカゼ──塩尻市桔梗ヶ原のマスカット・ベーリーAで造るシリーズ。赤のα、樽で熟成させてバニラの香りをまとわせたβ、ロゼの3種(各2,750円)
- ヘリテージ プレシャス──複数の年のナイアガラを合わせた辛口のスパークリングと、弱発泡のペティアン(各2,750円)
ワインのほかに、長野県内各地のりんごを産地ごとに仕込んだシナノシードルコレクション(長野・安曇野・松本・塩尻・駒ヶ岳・東御、各330ml・770円)もあります。terroir.mediaによれば、シードルの醸造は2021年に始まりました。ショップにはGI長野やGI長野プレミアムの認定を表示した銘柄も多く並びます。
公式サイトのお知らせによれば、2025年6月の第8回日本ワイナリーアワードで3つ星を受けています。樽で熟成させたワインの味わいの変化は用語:樽熟成を、長野県全体の産地の流れは第72講「長野完全編」を参考にしてください。
訪ね方と買い方
いちばん立ち寄りやすいのは、塩尻駅から徒歩3分の「塩尻駅直売所」(塩尻市大門八番町9-36、王滝ケータリングサービス内)です。公式サイトによれば、地元の食材を使った弁当も売っていて、ワインとセットで買うこともできます。公式サイトは試飲もできるとしています。NAGANO WINEの掲載では、営業は10:00〜16:00、定休日なしです。
醸造所は宗賀2372-1。JR中央本線の洗馬駅から徒歩約10分、車なら塩尻ICから国道19号を木曽方面へ進み、宗賀小学校の近くです。NAGANO WINEとgo NAGANOでは不定休とされ、go NAGANOは営業時間も不定のため電話で確認するよう案内しています。農園の見学は、公式サイトによれば電話(0263-87-0570、受付10:00〜17:00)か問い合わせフォームで事前に連絡すれば受け付けています。2024年のterroir.mediaの記事では、試飲と醸造所の見学は無料で、予約が必要とされています。
遠方からは公式オンラインショップで買えます。電話での受付は平日で、土日祝は休みです。同じ洗馬地区にはヴォータノワインがあり、桔梗ヶ原のシャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリーや、片丘の丘の上 幸西ワイナリーと合わせて巡るのもよいでしょう。ワイナリーを訪ねるときの心得は第51講「ワイナリー訪問」にまとめています。
