美ヶ原のふもと、「長野県ぶどう発祥の地」
山辺ワイナリーは、長野県松本市大字入山辺1315-2にあるワイナリーです。運営は株式会社ぶどうの郷山辺。松本市の公式観光サイトでは、山辺地区の高台にあり、松本平や北アルプスの山並みを望める場所と紹介されています。
公式サイトによれば、山辺地域は美ヶ原高原のふもと、松本平を見晴らす標高600〜850mの土地です。昼と夜の寒暖差が大きく、日照時間も長いため、明治初期からぶどう栽培が始まり、「長野県ぶどう発祥の地」とされています。山辺ブランドのナイアガラ、デラウェア、巨峰は、信州を代表する産地として知られているそうです。
ワイナリーの開業について、長野県の観光サイト「Go NAGANO」は、2002年にJAと地元の農家によって開かれたと紹介しています。公式サイトでは創業年や醸造免許の年は確認できませんでした。
松本平のぶどうだけで、品種ごとに
公式サイトによれば、ワインの原料は松本平産のぶどう100%で、創業以来、バルクワインやマスト(濃縮果汁)は使っていないとされます。ぶどうは契約農家と自社農園から集まります。
- 契約農家のぶどう ── ラブルスカ系のデラウェア、ナイアガラ、コンコード。交雑種の巨峰、マスカット・ベーリーA、サンセミヨン。ヴィニフェラ系のシャルドネ、メルロー、カベルネ・フランなど。野生種の山ぶどうもあります。
- 自社農園のぶどう ── シャルドネ、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン。
「山辺ワイン」はブレンドをせず、銘柄ごとに一つの品種で造るヴァラエタル・ワインと説明されています。2019年更新の宿泊施設の観光ガイドでは、ヴィンテージ別に約30の商品があり、使うぶどうは11品種、日本ワインコンクールで9年連続の受賞とされていました(いずれも当時の情報です)。
造り方について、公式サイトは次のように紹介しています。ぶどうは低温庫で冷やしてから搾り、酸化を抑えてフレッシュな果汁を得ます。果汁は冷却タンクで12〜24時間静かに置いて濁りを沈め、白とロゼは冷却装置付きのステンレスタンクで低温発酵させます。赤ワインは「櫂突き(ピジャージュ)」で、1日朝夕2回、人の手でもろみを混ぜて色と味わいを引き出すそうです。
代表的なワイン
公式サイトのトップでは、山辺の赤、山辺の白、山辺のロゼが紹介されています。国税庁関東信越国税局の「長野県の酒蔵マップ」(2022年)では、代表銘柄としてナイアガラ甘口が挙げられていました。松本市の公式観光サイトのお土産特集でも、コンコードやナイヤガラのワインが取り上げられています。生食用として親しまれてきた山辺のぶどうが、そのままワインの個性につながっているといえそうです。
試飲、レストラン、直売所
長野県松本地域振興局の「味くらべワイナリー巡り」のモデルコースでは、山辺ワイナリーは試飲もできるワイナリーとして紹介されています。ただし、試飲の料金や予約の要否は確認できませんでした。醸造所の見学ができるかどうかも、公式サイトには記載がありません。
敷地内のレストラン・マリアージュは、北アルプスを望む店で、山辺の郷の旬の食材を使い、イタリアンのシェフが料理を手がけると公式サイトは紹介しています。宴会は予約制で、レストランは不定休のため、電話での確認が勧められています。長野県の観光サイトでは1,000円前後の日替わりランチがあるとされています。
隣の農産物直売所ファーマーズガーデンやまべでは、地元の「やまべぶどう」や季節の果物、朝採り野菜、春の山菜や秋のきのこなどが並びます。松本市の観光サイトは、市内で唯一ワイナリーを併設した直売所と紹介しています。
営業時間は公式サイトで8:30〜17:00、休みは年始と、1〜3月の毎週木曜(全店舗)です。直売所の営業時間は、松本市の直売所マップでは9:00〜18:30(4〜8月)・9:00〜18:00(9〜3月)とされ、資料によって違いがあります。訪ねる前に電話(0263-32-3644)で確かめると安心です。
行き方と松本平のワイナリー
松本市の公式観光サイトによれば、車で長野自動車道の松本ICから約25分、駐車場は普通車50台・大型バス2台です(松本市の直売所マップでは60台)。宿泊施設の観光ガイドでは、JR松本駅から車で約20分、美ヶ原温泉から約5分とされています。路線バスでの行き方は確認できませんでした。近くには美ヶ原温泉があり、温泉と合わせて訪ねる人もいるようです。
松本平の南には、山形村の大池ワイナリーや、塩尻・桔梗ヶ原の五一わいんがあり、北へ向かえば安曇野ワイナリーもあります。長野の産地の全体像は産地:長野と第72講 長野完全編、ワイナリーを訪ねるときの心得は第51講 ワイナリー訪問で整理しています。


