北アルプスを望む、片丘の丘の上
丘の上 幸西ワイナリーは、長野県塩尻市の東側、片丘(かたおか)地区にあるワイナリーです。フランス語の名前「sur la colline KOUNISHI vinerie」も「丘の上の幸西ワイナリー」という意味で、その名のとおり、松本と塩尻を結ぶ山麓線「アルプス展望しののめのみち」沿いの丘に建っています。
長野県の公式サイト「NAGANO WINE」は、このワイナリーを桔梗ヶ原ワインバレーの一軒として紹介し、穂高岳を望む丘にワイナリーとショップを設けたと説明しています。塩尻市のふるさと納税の紹介文では、塩尻や松本の盆地より少し高い場所にあり、標高は800mほどで、北アルプスがよく見えるとされています。同じ片丘地区には、メルロだけを育てるドメーヌ・コーセイもあります。
技術者からぶどう農家へ
ワイナリーを営むのは、代表の幸西義治さんです。公式サイトのスタッフ紹介によれば、幸西さんは広島県の生まれで、1981年に長野県内の精密機器メーカーに入り、開発設計を担当しました。NAGANO WINEの紹介では、勤め先はセイコーエプソンとされています。
ワインへの道のりは、会社員時代から少しずつ準備されたものでした。公式サイトに載る歩みは次のとおりです。
- 2010年──塩尻市の観光ワインガイドの認定を受ける
- 2014〜2018年──塩尻市の「塩尻ワイン大学」で学ぶ(NAGANO WINEによれば第1期生)。2014年にはワイン生産アカデミーも修了し、2014〜2015年に里親ワイナリーで醸造研修を受ける
- 2015年──精密機器メーカーを退職し、ワイン用ぶどうの栽培を始める
- 2019年──果実酒製造免許を取得し、ワイナリーを開く
ふるさと納税の紹介文では、開業は2019年9月とされています。畑の仕事は、妻の幸西美雪さんが主に支えています。同じ紹介文には、ぶどうをいちばん理解できるのは育てた人だという考えから、その年のぶどうに合った醸造に取り組みたいという幸西さんの話も紹介されています。
建物の前に広がる約50aの畑
公式サイトによれば、畑はワイナリーの建物の西側にある約50aの圃場です。育てている品種は、黒ぶどうがメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、白ぶどうがシャルドネとソーヴィニヨン・ブランの計5品種です。
塩尻は、寒い土地でのメルロー栽培を切り開いた桔梗ヶ原で知られる産地です。シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリーや株式会社アルプスのような歴史ある造り手から、丘の上 幸西ワイナリーのような家族経営の小さな造り手までが、市内に集まっています。長野県全体の産地の流れは第72講「長野完全編」にまとめています。
「ノンバリック」と「樽熟成」の2系統
公式サイトのワイン一覧を見ると、ワインは大きく2つの系統に分かれています。
- ノンバリック──樽を使わずに仕込むワイン。2025年ヴィンテージでは、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランの赤、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランの白、ロゼがあり、いずれも750mlで2,860円(税込)。赤は2026年6月20日に発売された
- 樽熟成──フレンチオーク樽で熟成させるワイン。2025年ヴィンテージは2026年10月2日に発売され、「フレンチオーク樽メルロー」と「フレンチオーク樽シャルドネ」が各3,960円
- さち──自社のカベルネ・ソーヴィニヨンにメルローとカベルネ・フランを合わせ、フレンチオーク樽で熟成させた赤。2024年ヴィンテージは50:25:25の割合とされる。5,500円
樽の選び方にも工夫があります。2024年ヴィンテージの説明では、果実味のしっかりしたメルローにはタンニンの出方が穏やかな樽を、フルーティーなシャルドネには遠赤外線で内側を焼いた樽を使ったとされています。また2024年には、塩尻に自生するミズナラの木で作った樽で熟成させた「塩尻ミズナラ樽メルロー」も造られましたが、公式サイトでは最終生産とされ、すでに完売しています。樽が香りや味わいにどう影響するかは、用語:樽熟成で解説しています。
少量生産のため、完売する銘柄が多くあります。最新の在庫と価格は公式サイトのワイン一覧で確かめてください。
訪ね方と買い方
ショップの所在地は塩尻市片丘9965-6。公式サイトのアクセス案内によれば、長野県畜産試験場から車で約1分、山麓線沿いのそば処「山麓亭」の約50m北にあり、駐車場があります。最寄り駅は塩尻駅とされていますが、案内は車での道順が中心です。
営業時間は、公式サイトでは10:00〜17:00、NAGANO WINEでは10:00〜12:00と14:00〜17:00と、表記が分かれています。定休日は木曜。ふだんは畑や醸造の作業をしているため、訪ねる前に電話(090-1760-0061)で連絡するよう求められています。
公式サイトの予約ページでは、試飲はグラス1杯500円、畑の見学は5〜11月(繁忙期は断る場合あり)と案内されています。ただし2026年9月4日のお知らせでは、収穫と仕込みの時期にあたる9月中旬〜11月初旬は畑の案内と試飲ができないとされています。秋に訪ねる場合は、ワインの購入だけになると考えておくのが無難です。
遠方からは、公式サイトの「お問い合わせ」から銘柄・本数・届け先などを伝えて注文できます。支払いは代金引換か銀行振込で、ゆうパックで届きます。近くの塩尻のワイナリーと合わせて巡るなら、洗馬のヴォータノワインなども参考にしてください。
