明治の実業家が、原野に開いた醸造場
牛久シャトーの始まりは、実業家の神谷傳兵衛が1897年に岡田村(現在の牛久市)の原野、約120町歩を買い取ったところにさかのぼります。開墾を始めた翌1898年には、東京の東大久保村で試しに植えていたぶどうの苗を牛久へ移しました。醸造場の建築は1901年に始まり、1903(明治36)年に「牛久醸造場」が完成します。これが現在の牛久シャトーで、公式は「日本初の本格的なワイン醸造場」と紹介しています。
いま敷地は約6万平方メートル。所有者はオエノンホールディングスで、運営は牛久シャトー株式会社です。駅から歩ける距離に、明治の醸造所の建物群がまとまって残っている。その点で、畑の中のワイナリーを訪ねるのとは別の時間が流れる場所です。
赤レンガの3棟を見る
重要文化財に指定されているのは、旧醸造場施設の3棟です。事務室(現在の本館)、醗酵室(現在の神谷傳兵衛記念館)、貯蔵庫で、いずれも煉瓦造。設計には岡田時太郎と森山松之助が関わりました。2007年11月に経済産業省の近代化産業遺産、2008年6月9日に国の重要文化財、2020年6月に日本遺産と、評価が重ねられてきた建物です。ドラマや映画、CMの撮影地としても使われています。
中に入れるのが神谷傳兵衛記念館です。1階に大樽とメトル・ド・シェの部屋、2階に当時の醸造機具と写真・パネル、地下にセラーと樽の展示があります。見学は無料で、開館は10:00〜16:00。年末年始と臨時休館を除いて無休です。隣のオエノンミュージアムは、2026年11月に確かめた時点で臨時休館中と案内されています。
飲むなら、ショップの試飲機から
ワインを味わう入口は、ショップの有料試飲機(1杯500円)です。牛久シャトー醸造のワインなど、おすすめの銘柄を1杯ずつ試せます。ショップの閉店は18:00で、記念館より2時間遅いので、建物を見終えてから寄る順番が組みやすいでしょう。
自社の銘柄として公式に並ぶのは、牛久醸造ワインのメルロー、甲州、マスカット・ベーリーA。ほかにスパークリングワインも扱っています。2026年には日本ワインコンクールで銅賞を受けたと公式のお知らせにあります。
レストランと、バーベキュー
敷地内にはレストランとバーベキューの店があります。2026年にレストランのメニュー改定と、期間限定のカフェタイムの導入が案内されました。バーベキューの席で赤を開くなら、焼肉・バーベキューとワインの合わせ方も参考になります。営業日と時間は変わることがあるので、公式の店舗案内で確かめてから出かけてください。
駅からの歩き方と、車で来るとき
電車ならJR常磐線の牛久駅の東口、「シャトー口」から歩いて約8分です。試飲をするなら、この行き方が素直でしょう。車では圏央道のつくば牛久ICから国道408号経由で約20分。駐車場はタイムズ牛久中央で262台、60分100円、平日は一日最大300円(24時まで)です。土日祝は最大料金が適用されません。
訪ねる時間の組み方はシンプルです。記念館は16:00で閉まるので、先に建物と展示を見てから、食事や試飲へ移るのが無理のない順番でしょう。煉瓦の外壁は屋外からも見られるので、到着が遅くなった日でも敷地の雰囲気はつかめます。問い合わせの電話(029-873-3151)の受付は平日の9:00〜16:00です。臨時休館もあるため、遠方から出かける日は公式のお知らせを確かめておくと安心です。
同じ茨城でワインをたどるなら、つくばワイナリーと組み合わせると、明治の醸造場と現代の造り手を一日で見比べられます。県全体の様子は茨城のワインにまとめています。日本のワインの歴史そのものをたどりたいときは、第43講のワインの歴史もあわせてどうぞ。
