忘年会のワインは、本数から決める
12月の金曜、10人の予定がやっと合った夜。ワイン担当を引き受けたものの、売り場の前で手が止まる。そんなときは、銘柄の前に本数を決めると話が早くなります。
計算の土台はひとつだけです。750mlの1本は、1杯125mlでグラス6杯。2〜3時間の会でふつうに飲む人が1人3杯とすると、10人で30杯、ちょうど5本になります。
| 飲む人 | 控えめ(2杯) | ふつう(3杯) | よく飲む(4杯) |
|---|---|---|---|
| 6人 | 2本 | 3本 | 4本 |
| 10人 | 4本 | 5本 | 7本 |
| 15人 | 5本 | 8本 | 10本 |
数えるのは出席者全員ではなく、飲む人です。10人の会でも車で来る人とお酒を控える人が2人いれば、8人で24杯、4本で足ります。そのぶんノンアルコールの飲みものを同じテーブルに置いておくと、乾杯のときに全員のグラスが埋まります。会の長さや料理も加えて見積もるなら、パーティーの本数を計算するツールが使えます。
10人5本の内訳 — 泡2、白2、赤1
本数が出たら、色に振り分けます。10人なら乾杯だけで泡を1本近く使います。そこで泡2本・白2本・赤1本を基本にし、唐揚げやローストビーフなど肉料理が中心の夜は白1本・赤2本に入れ替えます。魚や和食が中心なら、白を厚めのままにしておきます。
乾杯の泡には、スペインのカバ『セグラ・ヴューダス ブルット・レセルバ』のように、瓶内で熟成させた辛口が向きます。公式は澱とともに最低15か月の熟成と記し、食事の始まりに向く一本として、貝やアンチョビなど魚介の保存食、軟らかいチーズを挙げています。オードブルの並ぶテーブルにそのまま置ける性格です。唐揚げやフライの皿が多い夜も、油を流す泡が活きます。揚げ物との合わせ方は揚げ物のペアリングにあります。
白は、料理の幅が広い穏やかな辛口を。マンズワインの『山梨 甲州』は地理的表示「GI Yamanashi」を取得した一本です。同社は甲州の特徴を、フレッシュな柑橘系の香りと穏やかな酸味、ほのかな苦味のあるすっきりした後味と説明しています。お造りや鍋が出る会なら、席の中心に置きたい色です。鍋の種類ごとの合わせ方は鍋の季節に合うワインにまとめています。
赤は、渋みの穏やかなタイプが1本あると席が広がります。『ジョルジュ・デュブッフ ボージョレ・ヴィラージュ』はガメから造る赤で、公式はきめ細かいタンニンと表現し、合わせる料理にグリルや白い肉、サラダ、生パスタを挙げています。ピノ・ノワールなら『コノスル ビシクレタ』。チェリーやラズベリーの香りを持つ若い赤で、公式がすすめる温度は14℃です。暖房の効いた部屋では、赤も冷蔵庫で少し冷やしてから出すと輪郭が保ちやすくなります。
手土産にする一本 — 話のきっかけを持っていく
持ち寄りの会で幹事が色だけを割り振っておけば、「全員が赤」という夜は避けられます。5人が1本ずつ持ち寄るなら、泡・泡・白・白・赤と先に決めてしまう形です。割り振りがなければ、辛口の泡が動きやすい選択です。乾杯にも食事にも回せるので、誰かと重なっても余りにくいからです。
その一本を手土産として選ぶなら、値段より話のきっかけがあるものを。たとえば山梨・塩山の『キザンスパークリング トラディショナルブリュット』。甲州100%を瓶内二次発酵で仕上げた辛口です。造り手の機山洋酒工業は、土屋家が90年以上、ぶどう栽培とワイン、ブランデー造りを続けてきた造り手です。ラベルは、画家の宇佐美圭司が1970年代に手がけたデザインのグラデーションを受け継いでいます。
造り手の公式ストアで取り寄せるなら、在庫と到着日は早めに確かめておくと安心です。贈る相手が決まっている一本の選び方は、プレゼントに贈るワインにあります。
会場で確かめる3つ — 開栓、冷やす場所、グラス
ワインを選ぶより先に、会場に確かめておきたいことがあります。
開栓の可否と開け方。 レストランや貸し切りの店なら、持ち込みができるか、持ち込み料はいくらか、本数の制限はあるかを予約の時点で聞きます。店ごとに異なるので、銘柄まで伝えておくとやり取りが早く済みます。貸しスペースや公共の施設では、飲酒そのものが認められているか、空き瓶を持ち帰る決まりがあるかも確かめます。ソムリエナイフが会場にあるとは限らないので、1本は持参すると安心です。
シャンパーニュ委員会(Comité Champagne)は、瓶内の圧力を5〜6気圧(bar)、車のタイヤの約3倍と説明しています。同じ瓶内二次発酵の泡も、扱いは同じと考えてください。委員会の手順は、人のいない方向に瓶を向け、コルクをしっかり押さえたまま瓶のほうをゆっくり回すこと。振られた瓶ほどコルクが飛びやすいとも注意しています。電車で運んできた泡は、すぐに開けず、氷水で落ち着かせてからにします。
冷やす場所。 会場の冷蔵庫が使えるとは限りません。当日は大きめのバケツや保冷バッグに氷と水を張ります。室温のボトルが10℃前後になるまで、このサイトの目安で15〜20分です(ツールで計算できます)。シャンパーニュ委員会が示す提供温度は8〜10℃です。
グラスが足りない席。 脚付きのグラスが人数分なくても、問題はありません。タンブラーや小ぶりのコップでかまわないので、人数分をそろえるほうを優先します。シャンパーニュ委員会がすすめるのは香りと泡が開く背の高いチューリップ型で、注ぐ量はグラスの3分の2までです。コップで出す席も、注ぎすぎないことは同じです。1本を12人に分けるなら1杯約60mlで、10人の乾杯は1本に収まります。詳しくはワイングラスの選び方に。
帰りの足まで、幹事の仕事
ワイン担当の最後の仕事は、飲む人の帰り方を確かめることです。飲酒運転は運転した本人だけの問題ではありません。警察庁によると、運転者が酒気帯び運転をした場合、酒類を提供した者や同乗した者にも2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。自転車の酒気帯び運転にも、2024年11月から罰則が設けられました。車や自転車で来た人には注がないこと、運転代行や公共交通の時間を先に確かめておくこと。乾杯の前に一言あるだけで、席の空気も変わります。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。席に20歳未満の人がいるときは、ノンアルコールの飲みものを別に用意してください。飲酒運転は絶対にやめましょう。妊娠中や授乳期の飲酒は控えてください。お酒は適量を、ゆっくり楽しみましょう。