どんなワインか
ソライアは、フィレンツェの名門アンティノリが、本拠テヌータ・ティニャネロの特別な区画から造る赤ワインです。公式は「ティニャネロの丘で最も日当たりのよい場所にソライアの畑がある」と説明し、最良の畑の最良のぶどうに、細心の手入れと研究を重ねることがこのワインの秘訣だと述べています。名前はイタリア語で「陽だまり」を意味するとされます。
構成はカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、サンジョヴェーゼとカベルネ・フランを組み合わせたもの。サンジョヴェーゼ主体の兄貴分ティニャネロとは、品種の主従が入れ替わった鏡写しの関係にあります。味わいは、黒系果実の凝縮感にスパイスやバルサミコのニュアンスが重なる、豊かで洗練された赤と評されます。公式のテイスティングノートでは、2023年はブラックベリーやブルーベリー、カシスにプラムやいちじく、こしょうや甘草の香り、シルキーなタンニンとビターカカオやコーヒーの長い余韻を持つと紹介されています。
畑と造り
畑は約20ヘクタールの単一区画で、南西向き、標高350〜400メートル。土壌は、トスカーナで「アルベレーゼ」と呼ばれる硬い石灰岩と、「ガレストロ」と呼ばれる薄く割れる泥灰質の粘土が混じる、石の多い土です。テヌータ・ティニャネロはキャンティ・クラシコの中心、グレーヴェ川とペーザ川の谷にはさまれた丘にあり、昼は暑く夜は涼しい気候がぶどうの成熟を支えると公式は説明しています。
品種の比率は年によって変わります。公式は現在の比率を示していませんが、専門誌Decanterは2017年について、カベルネ・ソーヴィニヨン73%、サンジョヴェーゼ20%、カベルネ・フラン7%と紹介しています。
造りでは、除梗したぶどうを選果台で丁寧に選り分け、重力で60ヘクトリットルの円すい台形の発酵槽へ送ります。果皮から分けたあと小樽でマロラクティック発酵を行い、新しいフレンチオークの小樽で約15〜16ヶ月熟成(2021年は約16ヶ月、2022年と2023年は約15ヶ月)。ロットごとに熟成させてからブレンドし、樽に戻して仕上げます。
誕生の経緯
ソライアが初めて造られたのは1978年です。最初のブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン80%、カベルネ・フラン20%で、1979年も同じ構成でした。その後の年にサンジョヴェーゼを20%加え、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランの比率を調整しながら、現在の構成に落ち着いたと公式は説明しています。生産者ページでは、ティニャネロ用に植えたカベルネが余ったことから半ば偶然に生まれたという逸話も紹介しています。
ソライアは特に優れた年にだけ造られ、1980・1981・1983・1984・1992年には造られていません。1997年ヴィンテージは、2000年にWine Spectator誌の年間第1位「ワイン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。同誌の歴史でイタリアワインが選ばれたのは初めてで、トスカーナのカベルネ主体のワインが世界の注目を集めるきっかけのひとつになりました。
飲み頃と楽しみ方
新樽で熟成した、凝縮感のある若いソライアは、早めに抜栓するかデキャンタで空気に触れさせると香りが開きやすくなります。長期熟成に向くワインと評され、セラーで寝かせて変化を待つ楽しみもあります。温度は16〜18℃前後、ボルドー型の大ぶりのグラスが目安です。仔羊や牛肉のロースト、ジビエ、熟成したチーズなど、しっかりした料理と合わせるのが定番です。
同じ丘から生まれるティニャネロと並べると、サンジョヴェーゼとカベルネのどちらが主役かで、ワインの表情がどう変わるかがよくわかります。地区の全体像は銘醸図鑑 キャンティ・クラシコ、イタリアワインの見取り図は第7講 イタリア完全編で押さえられます。