どんなワインか
グイダルベルトは、サッシカイアを造るテヌータ・サン・グイドが、2000年ヴィンテージから世に出している赤ワインです。生産者の公式サイトによると、20年を超える分析と試行を経て生まれたワインで、品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー。原産地呼称はトスカーナIGTです。
日本では「サッシカイアのセカンドワイン」と紹介されることが少なくありません。ただ、生産者自身はこの言葉を使っていません。公式サイトはサッシカイア、グイダルベルト、レ・ディフェーゼを「テヌータ・サン・グイドの3本のワイン」と呼び、グイダルベルトには「サッシカイアに似た生い立ち」という見出しを添えています。当サイトでもこれにならい、グイダルベルトをこの家のもう一つの赤として扱います。
名前は、19世紀前半にボルゲリの農業を近代化した一族の祖先、グイダルベルト・デッラ・ゲラルデスカにちなみます。製粉所や教会を建て、いまやボルゲリの象徴となった糸杉並木を計画した人物です。ラベルにはサン・グイドの礼拝堂が描かれています。
畑と造り
公式サイトによると、ニコロ・インチーザ・デッラ・ロケッタはもともと「造るのはサッシカイアだけ」と語っていましたが、1990年代初めにボルゲリでメルローが存在感を増したことで、1990年代半ばに考えを改めます。醸造家ジャコモ・タキスの助言を得て、サン・グイドの礼拝堂と丘の間、糸杉並木沿いに新しい畑を拓きました。選ばれたのは、メルローに向く粘土とシルトに富む土壌です。その後、標高や土壌、向きの異なる区画にも畑を広げ、現在グイダルベルトに使う畑の平均樹齢は約18年とされています。
生産者は、このワインの狙いを「香りの豊かさと口当たりのやわらかさ」と説明しています。メルローは比較的短い熟成でもそうした性質をもたらせる品種であり、それをカベルネ・ソーヴィニヨンと組み合わせた発想を「見事な直感だった」と振り返っています。醸造責任者のカルロ・パオリは、飲み心地の良さと同時に、複雑さと骨格による長期熟成の可能性もあると語っています。
公式サイトは品種の比率や樽の詳細を示していません。販売店の資料では、2022年ヴィンテージをカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー40%、バリックで約15か月熟成としています。比率は年によって変わるものとして読んでください。
初期の姿は少し違いました。ワイン・スペクテーター誌の2002年の記事によると、最初の2000年ヴィンテージはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローにサンジョヴェーゼも加えたブレンドでした。当時のぶどうは隣接する農園から借りた畑の若い樹のものとされ、新しいフレンチオーク25%、新しいアメリカンオーク25%、サッシカイアで使った古樽50%で14か月熟成、生産量は約5,000ケースだったと伝えています。畑の出どころについては、糸杉並木沿いの自社の新植区画とする公式サイトの説明と、この記事の記述とで食い違いがあります。現在の公式サイトが示す品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの2つです。
サッシカイアとの違い
いちばん大きな違いは品種です。サッシカイアがカベルネ・ソーヴィニヨンにカベルネ・フランを合わせ、20〜25か月の樽熟成を経て専用のボルゲリ・サッシカイアDOCを名乗るのに対し、グイダルベルトはメルローを使い、より短い熟成で果実の豊かさとやわらかさを引き出すように設計されています。
もう一本のレ・ディフェーゼ(2002年〜)は、カベルネ・ソーヴィニヨンにトスカーナ各地のサンジョヴェーゼを合わせた入門的な赤です。生産者はレ・ディフェーゼについて、サッシカイアとグイダルベルトの選抜ロットも含むと説明しています。3本を並べると、同じ家の考え方が品種と熟成の違いでどう表れるかが見えてきます。ボルゲリの他の造り手との関係は銘醸図鑑:ボルゲリで紹介しています。
飲み頃と楽しみ方
グイダルベルトは比較的早くから楽しめる設計とされ、リリース後まもなくでも果実の豊かさを味わえると評されます。一方で生産者は熟成の可能性にも触れており、数年寝かせて変化を見るのも一つの楽しみ方です。
温度は16〜18℃前後、ボルドー型のグラスが目安です。牛肉のグリルや煮込み、仔羊料理など、肉料理と合わせやすい赤です。価格は7千円前後からが目安で、ヴィンテージや為替で変動します。家の歴史全体は海外ワイナリー:サッシカイアで、イタリアワインの全体像は第7講 イタリア完全編で整理しています。