東川町で初めてのワイナリー
雪川醸造は、北海道上川郡東川町東町2丁目1番6号にあるワイナリーです。運営は雪川醸造合同会社で、英名はSnow River Wines。東川町は旭川市の東どなり、大雪山系のふもとの上川盆地にあり、公式サイトは「水に恵まれた」町と紹介しています。
北海道庁の「北海道内のワイナリー紹介」(2026年2月現在)によれば、東川町は2021年に「ワイン特区」に認定され、その町で初めて生まれたワイナリーが雪川醸造とされています。代表の山平哲也さんと未来さんの夫妻は、2020年に「地域おこし協力隊」として東京から東川町へ移住し、その後に雪川醸造を設立してぶどう栽培とワイン造りを始めました。公式サイトの会社概要では、会社の設立は2020年11月6日です。
醸造免許について、道の資料は取得年を2021年としています。一方、公式サイトの「特定商取引法に基づく表記」には、2025年3月14日付の果実酒製造免許(旭東法第74号)が記載されています。2つの年が何を指すのか(免許の切り替えなど)は、公開資料では確認できませんでした。
赤レンガ倉庫の醸造所と、そば畑だった自社畑
公式サイトによれば、醸造所は1952年(昭和27年)9月に建てられた赤レンガ倉庫を改装したものです。東川町が2022年に出したプレスリリースでは、もとは米の倉庫として使われていた建物とされ、ヨーロッパからの機材の調達や新型コロナの影響で、立ち上げには想定以上の時間がかかったと説明されています。設立には町役場の支援のほか、359人から約700万円を集めたクラウドファンディングと地元金融機関の融資が使われたとされています。
自社のぶどう畑は、ぶどう畑になる前は長くそば畑として使われていた土地だと公式サイトは書いています。道の資料では、町内の自社畑は2haで、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトなど9品種を育て始めているとされます。主な醸造品種には、これらに加えてセイベル13053、ピノ・グリ、ナイアガラ、キャンベル・アーリーが挙がっています。
道の資料によれば、初仕込みの2021年は東川町で育ったセイベル13053、ピノ・ノワール、シャルドネ、トラミナー、シルヴァーナーなどを使い、2022年からは町外のぶどうでもワインを造るようになりました。目指すのは、北海道の食材を使った和食に合うワインとされています。
どんなワインを造っている?
東川町の2022年のプレスリリースによれば、最初に出荷したのは、北海道では赤ワインにされることの多いセイベル13053を主に使ったロゼ「スノー リバー アンスパークリング ロザート 2021」で、2022年4月に「サクラアワード2022」でゴールド賞を受けたとされています。
公式サイトのお知らせ(2025年12月〜2026年10月)から、最近の主なワインを挙げます。
- Hachi シリーズ── 石狩市八幡のぶどうで造るシリーズ。2026年10月には2025年ヴィンテージの赤2・白1・オレンジ1の4種類(ピノ・ノワール、ツヴァイゲルト、シャルドネ、ソーヴィニヨンのアンバー)が出ました。2025年12月の「ピノ・ノワール Hachi 2024」は、同社で初めての赤ワインとされています。
- ピノ・グリ Hachi/Hachi アンバー── 2026年3月の新ヴィンテージ。アンバーは、ミュラー・トゥルガウで試みたオレンジワインです。
- ナイアガラ アンバー 2025── 2025年ヴィンテージの第一弾。ナイアガラの仕込みは4回目で、醸し(果皮と一緒に漬け込む期間)を長くしたと説明されています。
- 風の歌 2025/スノーリバー ロザート 2024── 東川町産のぶどうで造るワイン(2026年6月発売)。
- ヴァインランド── 自社ヴィンヤードのぶどうで造るワイン(2025年12月発売)。
オンラインストアにはニュージーランド・ノースカンタベリーのソーヴィニヨン・ブランも並びます。少量生産のため、2026年10月時点ではほとんどが売り切れでした。
南半球でも仕込む「越境」醸造
公式サイトによれば、2024年からはニュージーランドと南アフリカでの醸造を本格化させ、北半球と南半球で年2回以上収穫と醸造を行う体制をとっています。2026年2月には、南半球で発酵タンクや樽などの専用の醸造環境を整えるため、クラウドファンディング(目標300万円)を始めました。北海道新聞(2026年3月21日)は、季節が逆の南半球と東川町の両方で仕込むことで技術を磨く狙いだと報じ、道内の醸造家が国内と海外の両方で醸造するのは珍しいという北海道の見方を伝えています。
ワイナリーツアーと行き方
雪川醸造に直売所はなく、見学は公式サイトのワイナリーツアーだけです。2026年は「木々の緑が美しく、少し落ち着いて案内できる」時期として6〜9月の週末に13日間設定され、1日2回、各約90分で行われました。ミニセミナー、40mlずつ4種類のテイスティング、ワイナリー内の案内がセットで、料金は大人3,000円(運転する人は2,000円)。オンラインストアでの事前決済が必要です。12歳未満の子どもは大人1人につき1人まで同行できますが、ワイナリー内ではけがのおそれがあるため、同行する大人が安全に気を配るよう求められています。
公式サイトには、公共交通や車での道順、駐車場の案内がありません。ツアーに申し込むときに、行き方も確かめておくと安心です。上川エリアでワインを続けて訪ねるなら、富良野市のふらのワインがあります。北海道の産地の全体像は第68講 北海道完全編、訪問の心得は第51講 ワイナリー訪問で整理しています。
