小樽の石蔵で、夫婦二人が始めたワイナリー
OSA WINERY(オサワイナリー)は、小樽運河に近い色内1丁目の街なかに建つワイナリーです。北海道庁の「北海道内のワイナリー紹介」(後志エリア)によれば、飲み手との距離が近く、食文化の豊かな小樽に惹かれて移住した長直樹さん・真子さん夫妻が、古い石蔵を醸造所とショップ&バーに改装して2015年に開きました。
公式サイトの「私たちについて」によると、二人はレストランや大手ワインメーカーの営業職などを経てソムリエ資格を取り、唎酒師やベネンシアドールの資格も持っています。地元ワイナリーでの栽培研修に続き、2014年秋には10R ワイナリーで醸造研修を受けました。ワイナリーの適地を探して全国の産地を3年かけて100か所以上巡り、気候と食文化、畑と街の距離がちょうどいい場所として選んだのが小樽だったといいます。紹介された石蔵にも惹かれ、移住して開業準備を始めました。
塩谷の南向き斜面と、余市・登の畑
開業1年目は畑が見つからず、農家からぶどうを買って仕込みました。2015年秋、開業を報じる新聞記事を見た小樽の老夫婦から「うちの畑でブドウをやらないか」と声がかかり、二人は小樽で初めての農業法人を設立して、南向きの風が抜ける傾斜地を譲り受けます。公式サイトは、これを小樽市で唯一のワイン用ぶどう畑と書いています。
自社畑は、ワイナリーから車で10〜15分ほどの小樽市塩谷の南向きの急斜面と、北東向きで海を望む余市町登の高台。合わせて約2ha、ぶどうの樹は3,500本ほどで、ほとんどの作業を手で行い、除草剤と化学肥料は使っていません。2016年からゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、シャルドネ、アルバリーニョ、ケルナー、マルヴァジア、ピノ・ノワール、旅路を育て、自社畑以外は顔の見える契約農家のぶどうを使っています。北海道庁の資料に記された栽培面積は1.6haです。
公式サイトは小樽の気候を、生育期に雨が少なく、一日の寒暖差が大きいためぶどうが香りと酸を保ったまま熟す土地と説明します。冬は-10℃を下回ることもあるものの、1mを超える雪が樹を覆って守るといいます。仕込みでは、すべての房を手に取り、ピンセットで傷んだ粒をはじく選果を大切にしています。
主な銘柄
造りのテーマは「幸せのワイン」。香りがよく、日々の食事に合う白ワインを中心にしています。公式サイトのワインリスト(2026年11月1日時点、税込)から主なものを挙げます。
- 『tabi 2025』——小樽発祥といわれる地ぶどう旅路の辛口白。公式の商品説明では、小樽の寿司と実際に合わせてブレンドを決め、和柑橘や生姜を思わせる香りと紹介。旅路95%・シャルドネ5%、1,420本。4,070円(参考)
- 『O(オー)2024』——看板の白。デラウェアと旅路を軸に自社畑のシャルドネを加えたやや辛口で、約3,000本。3,410円(参考)
- 『OTARUVALLEY 2022』——塩谷の自社畑8品種によるフラッグシップの白。公式の説明では、ほのかな塩味を畑の土壌に由来するものと考えていると書かれています。11,000円(参考)
- 『MATENI ROSE 2024』——余市町登「シリパの丘農園」の5品種による直接圧搾の辛口ロゼ。名前は小樽弁で「丁寧に」を意味する「まてに」から。4,400円(参考)
このほか『tabi sparkling』『Yoi Yoi Blanc』『ocean』『おタテワイン』などが並びます。ワイナリーの直営ショップ、自社のオンラインショップ、取扱酒販店で買えます。
訪ねる:土曜午後だけのショップ&バー
公式サイトによれば、醸造施設の見学は受け付けていません。そのかわり毎週土曜13:00〜17:00、石蔵の2階でワインショップとテイスティングバーを開けています。造り手と話しながらワインを選べて、バーでは地元のおつまみで飲み比べができると案内されています(料金は公式サイトに記載なし)。8月下旬から10月末の収穫期は休みで、確認した2026年11月1日時点のトップページにも休業中とあり、10月31日付のお知らせで11月の営業日が告知されていました。
所在地は小樽市色内1丁目6-4、小樽駅から運河方面へ歩いて7分ほど。駐車場はありません。電話は0134-61-1955です。イベントで時間や内容が変わることがあり、条件は変わることもあるので、出かける前に公式サイトかSNS、電話で確かめてください。ワイナリー巡りの準備は第51講にまとめています。
小樽・後志のワインの中で
小樽には、大規模な北海道ワイン(おたるワイン)があり、その西には余市ワイナリーやドメーヌ・タカヒコが集まる余市町が続きます。駅から歩ける石蔵で、旅路という土地のぶどうと小樽の寿司を結びつけてきたのがオサワイナリーです。北海道の産地全体は第68講 北海道完全編、日本ワインの見取り図は第9講にまとめています。
