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ワインガイド Vinotier
日本のワイナリー

岩崎醸造(ホンジョーワイン)

iwasaki-jozo / 創業 1941年
産地
山梨県甲州市勝沼町
訪問
見学ツアー・試飲・ショップ
代表銘柄
ホンジョー 甲州かもし 常盤に燃る・シャトーホンジョー フィールド・ブレンド
どんなワイナリー?

岩崎醸造は、山梨県甲州市勝沼町下岩崎にあるワイナリーです。公式サイトによれば、1941(昭和16)年、旧祝村(いわいむら)の農家130名が「岩崎葡萄酒共同醸造組合」を作ったのが始まりで、1952年に株式会社になりました。ブランド名の「ホンジョー」は「本格醸造」の略。原料の多くは株主の農家が育てる勝沼のぶどうで、戦前からの大樽と土蔵を今も使っています。甲州を皮ごと醸した「常盤に燃る」は、日本ワインコンクール2025の甲州部門で金賞・部門最高賞に選ばれました。

この記事の目次

130人の農家が作った醸造組合

岩崎醸造(正式な社名は岩崎醸造株式会社)は、山梨県甲州市勝沼町下岩崎にあるワイナリーです。中央自動車道の勝沼ICから車で3分ほど。このあたりは昔の祝村(いわいむら)で、明治のはじめに日本で最初期のワイン会社が生まれた地域として知られています。

公式サイトの会社概要によれば、岩崎醸造の始まりは1941(昭和16)年です。醸造の免許を持っていた祝村の農家130名が集まり、「岩崎葡萄酒共同醸造組合」を設立しました。山梨県の紹介記事も同じ成り立ちを伝えています。その後の歩みは、公式の年表によれば次のとおりです。

  1. 1941年──岩崎葡萄酒共同醸造組合を設立
  2. 1946年──日本勧業銀行の融資を受けて、土蔵の倉庫と大樽を設ける
  3. 1948年──醸造学者・坂口謹一郎博士の指導で、ブランデーの蒸留塔を設ける
  4. 1952年──岩崎醸造株式会社に組織を改める
  5. 1983年──地上2階・地下1階(貯蔵庫)の新しい社屋が完成

甲州市がまとめた文化的景観の調査報告書は、もう少し踏みこんだ事情も記しています。株式会社にしたのは、任意の団体では責任の所在がはっきりしないという税務署の指導によるもので、蒸留塔はサツマイモからアルコールをとってワインに加えるためのものでした。祝村で蒸留塔を建てたのはこの組合だけだったといいます。報告書には、1953(昭和28)年に近くの中学校で火事が起きたとき、タンクのワインを直接かけて消火した、という地元の出来事も書き留められています。

規模の数字には揺れがある。 同じ甲州市の報告書の中で、組合の成り立ちを「65の個人免許を統合」と書いた箇所と「農家130名」と書いた箇所があります。公式サイト・山梨県・観光サイトはいずれも「130名」としているので、ここではその数字を使っています。

「本格醸造のホンジョーさん」

岩崎醸造のワインには「ホンジョー」の名が付きます。公式サイトによれば、これは「本格醸造」の略です。蒸留塔などの近代的な設備で造るワインが祝村の人々に認められ、「本格醸造のホンジョーさん」と呼ばれるようになったのが由来とされています。一升瓶の辛口赤「ホンジョー印 マスカット・ベリーA」など、地元の食卓に向けたワインも今も造られています。

代表取締役社長は白石壮真さん。公式サイトの会社概要によれば、山梨大学のワイン科学特別教育プログラムを修了し、ワインの輸入商社を経て2019年に入社、2022年に代表に就きました。日本ソムリエ協会認定ソムリエの資格も持っています。山梨県立農林高校が文部科学省の「マイスター・ハイスクール」に指定された事業とも連携し、生徒が手がけたワインづくりにも関わっています。

株主の畑と、自社の畑

甲州市の調査報告書(2016〜2018年度の調査)によれば、原料の約95%は株主の農家が育てる勝沼のぶどうで、残る約5%も一宮など隣の地域の山梨県産です。組合として始まった歴史が、今の原料の集め方にもそのまま残っているわけです。中心の品種は甲州、マスカット・ベーリーA、甲斐ノワール。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シャルドネなど、農家があまり作らない品種は、借りた土地の自社農園で育てています。

公式のオンラインショップでは、ワインを次の4つに分けています。

  • 上級キュヴェ(自社畑ワイン)──自社の畑のぶどうで造るワイン。「シャトーホンジョー フィールド・ブレンド」(7,700円)など
  • 特別醸造ワイン──造りに工夫をこらしたワイン
  • 定番ワイン(株主園ワイン)──株主の農家の畑のぶどうで造るワイン
  • テーブルワイン──日々の食卓向けのワイン

品種で見ると、甲州、マスカット・ベリーA、甲斐ノワール、アジロンダック、シャルドネ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンが並びます。自社畑の面積と年間の生産量は公表されていません。

戦前の大樽と土蔵

岩崎醸造には、創業期からの設備が今も残っています。公式サイトと山梨県の記事によれば、戦前に造られた大樽を今も使っていて、その大きさは一般的な熟成用の樽の20倍以上です。容量は公式サイトが5,000L、県の記事が5,400Lとしています。年表では、大樽と土蔵の倉庫を設けたのは1946年です(県の観光サイトには1944年から使っているとする記載もあります)。土蔵は今もセラーとして使われています。

大樽は、小さな樽にくらべてワインが木に触れる面積の割合が小さく、樽の香りがつきにくいのが特徴です。定番の「ホンジョー 甲州ドライ大樽貯蔵」(1,870円)は、その名のとおりこの大樽で寝かせた甲州の辛口です。樽の大きさと香りの関係は、第63講 樽と熟成完全編で解説しています。

甲州市の報告書によれば、仕込みの始めには、ワインと煮干しを供えて関係者だけで簡単な祭りを行うといいます。共同組合の時代から続く蔵の暮らしが、こうした習わしにも見えます。

「常盤に燃る」と甲州のかもし

いま岩崎醸造の名前を広く知らせているのが、甲州を皮ごと醸した「ホンジョー 甲州かもし 常盤に燃る」(2,970円)です。山梨県の資料によれば、ぶどうは勝沼町上岩崎の自社畑で、谷の入口にある西向きの斜面で育った甲州を使っています。

山梨県が公表した日本ワインコンクールの結果では、次の受賞が確認できます。

  • 2025年:甲州部門で金賞・部門最高賞(シャトーホンジョー甲州かもし 常盤に燃る 2023)、同部門で銅賞(シャトーホンジョー甲州樽醗酵 2024)
  • 2026年:オレンジ部門で銀賞(シャトーホンジョー甲州かもし 常盤に燃る 2025)

2025年の金賞にあたって寄せられたコメントでは、2019年から「日本ワインらしさとは何か」を問い続けてきたこと、数十年にわたって造り続けてきた「醸しタイプ」が評価されたことが語られています。公式の受賞歴には、2018年の銀賞(ホンジョー 甲州シュール・リー 2017)や、戦後の昭和24年・31年・32年の農林大臣賞も記されています。皮ごと醸す白の造り方は、第55講 オレンジワイン完全編で詳しく扱っています。

このほか公式ショップには、「甲州 うたたねは」「甲州 暁」「マスカット・ベリーA 花火見や」「祝ルージュ マスカット・ベリーA 樽熟成」「祝スパークリング マスカット・ベリーA」「アジロン 灯」など、名前に工夫のあるワインが並んでいます(価格は2026年10月時点の税込表示)。

訪ねる前に

公式サイトによれば、所在地は山梨県甲州市勝沼町下岩崎957、電話は0553-44-0020です。直営店の営業は8:30〜17:00(土日祝は9:00〜17:00)で、年末年始が休み。併設のレストランはありません。

見学は予約制です。2023年時点の公式案内では、前日までに連絡すれば醸造棟・土蔵・瓶詰め場・地下セラーをめぐる見学ができるとされていましたが、県の観光サイトは料金や所要時間を別の条件で案内しており、どちらも数年前の情報です。見学や試飲を希望する場合は、前もって電話で確かめてください。

アクセスは、中央自動車道の勝沼ICから車で約3分。JR中央本線の勝沼ぶどう郷駅からは、2023年時点の公式案内でタクシー約10分とされています。駐車場は普通車4台とバス1台とする案内と、普通車7台とする案内があり、台数は多くありません。

同じ勝沼町には、小佐手の錦城葡萄酒や、等々力の大和葡萄酒など、家族や地域の歴史を背負った蔵がほかにもあります。130人の農家の組合から始まり、いま甲州のかもしで新しい評価を得ている岩崎醸造は、勝沼のワインの「昔と今」を一度に見せてくれる一軒です。産地の全体像は産地:山梨で、訪問の心得は第51講 ワイナリー訪問完全編でどうぞ。

よくある質問

「ホンジョー」とはどういう意味?
「本格醸造」の略です。公式サイトによれば、近代的な醸造・蒸留の設備で造ったワインが地元の旧祝村の人々に認められ、「本格醸造のホンジョーさん」と呼ばれるようになったことから、この名がワインのブランドになりました。
岩崎醸造の代表的なワインは?
甲州を皮ごと醸した「ホンジョー 甲州かもし 常盤に燃る」がよく知られています。山梨県が公表した結果によれば、2023年産が日本ワインコンクール2025の甲州部門で金賞・部門最高賞、2025年産が2026年のオレンジ部門で銀賞を受けました。ほかに自社畑の「シャトーホンジョー フィールド・ブレンド」や、大樽で貯蔵した甲州ドライなどがあります。
見学はできる?
予約制で受け付けています。ただし料金・所要時間・試飲の条件は、公式サイトの過去の案内と県の観光サイトで違っていて、現在の条件は確認できませんでした。直営店は8:30〜17:00(土日祝は9:00〜17:00)なので、見学を希望する場合は前もって電話(0553-44-0020)で問い合わせてください。

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最終更新: 2026-10-08 / 編集: Vinotier編集部