温泉旅館が、ワイナリーを開くまで
ドメーヌ・ド・ユノハラは、松本市里山辺の美ヶ原温泉にあるワイナリーです。運営は温泉旅館の追分屋旅館。公式オンラインショップは、里山辺の「湯ノ原」という地名が古くからの温泉地を示し、旅人を迎える「おもてなしの土地」だったと紹介しています。
NAGANO WINEによれば、追分屋旅館の創業は1964年。3代目の花岡秀俊さんは、旅館の特色を出すためにソムリエの資格を取り、館内にワインサーバーを入れるなど、ワインで宿の魅力をつくってきました。コロナ禍を経て「自分のできることはなんだろう」と考えてワイナリー事業を立案し、2023年8月に開設。旅館で出す会席料理に合うワインを造ることが目標だとしています。旅館の公式サイトも、目指すのは食卓を彩り、食事に寄り添うワインで、土地を生かしたクラシックスタイルの造りを追求すると書いています。
醸造所の建物にも物語があります。かつて蔵造りの製糸工場として使われていた明治時代の蔵を、松本市波田地区から移築して再建したもの。頭上には、当時の職人が揮毫を残した巨大な棟木が見えると紹介されています。
山辺の畑と約15品種
公式サイトによれば、松本の山辺地区は信州のぶどう栽培発祥の地として江戸時代中期から歴史を重ねてきた土地で、NAGANO WINEも山辺地区を「長野県ぶどう発祥の地」と紹介しています。美ヶ原温泉内の自社農園では、シャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、デラウェアなど約15品種を育てて自社で醸造。NAGANO WINEによれば、休耕地も多いこの地区で「ぶどう園を復活させてその景観を残したい」と、今も残る樹齢の高いナイアガラやデラウェアの木も醸造用として育てています。
公式オンラインショップは、畑の土地の条件を、日本の多くの畑を占める火山灰土壌とは違い、火山灰の影響の少ない褐色森林土で、昼夜の寒暖差が大きく、年間を通して降水量が少ないと説明しています。地元農家のりんごを使ったシードルも造っています。
主な銘柄と参考価格
公式オンラインショップと旅館の公式サイト(2026年11月1日時点)に載る銘柄です。価格は税込で参考です。
- 『Delaware & Niagara 2025』——2,850円(参考)
- 『Pinot Blanc 2025』——3,100円(参考)
- 『Delaware Orange 2025』——デラウェアのオレンジワイン。3,100円(参考)
- 『Muscat Bailey A 2024』——マスカット・ベーリーA。3,400円(参考)
- 『Pinot Noir 2025』750ml——4,280円(参考)
- 『Chardonnay 2025』750ml——4,610円(参考)
- 『Favilla 2025』750ml——5,050円(参考)
- 『Cidre Semi-Sweet』750ml——2,380円(参考)
『AURORA』(3,620円)、『CIDRE DRY 2023』の375mlなどは確認時点で売り切れでした。2026年6月には、ProWine Tokyo 2026と香港のVINEXPO ASIA 2026への出展報告がお知らせに載っています。
訪ねる——見学ツアーと、宿泊者だけの時間
公式オンラインショップの「ツアーのご予約」によれば、ワイナリースタッフが案内する見学ツアーは1人2,500円・約90分で、テイスティング3種付き。11:00、13:00、15:00の3回で、お問い合わせフォームから申し込みます。当日予約は受け付けず、原則3営業日以内に予約完了の連絡が届くまでは正式な予約になりません。小さなワイナリーのため、ツアーや立ち寄りの定員は最大15名。8月〜11月は収穫準備と醸造で忙しく、ツアーは休みです。
追分屋旅館に泊まると、楽しみ方が増えます。醸造所2階にはワインショップ&ガレット専門店があり、宿泊者は解説付きの醸造所見学(16:50から約20分、500円、当日フロントで先着順、8〜11月は休止)に参加でき、2階ではチェックイン時のドリンクコインでシードル ドライのフリーフロー(15:00〜17:30)を楽しめます。旅館の食事処でも、このワイナリーのワインを中心に信州のワインがそろいます。ショップの営業時間・定休日は確認できなかったので、立ち寄る前に電話(0263-33-3378)で確かめてください。条件は変わることがあります。
松本のワインの中で
同じ山辺地区には山辺ワイナリーがあり、旅館の周辺観光の案内でも近くのワイナリーとして挙がっています。松本市内ならGAKUFARM & WINERYやHASE de KODAWAAR WINERYも。日本アルプスワインバレーを含む長野の産地の全体像は産地:長野と第72講 長野完全編、訪ねるときの心得は第51講 ワイナリー訪問にまとめています。

