福祉の畑から生まれた、上山の新しい醸造所
Voyage de YUUAI(ヴォヤージ ドゥ ユウアイ)は、山形県上山市の社会福祉法人友愛会が営むワイナリーです。友愛会は10の施設を運営する法人で、そのひとつ、上山市十日町の「ふぁーすと・すてっぷ」は2018年4月に開所した多機能事業所。就労継続支援B型の仕事として、ワイン用ぶどうの栽培に取り組んできました。
山形県ワイン酒造組合の紹介によれば、農業と福祉をつなぐ「ノウフク」の取り組みとして始めたぶどう栽培から6年を経て、2024年9月に上山市三本松に醸造所が完成しました。ぶどうを育てるところからワインに仕上げるところまでを、法人のなかで手がけられるようになったわけです。
組合の紹介文は、エシカルなワイン造りを通じて、生産から消費までのすべての人が共生できる社会を目指すとうたいます。売り上げは、障がいのある人たちの支援や農地の再生、持続可能な農業の推進に充てられるとされています。ショップの酒類販売管理者として、公式サイトには佐藤誠さんの名前が掲げられています。
畑と品種
公式サイトの販売ページでは、ワインの原料は障がいのある人たちが育てたぶどうを100%使い、産地は上山市、一部は小穴地区の自園のものと説明されています。畑の面積は公表されていません。
並ぶ品種は6つです。赤はメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、マスカット・ベーリーA。白はシャルドネ、ナイアガラ、デラウェア。アメリカ系のナイアガラやデラウェアと、ヨーロッパ系の品種が同じ蔵に並ぶ構成で、白は辛口のほか微発泡の『ペティアン』にも仕立てられています。
組合のページでは、自園で完熟させたナイアガラだけを房ごと搾り(ホールバンチ)、ステンレスタンクで約20日間かけて低温で発酵させた辛口の白が紹介されています。白い花や蜜、マスカットを思わせる香りと、穏やかな酸味の傾向と説明されています。
主な銘柄
公式サイトの販売ページ(2026年11月1日確認)に並ぶ主なワインは次のとおりです。価格はいずれも税込の参考価格で、ヴィンテージや時期によって変わります。
| 銘柄 | タイプ | 参考価格(税込) |
|---|---|---|
| メルロー&カベルネ・ソーヴィニヨン 2024 | 赤・辛口 | 3,500円 |
| シャルドネ 2024 | 白・辛口 | 3,500円 |
| マスカット・ベリーA 2024 | 赤・辛口 | 2,500円 |
| ナイアガラ 2024/デラウェア 2024 | 白・辛口 | 各2,500円 |
| ナイアガラ ペティアン/デラウェア ペティアン 2024 | 微発泡 | 各2,500円 |
| ロゼ 2025 | ロゼ・やや甘口 | 2,500円 |
このほか、ナイアガラとデラウェアを使ったノンアルコールのぶどう飲料(各1,200円)もあります。車で訪ねる人や、お酒を飲まない人への手土産にも選べる一本です。贈答用の箱(1本用150円、2本用250円)も用意されています。
訪ねる:金・土曜のショップと試飲
ショップは毎週金曜・土曜の11:00〜15:00に開いています。ほかの曜日は電話(023-616-6954)での問い合わせと案内されています。公式サイトによればすべてのワインを試飲でき、コーヒーやぶどうジュース、ワインに合うおつまみも用意されています。週末の昼に、試飲で好みの一本を決めてから買う、という訪ね方ができる場所です。
試飲の料金、醸造所の見学の有無、予約の要否は、公式サイトに記載がありません。所在地は山形県上山市三本松1010番地ですが、最寄り駅からの行き方や駐車場の情報も公式には見当たりませんでした。いずれも2026年11月1日時点で、公式サイトと山形県ワイン酒造組合の紹介ページで確認した内容です。営業日や商品は変わることがあるので、出かける前に公式サイトか電話で確かめてください。
遠方からは、公式サイトのネットショップ(BASE)やFAXの注文用紙で取り寄せられます。店頭で入会できる会員制度もあり、対象ワインの会員価格やイベント時の割引が案内されています。
上山のワイナリーのなかで
上山市は、山形のなかでも蔵王連峰の麓に醸造所が集まる町です。1920年に始まる老舗のタケダワイナリー、果樹農家から醸造に踏み出したウッディファーム&ワイナリー、畑の名を冠したベルウッドヴィンヤードと並べると、Voyage de YUUAIは福祉の現場から生まれた、いちばん新しい世代の造り手のひとつです。
かみのやま温泉に泊まり、週末の昼に試飲に立ち寄る旅程も組めます。ワイナリーを訪ねるときの心得は第51講「ワイナリー訪問とワインツーリズム完全編」で、日本の産地の全体像は第9講「日本ワイン産地巡り」でまとめています。


