エディションとヴィンテージを分けて読む
ワイン名の横にある「168」「169」「170」を見たとき、まず確かめたいのは、それが収穫年そのものを示す数字ではないという点です。クリュッグの公式資料では、168は2012年、169は2013年、170は2014年の収穫を中心に構成されたと説明されています。
いずれにも別の年のワインが加わっています。したがって「168=2012年のブドウだけで造ったワイン」と読み替えることはできません。中心年と、ブレンドに含まれる年の広がりを分けて見ると、そのエディションの成り立ちを理解しやすくなります。168の公式資料、169の公式資料、170の公式資料
11年分の168・169、12年分の170
比較表では、168と169は11の年、170は12の年から構成されていることが分かります。最も古い構成ワインや、ブレンドに使うワインの数も異なります。「11年分」「12年分」は、それぞれ連続した年のワインをすべて含むという意味ではありません。
168と169のシャルドネ比率は同じ35%ですが、170は38%です。170のリザーヴワイン比率は45%で、168の42%、169の40%とも異なります。これらは構成の違いを知る材料です。ワインの数や特定品種の比率が高いほど優れている、といった結論までは導けません。
飲み比べをするなら、まず配合を知らずに自分の印象を記録し、その後で表を見直す方法もあります。香り、口当たり、酸の感じ方、余韻を自分の言葉で残すと、数字に引っ張られずに違いを考えられます。これは比較方法の提案で、本稿でこれらを試飲した結果ではありません。
Krug iDで、手元のボトルの情報を調べる
Krug iDの公式ページでは、ボトルの6桁のコードを入力し、そのボトルの背景やセラーマスターによる説明、ペアリングの提案などを確認できます。エディションの名前だけで調べるところから、ボトルのコードを手がかりに読むところへ、一歩進める入口です。
本稿の表は、168についてはiD 319031、169についてはiD 120001、170についてはiD 423047のページを参照しています。170の参照ページにある「2023年秋の打栓」などの記述は、そのiDのマグナムについての情報です。同じエディションのすべてのボトルに共通するとは限りません。手元のボトルは、そのボトルに記載されたコードで調べてください。
購入時は、エディションと容量を揃えて確認する
販売情報を比べる際は、次の順番で見ると対象を取り違えにくくなります。
- 商品説明のエディションを確認する。 グランド・キュヴェという銘柄名だけで判断せず、欲しいエディションかを確かめます。
- 画像と販売対象が一致するかを見る。 写真が代表画像なら、説明文を優先して対象を確認します。表示が曖昧な場合は販売店に問い合わせます。
- 容量と付属品を揃えて価格を比べる。 容量、箱の有無、送料など、表示価格に含まれる条件を確認します。
- 飲み比べでは提供条件も記録する。 グラス、温度、抜栓後の時間などを書き残すと、後から感想を振り返れます。
年やエディションの背景を知ったうえで、目の前の一本を味わう。その往復が、グランド・キュヴェを読み解く楽しみになります。造り方の基礎から確認したい場合は、シャンパーニュ講座もあわせてお読みください。