1990年の造りを、1989年と分けて読む
オー・ブリオンの1989年と1990年は、隣り合うヴィンテージです。同じ生産者の赤であっても、1990年の公式資料と1989年の公式資料に記載された配合は異なります。1990年はメルロー55%、カベルネ・ソーヴィニヨン31%、カベルネ・フラン14%。1989年はそれぞれ41%、50%、9%です。
この違いから分かるのは、両年の造りに用いた品種の構成です。メルローが多い年を自動的に「今飲むと柔らかい」と評価する根拠にはなりません。熟成の進み方には、瓶詰め後の経過や保管、ボトルごとの差も関わります。
収穫から瓶詰めまでの記録
1990年の収穫は9月11日から28日、瓶詰めは1992年9月8日から30日と公表されています。1989年の収穫は8月31日から9月20日、瓶詰めは1991年7月です。日付の差は明確ですが、それだけを使って樽熟成期間を正確に逆算することはできません。
1990年について、生産者は暖かい冬、例外的に暑く乾いた夏、雨の少ない9月を記録しています。年ごとの天候を知る手がかりになる一方、販売中の特定ボトルの品質保証とは別の情報です。
「1989か1990か」を選ぶときに見るもの
比較するなら、まず同じ容量・同等の販売条件を揃えます。続いて、個体写真か代表画像か、液面や漏れ跡、保管履歴の開示範囲、返品・補償条件を販売店に確認してください。高額な熟成ワインでは、ヴィンテージ名が同じでも個体の情報が選択の質を左右します。
公式サイトには1990年のテイスティングノートが掲載されていますが、掲載文の試飲日を確認できませんでした。本稿はそのノートを2026年時点の状態として扱っていません。1989年との共通点と違いは、1989年の解説と合わせ、まず公式記録で読み比べてください。