基本はソムリエナイフ
ワインの開栓は、ソムリエナイフが一本あれば十分です。手順はシンプル。
- ナイフの刃でキャップシール(覆い)を切って外す。
- スクリューをコルクの中心に、まっすぐ刺す。
- てこの段を瓶の縁にかけ、真上に静かに引き抜く。
スパークリングは「飛ばさない」
泡は内圧が高いので注意が必要です。コルクは必ず手で押さえ、瓶のほうを回すのが鉄則。勢いよく飛ばすと危険でワインも噴き出すので、「ポンッ」と小さく、静かに開けるのがスマートです。
開ける道具を選ぶ
「ソムリエナイフが正解」と言われますが、実際には手の力や使う頻度によって向き不向きがあります。
| 道具 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ソムリエナイフ | 刃・スクリュー・てこが一体。二段式は少ない力で抜ける | 一本で完結させたい人。基本にして万能 |
| スクリュープル型(挟み込み式) | 瓶口を挟んでハンドルを回すだけ。ほぼ失敗しない | 力に自信がない人、来客の多い家 |
| T字型(棒に刺すだけ) | 最も安価だが、まっすぐ引き抜く力がいる | おすすめしにくい。コルクを折りやすい |
| アッソ(二枚刃) | 刃をコルクと瓶の間に差し込んで回しながら抜く | 古酒など、崩れやすいコルク向け |
| 電動オープナー | ボタンひとつ。安定して速い | 本数を開ける機会が多い人 |
最初の一本を選ぶなら、二段式のソムリエナイフが結局いちばん潰しが利きます。てこを二段階でかけられるため、長いコルクでも途中で折れにくいのが利点です。
コルクが折れた・崩れたときの三つの対処
慌てないこと。折れても、ワインは何も損なわれていません。
- 上半分が折れた(下半分が残っている) — スクリューを斜めに、瓶の内壁に沿わせるように刺し直し、コルクを壁に押し付けながら引き上げます。まっすぐ刺すと同じ場所で再び折れます。
- ぼろぼろに崩れている(古酒に多い) — 無理をせず、瓶の中へ静かに押し込むのが正解。押し込む音が気になりますが、味わいには影響しません。注ぐときに茶こしを通せば、かけらも取り除けます。
- そもそも抜けそうにない — 瓶口をぬるま湯で軽く温めると、ガラスがわずかに膨張して抜けやすくなることがあります。熱湯は絶対に使わないでください。急激な温度差はガラスを傷めます。
古酒のコルクは、二十年三十年と液体に触れ続けて脆くなっています。最初から折れる前提で、アッソを用意しておくのがいちばん確実です(第29講 ヴィンテージと熟成完全編)。
スクリューキャップにも作法がある
回すだけ、と侮ると意外に失敗します。コツはキャップだけをひねらないこと。片手で瓶の首(キャップの下の金属部分)をしっかり握り、もう一方の手でキャップを回すと、封の切り目がきれいに切れます。瓶を持たずにキャップだけを回そうとすると、封が切れずに空回りすることがあります。
スクリューキャップは安価なワインの印というイメージが残っていますが、ニュージーランドやオーストラリアでは高価格帯にも広く使われており、ブショネ(コルク由来の汚染)のリスクがないという明確な利点があります(用語: スクリューキャップ)。
開けたあとの、小さな確認
抜いたコルクは、捨てる前に一度だけ見ておきましょう。
| コルクの状態 | 読み取れること |
|---|---|
| 側面がしっとり濡れている | 横に寝かせて保管されていた。正常 |
| 全体が乾いてぼろつく | 立てたまま長く置かれた可能性。香りで要確認 |
| ワインが上端まで染みている | 高温にさらされた可能性(液漏れの跡) |
| かび臭い | ブショネの可能性。ただしコルクの匂いだけでは断定できない |
大事なのは、コルクは手がかりであって判定装置ではないということ。最終的な良し悪しは、グラスに注いだワインの香りで決めます(用語: ブショネ)。レストランで供されるコルクを、匂いを嗅いで真剣に検分する必要はありません——手に取って、状態をちらりと見れば十分です(第35講 レストランでのワイン完全編)。
よくある誤解
- 「赤ワインは早めに抜栓しておくと開く」 — 瓶の口の面積はとても小さく、抜栓しただけで空気に触れる量はごくわずかです。香りを開かせたいなら、デカンタージュかグラスの中で待つほうが確実です。
- 「泡は勢いよく開けるほど盛り上がる」 — 危険なうえ、泡も香りも逃げます。栓が飛ぶ事故は実際に起きています。押さえた手を最後まで離さないこと。
- 「キャップシールは全部剥がすべき」 — 決まりはありません。瓶口の出っ張りの下で切る、上で切る、どちらでも構いません。目的は注ぐときに液がシールに触れないようにすることです。