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World — イタリア・トスカーナ/ボルゲリ

オルネッライア(テヌータ・デッロルネッライア)

Ornellaia / 1981年(初V1985年)
オルネッライアのボトル
オルネッライアのボトル / Photo: “Ornellaia” by Foto by nl:gebruiker:Londenp, made on 6th of June, 2005, CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)
どんな造り手?

オルネッライア(テヌータ・デッロルネッライア)は、1981年にロドヴィコ・アンティノーリがボルゲリに開いたスーパータスカンの代表格。ボルドー品種による豊潤でエレガントな赤を生み、1998年ヴィンテージは米ワイン・スペクテーター誌の年間1位に輝きました。メルロー単一の「マッセート」は「イタリアのペトリュス」とも称される双子の至宝です。

ボルゲリの至宝

オルネッライアは、1981年にトスカーナ・ボルゲリで、ロドヴィコ・アンティノーリ(アンティノリ家分家)が開いたスーパータスカンの代表格です。名は敷地に生えるマンナトネリコの木「オルニエッロ」に由来すると説明されます。ティレニア海を望む北マレンマの地で、ボルドー品種による豊潤でエレガントな赤を生み、地中海の陽光を映した凝縮感とエレガンスの両立を身上とします。初ヴィンテージは1985年。醸造を担ったのはハンガリー出身の醸造家ティボール・ガルで、1991年からはボルドーの著名醸造コンサルタント、ミシェル・ロランも助言に加わりました。

叔父マリオ・インチーザ侯爵のサッシカイアが「ボルゲリでもボルドー品種が偉大になれる」ことを証明した土地に、その血縁が満を持して開いた本格エステート——オルネッライアは生まれながらに、ボルゲリの第二章を担う存在でした。

双子の至宝、マッセート

オルネッライアのもう一つの顔が、メルロー単一の「マッセート」です。敷地の中でも青灰色の粘土(ブルークレイ)に覆われた約7haの丘だけは、砂と石の多いボルゲリでは異質な土壌で、ここに植えられたメルローが驚くべき凝縮を見せました。1986年に単独で瓶詰めされて以来、その濃密でビロードのような質感から「イタリアのペトリュス」と称され、2001年ヴィンテージは米ワイン・スペクテーター誌の100点満点を獲得。2019年には丘の中腹に専用ワイナリーが完成し、現在は醸造チームも施設も分けた独立したエステートとして運営されています。

世界一への階段

オルネッライアの名を決定的にしたのは、1998年ヴィンテージです。米ワイン・スペクテーター誌の2001年「トップ100」で第1位(ワイン・オブ・ザ・イヤー)に選ばれ、スーパータスカンが世界の頂点と同じ土俵で戦えることを示しました。

同じ頃、蔵の所有権は大きく動きます。カリフォルニアのロバート・モンダヴィが1999年から段階的に株式を取得し、2002年にいったん完全所有。同年からフィレンツェの名門フレスコバルディ(700年の歴史を持つ貴族の家系)との折半経営に移り、モンダヴィ社の経営が揺らいだ後の2005年、フレスコバルディが完全所有しました。新旧両大陸の名門の手を経て、結局トスカーナの古い家に帰ってきた——という所有の物語も、このワインの厚みの一部です。

醸造家のリレーも豪華です。初代ティボール・ガルのあと、トマ・デュルーが2001年から指揮を執り(2004年にボルドーのシャトー・パルメの総支配人へ転出)、続くアクセル・ハインツが2005年から18年にわたって現在の様式を築きました(2023年にマルゴー2級シャトー・ラスコンブのCEOへ)。現在はボルドーで約17年の経験を積んだマルコ・バルシメッリが、オルネッライアとマッセート双方の生産を率いています。ボルゲリとボルドーを行き来する人材の流れそのものが、この蔵の立ち位置を物語ります。

畑とスタイル

畑はボルゲリの丘に約100ha。メルローカベルネ・ソーヴィニヨンを軸に、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが脇を固めるボルドーブレンドで、新樽およそ7割のバリックで約18か月熟成させます(途中でブレンドしてから樽に戻す二段構え)。サッシカイアの「しなやかで涼しげ」に対し、オルネッライアは豊潤で肉付きがよく、それでいて上品と評される様式。同じ丘の二大巨頭を飲み比べると、ボルゲリという土地の幅が見えてきます。熟成のポテンシャルも高く、第29講 ヴィンテージと熟成完全編の格好の教材です。

アートと結んだ蔵

2006年ヴィンテージからは「ヴェンデミア・ダルティスタ」という試みを続けています。毎年、その年の作柄の個性を一語で表し、現代アーティスト(初回はルイジ・オンターニ)がその言葉を主題に特別ラベルと作品を制作。署名入りの大型ボトル111本はチャリティオークションにかけられ、収益は美術関連の財団に寄付されます。ワインをその年だけの「作品」として世に送る——ムートンのアートラベルとはまた違う、イタリアらしい祝祭的な仕掛けです。

手の届くところから

本体は4万〜5万円台、マッセートは14万円前後〜の別格ですが、入口は豊富です。エントリーのレ・ヴォルテ(トスカーナIGT、3,500〜5,500円前後)は、この蔵の陽気な豊潤さを日常価格で。セカンドのレ・セッレ・ヌオーヴェ(初ヴィンテージ1997年、1万円台前半)まで進むと本体に通じる骨格が現れます。白のポッジョ・アッレ・ガッツェや、2013年に初ヴィンテージを出したソーヴィニヨン・ブラン主体のオルネッライア・ビアンコもあり、赤だけの蔵ではありません(価格はいずれも2026年8月時点の目安)。イタリアワインの奥行きは第7講 イタリア完全編で、ボルゲリ革命の全体像は銘醸図鑑:ボルゲリで。先駆のサッシカイア、革命を起こしたアンティノリとあわせて、トスカーナの物語を味わってください。

よくある質問

オルネッライアとは?
1981年にロドヴィコ・アンティノーリがトスカーナ・ボルゲリに開いた、スーパータスカンの代表格です。メルローとカベルネを軸にしたボルドーブレンドの赤で、豊潤さとエレガンスの両立が身上。サッシカイアと並び、ボルゲリを世界的銘醸地に押し上げました。
名前の由来は?
敷地に生えるマンナトネリコ(フラワーアッシュ)の木のイタリア語名「オルニエッロ(orniello)」に由来すると説明されています。この木の樹液(マンナ)にちなんだ甘口ワイン「オルヌス・デッロルネッライア」も造られています。
「マッセート」とは?
同じ敷地の青灰色の粘土に覆われた約7haの丘から生まれる、100%メルローの特別なワインです。初ヴィンテージは1986年。濃密でビロードのような質感から「イタリアのペトリュス」とも称され、2019年には専用ワイナリーが完成して、現在はオルネッライアから独立したエステートとして運営されています。
評価はどれくらい高いの?
1998年ヴィンテージが、米ワイン・スペクテーター誌の2001年「トップ100」で第1位(ワイン・オブ・ザ・イヤー)に選ばれました。イタリアワインの世界的評価を決定づけた事件のひとつです。また兄弟ワインのマッセート2001は同誌で100点満点を獲得しています。
所有者は誰?
創設者ロドヴィコ・アンティノーリの手を離れたあと、カリフォルニアのロバート・モンダヴィが1999年から段階的に株式を取得。2002年からはフィレンツェの名門フレスコバルディとの共同経営を経て、2005年にフレスコバルディが完全所有しました。700年の歴史を持つトスカーナ貴族の家が、いまのオーナーです。
サッシカイアとの違いは?
どちらもボルゲリのスーパータスカンですが、サッシカイアがカベルネ主体の「しなやかで涼しげ」な様式なのに対し、オルネッライアはメルローを重要に使う分、より豊潤で肉付きのよい味わいと評されます。メルロー単一の「マッセート」を擁する点も大きな個性です。
アートラベルがあるって本当?
本当です。「ヴェンデミア・ダルティスタ」といい、2006年ヴィンテージから毎年、その年の個性を一語で表し、現代アーティストが特別ラベルを制作しています。署名入りの大型ボトルはチャリティオークションに出品され、収益は美術関連の財団に寄付されます。
手頃に試す方法はありますか?
エントリーの「レ・ヴォルテ」(3,500〜5,500円前後)から入るのが定番です。セカンドの「レ・セッレ・ヌオーヴェ」(1万円台前半)まで進むと、オルネッライア本体に通じる豊潤さがはっきり感じられます。白なら「ポッジョ・アッレ・ガッツェ」もあります(価格は2026年8月時点の目安)。

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最終更新: 2026-08-26 / 監修: Vinotier編集部