どんなワインか
レ・フォール・ド・ラトゥールは、ボルドー・ポイヤックの1855年メドック格付け第1級、シャトー・ラトゥールのセカンドワインです。名前は、石垣に囲まれた中心区画「ランクロ」の中にある歴史的な区画名に由来します。この名でラベルが貼られたのは1966年が最初で、シャトーの記録には「非常に良い格付けシャトーの水準のワインを造る」という明確な目標とともに始まった、とあります。
シャトー自身は、品質を磨き続けた結果としてメドックの格付けシャトーに並ぶ水準に達した、と紹介しています。セカンドワインという言葉から「グラン・ヴァンの余り」を想像すると、少し印象が違うかもしれません。グラン・ヴァン、セカンド、サードの「ポイヤック・ド・ラトゥール」という三層構成のなかで、ラトゥールの骨格を比較的早い段階から味わえる位置にあるワインです。
畑と造り
公式サイトによると、レ・フォールのぶどうの出どころは三つあります。
- ランクロの外縁の区画
- グラン・ヴァン用にもなり得る区画のうち、ブレンドの試飲で選抜から外れたもの
- ランクロの外にある、ポイヤックの格付けシャトー級の区画
三つ目には、ピニャダ、プティ・バタイエ、サンタンヌといった、1世紀以上前からシャトーが所有する区画が含まれます。これらは平均樹齢がおよそ40年と高く、シャトーはこれを品質の裏付けとして挙げています。さらに2005年に取得したアルティーグ村の砂利段丘にある約7ヘクタールと、2012年に取得した約5ヘクタールの区画も加わりました。性格の異なる区画を組み合わせることで、年ごとに表情の違う味わいになる、というのがシャトーの説明です。
醸造は、畑でも醸造所でもグラン・ヴァンと同じ手間で行われるとされます。ぶどうの出どころを除けば、目立った違いは**熟成に使う新樽の比率が50〜60%**である点です。ブレンドは年によって変わりますが、メルローが25〜30%程度と、グラン・ヴァンより多くなるのが通例とされています。品種はカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドです。
グラン・ヴァンとの違い
グラン・ヴァン(銘柄図鑑 シャトー・ラトゥール)は、ランクロの中心部にある平均樹齢約60年の古木だけから造られ、ブレンドの9割以上をカベルネ・ソーヴィニヨンが占めます。シャトーは、グラン・ヴァンは飲み頃に入り始めるまで「しばしば10年」かかると説明しています。
これに対しレ・フォールは、メルローの比率が高く、ランクロ外の区画も含みます。海外の販売業者は、グラン・ヴァンより早い段階から親しみやすいワインとして紹介しています。とはいえ主体はポイヤックのカベルネ・ソーヴィニヨンで、骨格を備えたワインであることに変わりはありません。三層の下にあるサードの「ポイヤック・ド・ラトゥール」は、1989年から毎年造られ、若木やレ・フォールの選抜に届かなかったワインが中心で、新樽は約20%、メルローは45%近くとされます。三本を並べると、ぶどうの出どころと新樽比率の段階がそのまま格の違いになっていることがわかります。
飲み頃と楽しみ方
ラトゥールは2011年ヴィンテージを最後にプリムール(先物)販売から撤退しており、レ・フォールもシャトーで熟成させてから蔵出しされます。たとえば2020年ヴィンテージは2026年3月にリリースされたと、海外の販売業者が伝えています。つまり、市場に出た時点で、すでに数年の瓶熟成を経ていることになります。
温度は16〜18℃前後、ボルドー型の大ぶりのグラスが目安です。若いヴィンテージなら、開けてからしばらく時間をおくと香りが開きやすいでしょう。牛肉や仔羊のローストなど、しっかりした肉料理と合わせるのが定番です。価格はグラン・ヴァンの数分の一ですが、それでも数万円台からとなり、ヴィンテージや為替で大きく変わります。格付けの成り立ちは銘醸図鑑 メドック1855年格付け、ボルドー全体の地図は第5講 ボルドー完全編で整理しています。