どんなワインか
オーパス・ワンは、ボルドー第1級シャトー・ムートン・ロートシルトのバロン・フィリップ・ド・ロートシルトと、ナパのロバート・モンダヴィが手を組んで生まれた、ナパ・ヴァレーを代表する赤ワインです。公式は、両家の伝統と革新を合わせて「ナパ・ヴァレーの中心で、比類のないワインを造ること」が創業者のただひとつの目標だったと説明しています。
スタイルは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体にしたボルドー・ブレンド。ナパの日照が育む熟した果実の厚みに、ボルドー流の均整と長い余韻を重ねた、エレガントで長期熟成型のワインと評されます。造られる赤はこのグラン・ヴァンと、セカンドワインの「オーヴァーチュア」だけ。ひとつの銘柄に力を注ぐ姿勢が、ボルドーのシャトーに近いと言われるゆえんです。
公式のテイスティングノートでは、2022年はブルーベリーやカシス、ドライローズの香りに、オリーブや葉巻の箱、黒鉛のニュアンスが重なり、きめ細かなタンニンが長い熟成を予感させると紹介されています。2023年については、赤い果実や桜の花、ドライスミレ、黒鉛、たばこの香りと、シルキーなタンニンが挙げられています。
畑と造り
ぶどうは、ナパ・ヴァレーのオークヴィル西部にある自社畑の4区画から収穫されます。2区画は歴史的名畑トゥ・カロンの中にあり、残る2区画はワイナリーを囲む「バレストラ」と「リバー」です。畑は有機栽培(CCOFの基準)で管理され、オーパス・ワンはナパ・グリーンのワイナリー認証と畑認証を初めて両方取得したワイナリーだと公式は説明しています。区画ごとの面積は公式サイトでは示されていないため、ここでは省きます(生産者ページでは約170エーカーと紹介しています)。
品種構成は年によって変わります。公式資料によれば、2022年はカベルネ・ソーヴィニヨン80%、プティ・ヴェルド8%、カベルネ・フラン6.5%、メルロー5%、マルベック0.5%。果皮との接触(マセラシオン)は20日間でした。2022年の収穫は8月24日に始まり、9月26日に終わっています。収穫期には極端な暑さに見舞われ、熟した区画から先に摘み取るなどの対策を取ったと記されています。
熟成は新しいフレンチオーク樽で18ヶ月。瓶詰め後にさらに約15ヶ月寝かせ、毎年10月1日に新しいヴィンテージが発売されます。
誕生の経緯
公式の年表では、初ヴィンテージは1979年。専用の醸造所はまだなく、初期のワインはロバート・モンダヴィ・ワイナリーの施設で造られました。オークヴィルのハイウェイ29沿いに建つ現在のワイナリーは1989年7月に着工し、1991年10月に完成。1991年の収穫から、この建物で仕込まれるようになりました。合弁の経緯や、1981年のナパ・ヴァレー・ワイン・オークションでの記録、名前の由来などは生産者ページで詳しく紹介しています。
ムートンとモンダヴィという新旧両世界の名門が、ナパでボルドー・スタイルを一本だけ造るという構想は、当時としては前例のないものでした。カリフォルニアのワインが世界の注目を集めはじめた時代の空気を、そのまま映した一本と言えます(第12講 カリフォルニア完全編)。
飲み頃と楽しみ方
若いヴィンテージは果実もタンニンも力強いので、1〜2時間前に抜栓するか、デキャンタで空気に触れさせると香りが開きやすくなります。温度は16〜18℃前後、ボルドー型の大ぶりのグラスが合わせやすい目安です。牛肉のローストや鴨、熟成したハードチーズなど、旨みとたんぱく質のある料理が定番の組み合わせです。
熟成のポテンシャルは高く、公式も2010年のような古いヴィンテージを「まだ長い先がある」として販売しています。セラーで10年以上寝かせ、熟成による香りの変化を楽しむのも、この銘柄ならではの楽しみです(第29講 ヴィンテージと熟成完全編)。ボルドー・ブレンドの考え方は第5講 ボルドー完全編で、まずは家の輪郭をつかみたいなら、セカンドワインのオーヴァーチュアから入る方法もあります。