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料理とのペアリング

鰻(うなぎ)に合うワイン

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刻んだ鰻のかば焼きをのせたご飯の折と、彩りの料理、朱塗りの椀、急須を並べた食卓
刻んだ鰻のかば焼きをのせたご飯の折と、彩りの料理、朱塗りの椀、急須を並べた食卓 / Photo: Richard Iwaki / Unsplash(Unsplash License)
結論

かば焼きやうな重には ピノ・ノワールやマスカット・ベーリーAのような、果実味があって渋みの穏やかな赤 が合わせやすい選択です。たれの甘辛さと焼き目の香ばしさに、赤い果実の香りが同じ方向を向きます。塩やわさびで食べる白焼きなら 甲州や辛口のスパークリング、だしをかけるひつまぶしの締めには 辛口のシェリー(フィノ) と、食べ方で選び分けるのが目安です。

ピノ・ノワール(ブルゴーニュ・日本・ニュージーランドほか)
渋みが穏やかで、赤い果実の香りと酸を持つ。たれの照りと鰻の脂に重くなりすぎず寄り添い、焼き目の香ばしさとも響き合う。
マスカット・ベーリーA(日本)
いちごを思わせる甘い香りが、醤油とみりんの甘辛いたれと同じ方向を向く。和の献立のなかで一本通しやすい。
甲州(山梨ほか)/辛口スパークリング
穏やかな香りとすっきりした後味。塩とわさびで食べる白焼きの、脂の甘みと皮の香ばしさを邪魔しない。
辛口シェリー(フィノ・マンサニーリャ)
辛口で、ナッツを思わせる香りと塩気のニュアンスを持つ酒精強化ワイン。ひつまぶしのだし茶漬けや肝吸いのうま味に重なる。
この記事の目次

鰻は「たれ」か「塩」か——脂の厚みと香ばしさで選ぶ

鰻は、脂の厚みが印象に残る魚です。そこに焼き目の香ばしさが重なり、さらにたれで食べるか、塩やわさびで食べるかで、料理の印象が大きく変わります。だから鰻のワイン選びは、魚だから白、と決めるより、何で味をつけているかを見るのが近道です。

鰻やアナゴをたれをつけずに焼いたものを白焼き、醤油とみりんなどのたれをつけて焼いたものをかば焼きと呼びます。目安を一行にすると、たれには果実味のある軽めの赤、塩とわさびには辛口の白か泡、だしには辛口のシェリー。鰻の脂は酸で切るか、果実味で包むか。この二つを覚えておけば、うな重からう巻きまで選び方が見えてきます。

一方で、タンニンの強いフルボディの赤は、甘辛いたれと合わせると渋みが立ちやすく、鰻の繊細な身の味も覆いがちです。脂があるからと重い赤に寄せすぎないのがコツです。

かば焼き・うな重には、果実味の赤——たれの照りと焼き目に合わせる

かば焼きの味は、醤油・みりんを煮詰めた甘辛いたれと、焦げる手前まで焼いた香ばしさ、そしてふっくらした身の脂でできています。ここで頼りになるのがピノ・ノワールです。渋みが穏やかで、赤い果実の香りと張りのある酸を持つ品種なので、たれの照りに寄り添いながら脂を軽くしてくれます。熟成して土やきのこを思わせる香りが出てきたものは、焼き目の香ばしさとも響き合います。

日本のマスカット・ベーリーAも、うな重に合わせやすい一本です。いちごを思わせる甘い香りが、たれの甘辛さと同じ方向を向きます。考え方はペアリング: 照り焼きやペアリング: 焼き鳥のたれと近く、甘辛い味には果実味の赤と覚えておくと迷いません。どちらも少し冷やして、軽やかに飲むのが目安です。

仕上げに山椒を振ると、爽やかな香りとしびれる辛みでたれの甘さが引き締まります。赤なら香りに軽やかさのあるピノ・ノワール、白を合わせるなら、ライチやバラ、スパイスを思わせる香りのゲヴュルツトラミネールが、山椒の香りと重なりやすい選択肢です。産地は第20講 — アルザス完全編で歩けます。

白焼き・ひつまぶし・う巻き——塩とわさび、だし、卵に合わせる

  • 白焼き(塩・わさび) — たれがないぶん、鰻そのものの脂の甘みと皮の香ばしさが主役です。穏やかな香りとすっきりした後味の甲州や、辛口のスパークリングワインが、脂を流しながら素材の味を邪魔しません。わさび醤油で食べるなら、樽の効いた白より、すっきりしたタイプが合わせやすい目安です。
  • ひつまぶし — 刻んだかば焼きをご飯にまぶし、そのまま、薬味をのせて、だしやお茶をかけて、と食べ方を変えていく料理です。一膳目は軽めの赤、薬味の二膳目は甲州や泡、だしをかける締めには辛口のシェリー(フィノやマンサニーリャ)。ナッツを思わせる香りと塩気のニュアンスを持つ酒精強化ワインで、だしのうま味に重なります。シェリーの産地は第14講 — スペイン完全編へ。一本で通すなら、赤にも白にも寄りすぎないロゼが選択肢です。
  • う巻き — だし巻き卵の甘みとふくらみに、かば焼きのたれが少し。卵のまろやかさには、樽を控えたシャルドネのようなふくよかな白や、ほのかに甘みの残るリースリングが寄り添います。
  • 肝吸い・肝焼き — 肝吸いのだしには辛口シェリーか甲州。ほろ苦い肝焼きには、軽めの赤のほうが苦みと香ばしさを受け止めやすい傾向があります。

合わせにくい組み合わせも知っておくと選びやすくなります。うな重に渋みの強いフルボディの赤は、たれの甘みで渋みが立ちやすい組み合わせ。白焼きに樽香の強い白は、繊細な脂と皮の香りを覆いやすい傾向があります。

鰻屋の座敷から、家で温め直す夜まで——場面で選ぶ

  • 鰻屋でうな重を頼む日 — 焼き上がりを待つあいだに、白焼きと冷えた泡か甲州をグラスで。うな重が届いたら、ピノ・ノワールかマスカット・ベーリーAへつなぐと、白焼きからかば焼きまで一本ずつ通せます。ワインの品揃えは店によって差があるので、なければ日本酒に切り替えるのも自然な流れです。
  • 家でかば焼きを温め直す夜 — 冷蔵庫で少し冷やした軽めの赤を一本。ご飯と吸い物が並ぶ食卓でも、グラス一杯から気負わず開けられます。
  • 人を招いてひつまぶしを囲む日 — 泡で乾杯し、一膳目は赤、締めのだしにはシェリーを小さなグラスで。食べ方の変化に合わせてグラスを替えるのも、ひつまぶしならではの楽しみ方です。

温度は、泡と白は6〜10℃、ピノ・ノワールやマスカット・ベーリーAのような軽めの赤は少し冷やした12〜14℃、辛口シェリーはよく冷やした7〜9℃が目安です。詳しくは提供温度(適温)へ。和の献立全体の合わせ方は第71講 — 和食とワイン完全編とペアリング: 和食、日本のワインは第9講 — 日本ワイン産地巡りも参考にしてください。

鰻(うなぎ)に合うワインのよくある質問

鰻に合うワインは白?赤?
食べ方で選び分けられます。たれのかば焼きやうな重には、ピノ・ノワールやマスカット・ベーリーAのような渋みの穏やかな赤。塩やわさびで食べる白焼きには、甲州や辛口のスパークリングなどの白・泡が目安です。タンニンの強いフルボディの赤は、たれの甘みとぶつかって渋みが立ちやすい傾向があります。
鰻に合うお酒は?
鰻屋では日本酒やビールが合わせられることが多い料理です。ワインなら、かば焼きには果実味のある軽めの赤、白焼きには甲州や辛口の泡、ひつまぶしのだしや肝吸いには辛口シェリー、う巻きにはふくよかな白が中心です。
たれと白焼きで選び方は変わる?
変わります。たれは醤油とみりんの甘辛さと焼き目の香ばしさが主役になるので、果実味のある赤が寄り添います。白焼きは鰻そのものの脂と皮の香ばしさが主役になるので、香りの穏やかな辛口の白や泡で脂を流すのが目安です。わさびを添えるなら、樽の強い白より、すっきりしたタイプが合わせやすくなります。
手頃な一本で合わせるなら?
国産のマスカット・ベーリーAや甲州、チリやニュージーランドのピノ・ノワール、カバなどから、日常に開けられる価格帯でも鰻に合わせやすいものが見つかります。家でうな重を食べる夜なら、少し冷やした軽めの赤を一本用意しておくと、たれの照りを最後まで楽しめます。
ひつまぶしに合うワインは?
一膳目のかば焼きには軽めの赤、薬味をのせる二膳目には甲州や辛口の泡、だしをかける締めには辛口のシェリー(フィノ)と、食べ方の変化に合わせてグラスを替えるのも楽しみ方です。一本で通すなら、赤にも白にも寄りすぎないロゼが選択肢になります。
山椒をかけると合わせ方は変わる?
山椒の爽やかな香りとしびれる辛みが加わると、たれの甘さが引き締まります。赤なら香りに軽やかさのあるピノ・ノワール、白ならスパイスや花を思わせる香りのゲヴュルツトラミネールが、山椒の香りと重なりやすい組み合わせです。

最終更新: 2026-11-04 / 編集: Vinotier編集部