単一区画(宣言年のヴィンテージ・ポート) ナシオナルは、ドウロの名門キンタ・ド・ノヴァルの畑の中心にある、接ぎ木をしていない樹の小さな区画だけから造るヴィンテージ・ポートです。宣言は品質に疑いのない年だけで、生産量は宣言年でも200〜250ケースほど。公式はポートの中でも最も高く評価されるものの一つだとしています。
この記事の目次
どんなワインか
ナシオナルは、ポルトガル北部ドウロ渓谷のキンタ・ド・ノヴァルが造るヴィンテージ・ポートです。公式の歴史によると、キンタ・ド・ノヴァルの名は1715年の土地台帳に初めて現れます。1894年にフィロキセラで荒れた畑を引き継いだ当主が植え直し、1931年のヴィンテージ・ポートとナシオナルの宣言で名声を確立しました。世界恐慌のさなかで多くの生産者が1931年を宣言しなかった中での成功だったと公式は記しています。1993年からはアクサ・ミレジムの傘下にあります。
名前の「ナシオナル」は品種名ではありません。公式は、外国の台木を使わず、ポルトガルの樹がポルトガルの土に直接根を下ろしていること、つまり「国の土に結びついた」ワインであることを表すと説明しています。ポートの種類と造り方は第15講 酒精強化ワイン完全編で学べます。
畑と造り
ナシオナルの区画は、キンタ・ド・ノヴァルの畑の中心にある小さな一角です。接ぎ木をしていない樹が植わり、フィロキセラの被害を受けていないとされます。トウリガ・ナシオナル、トウリガ・フランセーザ、ティント・カン、ティンタ・ロリス、ソウザンなど多くの品種が混ざって植えられた畑です。
仕込みはほかの区画と同じで、花崗岩のラガールで足踏みして果汁を得ながら発酵させます。熟成は容量2,500リットルのオークと栗の樽で18か月です。公式は、ナシオナルが特別なのは醸造の工夫のためではなく、ぶどうと土地そのもののためだという考えを紹介しています。
1994年からは、偉大さに疑いのない年だけを宣言する方針です。生産量は宣言年でも200〜250ケースほどで、2023年は140ケース、2024年は167ケースでした。
飲み頃と楽しみ方
公式の目安では、瓶詰め後5年から100年まで熟成し、15〜17℃で供します。開けたら48時間以内に飲み切るよう勧めています。若いヴィンテージ・ポートは瓶の中に澱ができやすいため、数時間前にボトルを立ててからデキャンタに移すとよいでしょう。ポルトガルの産地全体は第21講 ポルトガル完全編で紹介しています。
※宣言の有無・生産量はヴィンテージにより変わります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
キンタ・ド・ノヴァル ナシオナル ヴィンテージ・ポートの
味わいの目安
- ボディ
- 軽やか重厚
- 酸味
- 穏やか生き生き
- タンニン
- 柔らかしっかり
- 甘辛
- 辛口甘口
公式の説明や一般的な評価をもとにした編集部の目安です。年や熟成の度合いで変わります。
キンタ・ド・ノヴァル ナシオナル ヴィンテージ・ポートの
ヴィンテージ
| 2024 | ナシオナルの区画は9月30日に収穫。雨の多い冬と穏やかな初夏に恵まれた年。生産は167ケース。アルコール19.5%、残糖108g/L。 |
|---|
| 2023 | 暖かく雨の多い冬と、非常に暑く乾いた春の年。区画の収穫は9月20日。12本入り140ケースで、同年のノヴァルのポート生産の0.43%。残糖99g/L。 |
|---|
キンタ・ド・ノヴァル ナシオナル ヴィンテージ・ポートの
ワイン情報
| 名称 | キンタ・ド・ノヴァル ナシオナル ヴィンテージ・ポートQuinta do Noval Nacional Vintage Port |
| 生産者 | キンタ・ド・ノヴァル |
| 位置づけ | 単一区画(宣言年のヴィンテージ・ポート) |
| 種類 | 赤(甘口) |
| 国・地域 | ポルトガル/ドウロ |
| 原産地呼称 | DOポルト(ポートワイン) |
| 主な品種 | トウリガ・ナシオナル、トウリガ・フランセーザ(トウリガ・フランカ)、ティント・カン、ティンタ・ロリス、ソウザン |
| 区画 | キンタ・ド・ノヴァルの畑の中心にある小さな区画。接ぎ木をしない樹が植わり、フィロキセラの被害を受けていない(公式) |
|---|
| 名前の意味 | 外国の台木を使わず、ポルトガルの土にポルトガルの樹が根を下ろしていること(「国の土に結びついた」)を表す。品種名のトウリガ・ナシオナルとは別 |
|---|
| 生産量 | 宣言年に200〜250ケース。2023年は12本入り140ケース(同年のノヴァルのポート生産の0.43%)、2024年は167ケース(公式) |
|---|
| 造り | ほかの区画と同じく、花崗岩のラガール(石の槽)で足踏みして発酵。容量2,500Lのオークと栗の樽で18か月熟成(公式) |
|---|
| 宣言の方針 | 1994年以降、偉大さに疑いのない年だけ宣言する。ノヴァルの通常のヴィンテージと宣言の年が一致しないこともある(1996年はナシオナルのみ宣言、2007年はナシオナルを見送り) |
| 飲み頃の温度 | 15〜17℃(公式の目安) |
| グラス | ポートグラスか小ぶりのワイングラス |
| 飲み頃の目安 | 公式は瓶詰め後5年から100年まで熟成するとし、開けたら48時間以内に飲むよう勧めている |
品種の比率や熟成の方法は年によって変わります。価格は為替・流通で大きく変動するため、目安としてご覧ください。
よくある質問
「ナシオナル」はトウリガ・ナシオナルのことですか?
いいえ。公式は、外国の台木を使わずポルトガルの樹がポルトガルの土に直接根を下ろしていることから「ナシオナル(国の)」と呼ぶと説明しています。区画にはトウリガ・ナシオナルのほか、トウリガ・フランセーザ、ティント・カン、ティンタ・ロリス、ソウザンなど多くの品種が混ざって植えられています。
ノヴァルのヴィンテージ・ポートとはどう違いますか?
同じ蔵の畑から同じ方法で仕込みますが、ナシオナルは接ぎ木なしの小さな区画だけから造られ、宣言の年も必ずしも一致しません。公式によれば、1996年はノヴァルのヴィンテージを宣言しなかった年にナシオナルだけを宣言し、2007年は逆にナシオナルを見送りました。両方を宣言する年でも、ワインはいつも大きく異なるとされます。
出典・確認日
生産者の公式資料などをもとにした解説です(試飲レビューではありません)。
最終更新: 2026-10-22 / 編集: Vinotier編集部