「第4の色」
赤・白・ロゼに続く第4の色として注目されるのがオレンジワインです。白ぶどうを、赤ワインのように果皮ごと漬け込んで造るのが特徴。果皮から色や渋み、複雑な風味が移り、その名のとおりオレンジがかった色合いになります。
白なのに渋い、不思議な魅力
白ワインでありながら、タンニン(渋み)やうま味、ナッツや紅茶のような複雑さを持つのが個性。実はワイン造りの古い手法に由来し、ジョージアなどの伝統が再評価されて広まりました。少し高めの温度で、和食からエスニックまで幅広い料理に寄り添います。日本では甲州で造られることもあります。
造りの違いが、そのまま味の違いになる
オレンジワインを分けるいちばんの変数が、スキンコンタクト(果皮浸漬)の長さです。
- 数日〜1週間程度 — 色は薄い黄金〜淡いオレンジ。タンニンは控えめで、白ワインの延長として飲めます。入門向き。
- 2週間〜1か月 — はっきりしたオレンジ色、明確な渋みとうま味。もっとも「オレンジワインらしい」帯。
- 数か月〜半年 — 濃い琥珀色。紅茶、ドライフルーツ、ナッツの複雑な香り。個性が強く、好みが分かれます。
もうひとつの変数が容器。ステンレスや樽のほか、ジョージアの伝統である素焼きの甕クヴェヴリを地中に埋めて使う方法があります。アンフォラ(陶器の壺)を使う造り手も各地に広がっています。
代表的な産地
- ジョージア — クヴェヴリを使う製法が長く続いてきた土地で、この手法はユネスコの無形文化遺産に登録されています。ルカツィテリなどの土着品種が使われます(第30講)。
- イタリア・フリウリ(コッリオ) — 1990年代以降、この地の造り手たちが再評価の中心となったと語られます。リボッラ・ジャッラなどが代表品種です。
- スロヴェニア — フリウリと国境を接し、伝統と現代的な解釈が共存しています(第38講)。
- 日本 — 甲州を果皮ごと醸したタイプが各地で造られています。日本の食卓との相性を意識した造りが多く見られます。
ロゼとの違いを、もう一度
混同されやすい二つを整理します。
| 軸 | オレンジワイン | ロゼワイン |
|---|---|---|
| 原料 | 白ぶどう | 黒ぶどう |
| 造り | 果皮ごと長く漬ける | 果皮から短時間だけ色を取る |
| タンニン | あり(明確に感じる) | ほとんどない |
| 温度 | 12〜16度 | 8〜10度 |
つまり両者は「色が近い」だけで、出発点も、目指す方向も逆です。
最初の一本の選び方
いきなり半年浸漬のタイプに手を出すと、面食らうかもしれません。まずは浸漬期間が短めの、色の淡いものから。売り場では「スキンコンタクトは何日くらいですか」と尋ねれば、店員が方向性を教えてくれます。
抜栓後すぐは香りが閉じていることが多く、時間とともに開くのもこのスタイルの特徴です。翌日のほうがおいしくなることも珍しくありません。
濁りやタンニンは「欠陥」ではない
オレンジワインは、濾過を控えて濁りを残しているものが少なくありません。また、白ワインとして飲むと渋みが強く感じられます。これらは造りの結果であり、劣化ではありません。
「白ワインの一種」と思って飲むと戸惑いますが、「軽い赤ワインの仲間」として扱うと、温度も料理もすんなり決まります。自然派の文脈で語られることが多いスタイルでもあります(用語: ナチュラルワイン)。