「赤は肉、白は魚」の先へ。色・重さ・強さを揃えるという原則さえつかめば、料理とワインの相性は自分で選べます。相乗と対比、そして和食まで。

第26講保存とサービングで「一本を最大限おいしく」する術を学びました。次は「料理と合わせる」楽しみです。「赤は肉、白は魚」は良い出発点ですが、それだけでは説明できない相性がたくさんあります。でも大丈夫。いくつかの原則さえつかめば、相性は自分で選べるようになります。
柱は三つ。「色・重さ・強さを揃える大原則」「相乗と対比」「同郷で合わせる」。そして避けたい組合せと、日本人にうれしい和食のペアリングまで。まずは、いちばん頼れる大原則から。
迷ったら、この三つを料理とワインで「揃える」だけ。色(赤い料理には赤、白い料理には白)、重さ(軽い料理には軽いワイン、こってりには力強いワイン)、強さ(味の濃さ・繊細さのレベル)。どちらか一方が勝ちすぎないよう釣り合いを取るのが基本です。「赤×肉/白×魚」も、突きつめればこの原則の一例にすぎません。

こんがりした肉には赤、淡い白身魚には白。ソースの色に合わせるのも手。ステーキ×赤が王道。赤
繊細な料理に重い赤は禁物。脂ののったサーモンなら、軽い赤やコクのある白も合う。白
濃い味には濃いワイン、薄味には繊細なワイン。どちらかが相手を消さないバランスが要。
「重さ」がいちばん効く 色より先に、じつはボディ(重さ)を合わせると失敗しません。脂ののった魚には軽い赤が合い、あっさりした鶏には白が合う——色の枠を超えて考えると、選択肢がぐっと広がります。
合わせ方には二つの方向があります。ひとつは相乗(似た者同士)——濃厚な料理に濃厚なワイン、酸のある料理に酸のあるワイン。もうひとつは対比(正反対をぶつける)——脂っこい料理に酸やタンニンで口をさっぱりさせ、塩気に甘みを添える。この二つを知っておくと、狙って選べます。
こってり×フルボディ、爽やか×爽やか。方向性をそろえて「同じ世界観」で満たす。
揚げ物×泡や酸で口直し、塩気×果実味。ぶつけて互いを引き立てる。天ぷら×泡が好例。泡
脂には酸か泡 いちばん覚えておきたい対比が「脂×酸」。揚げ物やこってり料理には、酸のきいた白やスパークリングを。第6講シャンパーニュの泡は、脂を切ってリセットする最強の相棒です。
迷ったときの魔法の言葉が「同郷(同じ産地)で合わせる」。同じ土地で育った料理とワインは、長い年月をかけて互いに寄り添うよう発展してきたため、たいてい好相性です。理屈抜きで決まる、頼れる裏ワザです。
第18講ロワールの辛口白×牡蠣・魚介。海辺の白は、海の幸のために生まれた。白
プロヴァンスのロゼ×地中海の野菜・魚料理。乾いた土地の軽やかさが料理に寄り添う。ロゼ
迷ったら産地をそろえる 「この料理、どこの国のもの?」と考え、同じ国・地方のワインを選ぶ。それだけで大きく外しません。旅先の食卓を思い出すような、物語のある合わせ方です。
「合う」を知る前に、「合わない」を避けるだけで失敗は激減します。代表的な地雷は三つ。タンニンの強い赤×生魚(生臭さや金属的な味が出やすい)、繊細な料理×強すぎるワイン(樽や高アルコールが料理を消す)、そして甘い料理×辛口ワイン(ワインが酸っぱく痩せて感じる)。
渋い赤と生魚は生臭くなりがち。刺身や寿司には、泡・軽い白・オレンジワインを。寿司・刺身参照。
薄味の料理に濃厚な樽ワインは料理が負ける。強さのレベルを落として合わせる。
デザートには「料理より甘いワイン」を。チョコには甘口や酒精強化が正解。甘口
甘さは甘さで受ける 甘いデザートを辛口ワインと合わせると、ワインだけが酸っぱく感じられます。第19講貴腐と甘口で学んだ甘口ワインは、まさにデザートのためのもの。「料理より甘く」を合言葉に。
和食は繊細で、出汁のうまみや醤油・薬味が主役。実はスパークリング・軽い辛口白・オレンジワイン・軽い赤が驚くほど幅広く合います。強い樽や重い赤は和食を押し流しがち。「軽やかで、酸のあるもの」を基本に選ぶと、失敗がありません。
天ぷら・焼き鳥・揚げ物に。泡と酸が脂を切り、うまみを引き立てる。和食全般の安全牌。泡
わさびや生姜は繊細なワインを消す。香りの穏やかな白やオレンジで受け止める。白
醤油とみりんの甘辛には、果実味ゆたかな軽い赤。ピノ・ノワールやガメイが好相性。赤
もっと知りたいなら 当サイトのペアリング集では、寿司・天ぷら・焼き鳥・すき焼き・カレーなど、料理別のおすすめを個別にまとめています。「この料理に何を合わせよう?」と迷ったら、のぞいてみてください。
ペアリングの柱は「色・重さ・強さを揃える」「相乗と対比」「同郷で合わせる」。避けたいのはタンニン×生魚・繊細×強すぎ・甘い料理×辛口。和食には泡と軽い白。これだけ知っていれば、もう大きくは外しません。ペアリングに絶対の正解はなく、原則を手がかりに自分の「おいしい」を探すことが、いちばんの醍醐味です。
実践のコツが身についたら、また世界の産地へ。次はアメリカ北西部、冷涼なオレゴンのピノ・ノワールと、力強いワシントンの赤。オレゴン&ワシントン編で、カリフォルニアとは一味違うアメリカをご案内します。