一つの川の流域に、まったく違う二つの顔。北の「シラー単一」と、南の「ブレンド」。対照のなかにローヌの奥行きがあります。

ローヌ川に沿って南北に長く広がるこの産地は、北部と南部でまるで別のワイン産地です。北は急斜面の畑でシラー単一の優美な赤を、南は広い大地でグルナッシュ主体のブレンドによる豊潤な赤を生みます。第4講ブルゴーニュ(単一品種)と第5講ボルドー(ブレンド)の両方の性格を、一つの産地の中に併せ持っているとも言えます。
急峻な斜面に張り付くように畑が作られ、赤はすべてシラー単一。黒胡椒やスミレ、燻したような複雑な香りと、しなやかで長命な味わいが特徴です。少量の白ぶどうを一緒に醸す伝統もあります。
「焼けた丘」の意。最北の銘醸地。香り高く優美なシラー。白ヴィオニエを少量加えることも。赤
力強く重厚、長期熟成型。北ローヌのシラーの頂点とされる。赤
白ぶどうヴィオニエの聖地。あんずや花の華やかな香りの白。白
広い産地で手頃。北ローヌのシラー入門に最適。赤
温暖な南部では、グルナッシュを主体に、シラーやムールヴェードルなどをブレンド(通称GSM)。果実味豊かで、アルコール感のある力強い赤になります。代表シャトーヌフ・デュ・パプでは、なんと最大13品種の使用が認められています。

南ローヌの王。丸石の畑、多品種ブレンド。豊潤で力強く、温かみのある赤。赤
シャトーヌフに次ぐ実力派。同様の力強いブレンド赤を、より手頃に。赤
広域名の日常ワイン。コスパ抜群で、ローヌ入門の定番。赤
辛口ロゼの名産地。しっかりした味わいで食事に合う「飲むロゼ」。ロゼ
「教皇の新しい城」 Châteauneuf-du-Pape は中世に教皇庁がアヴィニョンに置かれた時代に由来。フランス初の原産地呼称(AOC)制度の礎を築いた産地としても知られます。
ローヌは、北のシラー単一と南のGSMブレンドという、一つの産地に同居する二つの哲学が魅力でした。入門は、北の個性ならクローズ・エルミタージュ、南の豊潤さならコート・デュ・ローヌから。余裕があれば両方を並べて、シラー単一とブレンドの違いを味わってみてください。
次回はいよいよ足元へ。世界が注目しはじめた日本ワインの産地を巡ります。