ワインガイド Vinotier
Grand Vin / 銘醸図鑑

ピュリニー・モンラッシェ

Puligny-Montrachet / フランス・ブルゴーニュ
ピュリニー・モンラッシェ村のぶどう畑と村並み
ピュリニー・モンラッシェ村のぶどう畑と村並み / Photo: “Puligny-Montrachet - Vignoble” by Benjamin Smith, CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
ひとことで言うと

世界の辛口白ワインの頂点と広く見なされる、ブルゴーニュ・コート・ド・ボーヌの村。ほぼシャルドネのみから、張りつめた酸・火打石のミネラル・白い花を備えた気品ある白が生まれます。同じ村名でも生産者ごとに作風がはっきり違うのが、この村を知る面白さです。

「白ワインの頂点はどこか」——この問いに、世界中のワイン愛好家の多くが挙げるのが、ブルゴーニュ・コート・ド・ボーヌの小さな村ピュリニー・モンラッシェです。村の南端にそびえるモンラッシェの丘は、辛口白ワインの聖地。1879年、村はこの名畑にあやかり、元の村名「ピュリニー」に「モンラッシェ」を付け加えました(隣村シャサーニュも同じことをしています)。

なぜこの村は特別なのか

畑はほぼシャルドネのみ(白が生産量の99%超)。石灰岩を多く含む斜面が、張りつめた酸と火打石を思わせるミネラルを与えます。BIVB(ブルゴーニュワイン委員会)が公式に挙げる香りの描写は、サンザシの花、ヘーゼルナッツ、レモングラス、青リンゴ、蜂蜜、そして火打石——豊かでありながら、どこか凛としている。この「気品と凝縮感の両立」こそ、ピュリニーの代名詞です。

この村にはもうひとつ、有名な事情があります。地下水位が高く、深い地下カーヴがほとんど掘れないのです。ブルゴーニュの村々に当たり前にある深い地下蔵の迷宮を持たず、熟成庫は地上や村外に置かれます。この制約が、隣村より樽の効きを抑えた端正な作風の伝統につながった、と語られることもあります。

畑の格付け — モンラッシェの丘

秋のバタール・モンラッシェ特級畑と石垣
秋のバタール・モンラッシェ。石垣に囲まれた特級畑が黄金に染まる / Photo: “Bâtard-Montrachet in autumn” by Tomas er, CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

村内に畑を持つグラン・クリュ(特級)は4つ。頂点のモンラッシェ、その斜面上部のシュヴァリエ・モンラッシェ、下部のバタール・モンラッシェ、そして小さなビアンヴニュ・バタール・モンラッシェです。モンラッシェとバタールの2つは、村境をまたいで隣のシャサーニュ村と共有されています(クリオ・バタール・モンラッシェはシャサーニュ側のみ)。

その下に17のプルミエ・クリュ(一級)レ・ピュセルレ・フォラティエールレ・コンベットル・カイユレなどは、特級に肉薄すると評される名畑です。ピラミッドの土台には村名クラスがあり、ここが「憧れへの入口」になります。

生産者で選ぶ、という楽しみ

同じ村名ワインでも、造り手が違えば表情はまるで違います。純度と緊張感を極めるルフレーヴ、洗練のソゼ、クラシックで手の届きやすいペルノ、豊満なボワイヨ——下のカードで、主要ドメーヌの作風を見比べてみてください。「村で選び、生産者で決める」。それがブルゴーニュ、とりわけこの村のいちばん豊かな楽しみ方です。基礎からたどりたい方は、第4講ブルゴーニュ完全編をどうぞ。

主要生産者と作風

※各ドメーヌの作風は一般的な評価に基づく傾向です。キュヴェやヴィンテージにより表情は変わります。

村の頂点 / ビオディナミ

ドメーヌ・ルフレーヴ

Domaine Leflaive

1905年創設、村を代表する名門。アンヌ・クロード・ルフレーヴのもと1990年代にいち早くビオディナミへ全面転換した先駆者として知られます。張りつめた純度と気品を兼ね備えた、ピュリニーの理想像と評される存在です。

絶対的リファレンス

エティエンヌ・ソゼ

Etienne Sauzet

20世紀初頭に始まる名門。ジェラール・ブドの時代に名声を確立し、現在は孫娘夫妻が運営。「極上のフィネスと洗練」と評され、ルフレーヴと並びこの村の基準と見なされます。2010年からビオディナミ。

大地主 / クラシック

ポール・ペルノ

Paul Pernot

村最大級の畑所有者のひとつで、名一級レ・フォラティエールの最大所有者。新樽を約25%に抑えたクラシックな造りで、果実の純度と石灰的なミネラル、そして価格に対する品質の高さに定評があります。

1520年から続く一族

ジャック/フランソワ・カリヨン

Jacques Carillon / François Carillon

16世紀の文書にまで名が残る古い一族。2010年にドメーヌが兄弟で分かれ、ジャックフランソワそれぞれの名で造られています。端正で滋味ぶかい、村の伝統を感じさせる作風で知られます。

ネゴシアンの雄

オリヴィエ・ルフレーヴ

Olivier Leflaive

ルフレーヴ家のオリヴィエが1984年に設立したネゴシアン(買いぶどうでも自ら醸造する先駆け)。村の広場でホテルとレストランも営み、ピュリニー入門の窓口として親しまれています。手の届きやすい価格帯から村の個性に触れられます。

ソゼの血筋 / 豊満派

ジャン・マルク・ボワイヨ

Jean-Marc Boillot

エティエンヌ・ソゼの孫にあたり、1991年にソゼの畑の一部を相続。村では珍しく赤白どちらも高評価を得る造り手で、白は凝縮感のあるリッチな作風。「引き締まったピュリニー」とは対照的な魅力です。

モノポールの家

ジャン・シャルトロン

Jean Chartron

1859年創業。一級クロ・デュ・カイユレクロ・ド・ラ・ピュセル、特級シュヴァリエ・モンラッシェ内のクロ・デ・シュヴァリエなど、単独所有畑(モノポール)を複数抱える珍しいドメーヌです。

シャトーの後継

ドメーヌ・ド・モンティーユ

Domaine de Montille(旧 Château de Puligny-Montrachet)

17世紀のシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェは、2001年からヴォルネイのエティエンヌ・ド・モンティーユが再建しビオディナミへ転換。2012年に買収され、2017年ヴィンテージ以降はド・モンティーユ名義に統合されました。

よくある質問

ピュリニー・モンラッシェとシャサーニュ・モンラッシェの違いは?
どちらもモンラッシェの丘を挟む隣村ですが、ピュリニーは「タイトで花のよう、酸とミネラルが際立つ」、シャサーニュは「より重厚で丸く、果実味が前面」と対比されるのが定番です。特級モンラッシェとバタール・モンラッシェは、両村にまたがっています。
ピュリニー・モンラッシェの当たり外れを避けるには?
この村は生産者の腕が味に直結します。ルフレーヴ、ソゼ、ペルノ、カリヨンなど定評あるドメーヌ、またはオリヴィエ・ルフレーヴなど信頼できるネゴシアンの名前で選ぶのが確実です。村名クラスでも造り手が良ければ、村の個性は十分に楽しめます。
最初の一本には何を選べばいい?
まずは村名クラス(約1.5〜3万円)を。オリヴィエ・ルフレーヴやポール・ペルノは比較的手が届きやすく、村の「緊張感のあるミネラル」を体験できます。特別な日に一級レ・フォラティエールやレ・ピュセルへ進むのがおすすめの階段です。

最終更新: 2026-07-18 / 監修: Vinotier編集部