ワインガイド Vinotier
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The Practice — Blind Tasting at Home

自宅ブラインドテイスティング実践

シリーズの集大成。「当てる」ゲームではなく、これまでの知識を総動員してグラスの中身を"読み解く"ための、家でできる体系的な練習法。

産地深掘りシリーズの締めくくり。第1〜9講で学んだ品種・味のものさし・産地・造りを、いよいよ実戦投入します。
— Prologue

なぜブラインドなのか先入観を外すと、感覚が育つ

ラベルを見ると、人は「高いから美味しいはず」「ボルドーだから力強いはず」と脳が先に答えを作ってしまいます。ラベルを隠す=ブラインドは、その先入観を外して、グラスの中身そのものと向き合うための訓練です。目的は銘柄を当てることではなく、「なぜそう感じたか」を言葉にする力を鍛えること。

第1講のテイスティング4ステップを土台に、ここでは「観察→推理→検証」を一つの流れにします。家にあるグラスとワインで、今日から始められます。

— Chapter 1

準備するもの難しい道具はいらない

ワイン2〜3本

最初は「赤白1本ずつ」や「同じ品種の産地違い」など対比が分かりやすい組合せが◎。

ボトルを隠す袋

紙袋やアルミホイルでラベルを完全に覆う。協力者に注いでもらえれば理想。

白い紙とメモ

色を見る背景に白い紙。下のシートを印刷して書き込むと記録が残る。

グラスの並べ方

1番
2番
3番

番号だけ振り、どれが何かは伏せておく。注ぐ量は各40〜60ml程度で十分。

— Chapter 2

読み解きの流れ観察から推理へ、5つの問い

第1講の「見る・嗅ぐ・味わう」に、推理の問いを重ねます。順番に自問していくのがコツ。

  1. 色を見る— 若い? 熟成してる? 濃い? 淡い?白の黄金色は熟成や樽のサイン。赤の紫は若さ、煉瓦色は熟成(第2講)。色の濃さは品種やボディの手がかり。
  2. 香りを取る— 果実は? 樽は? 熟成香は?第2講の3層。フレッシュな果実=若い/バニラ・トースト=樽/革・きのこ=熟成。柑橘か黒系果実かで品種を絞る。
  3. 味わいの骨格— 酸は? 渋みは? ボディは? アルコールは?第1講の5つのものさしで採点。高い酸=冷涼産地、強い渋み=カベルネ系やネッビオーロ、高アルコール=温暖産地(第2講テロワール)。
  4. 仮説を立てる— 旧世界型? 新世界型? どの品種?「高い酸+控えめ果実=冷涼な旧世界」「豊潤な果実+高アルコール=温暖な新世界」。第5講の"ブルゴーニュ型かボルドー型か"の問いが効く。
  5. 答え合わせ— 当たり? なぜ外れた?袋を外して確認。外れても大歓迎——「この渋みをカベルネと思ったがメルローだった」など、ズレの理由を言葉にするほど感覚が補正される。
— Chapter 3

手がかり早見表この特徴は、こう読む

感じたこと考えられること
とても高い酸冷涼な産地(ブルゴーニュ、ドイツ、シャンパーニュ、日本など)/若いワイン
強くザラつく渋みカベルネ・ソーヴィニヨン、ネッビオーロ、若い赤。厚い皮の品種(第5講)
バニラ・トーストの香りオーク樽での熟成(第2講)。新世界シャルドネや高級赤に多い
高いアルコール・ジャム感温暖な産地(新世界、南ローヌ、豪シラーズなど)
黒胡椒・スパイスシラー/シラーズの可能性(第8講)
革・きのこ・ドライフルーツ熟成したワイン(第2講の第3アロマ)
柑橘+ハーブの爽快な白ソーヴィニヨン・ブラン(第1講)
淡い色なのに強い渋み・酸ネッビオーロ/ピノとの見分けどころ(第7講)

当てるより、辿る ブラインドの上達は「正解数」ではなく「推理の筋道の確かさ」で測ります。外した時こそ、どの手がかりをどう読み違えたかが最高の教材です。

— Chapter 4

テイスティングシート印刷して書き込む

1杯ごとにこのシートを埋めていきます。書くことで、感覚が言葉になり、記憶に残ります。

Tasting Note — No.____

淡い / 中 / 濃い ・ 紫 / ルビー / 煉瓦 / 黄金…
香り果実 / 花 / 樽 / スパイス / 熟成香…
酸味低 ―― 中 ―― 高
渋みなし ―― 中 ―― 強(赤のみ)
ボディライト ―― ミディアム ―― フル
余韻短い ―― 中 ―― 長い
仮説品種 / 産地(旧・新)/ 年代
答え(袋を外して記入)
— Chapter 5

おすすめの練習メニュー対比で組むと一気に伸びる

① 品種の対比

カベルネ vs ピノ・ノワール。渋みと色の濃さの差を体に覚えさせる。第1講の品種が立体に。

② 産地の対比

同じ品種を旧世界 vs 新世界で。サンセール vs マールボロのソーヴィニヨン・ブランなど(第3講)。

③ 左岸 vs 右岸

ボルドーのカベルネ主体 vs メルロー主体。構造の違いを探る(第5講)。

④ 温度の実験

同じワインを冷えた状態と室温で。温度で香りと印象がどう変わるか(第1講)。

— Épilogue

講座を終えるあなたへここからが本当のスタート

基礎から世界の銘醸地、そして実践まで——全10講、おつかれさまでした。ですが、ワインの学びに終わりはありません。ここで身につけたのは知識そのものより、グラスと向き合い、感じたことを言葉にする"型"です。あとはひたすら、楽しみながら飲み、辿り、比べていくだけ。

最初の講座でお伝えした言葉を、もう一度。ワインに「正解」はありません。あなたが「おいしい」と感じた一杯が、あなたにとっての正解です。その確信を、これからは"なぜ美味しいか"まで語れる解像度とともに。