ワインガイド Vinotier
How To — 楽しみ方

テイスティング

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ワインのテイスティング
ワインのテイスティング / Photo: “Yerevan Wine Days Tasting Package” by Bogossi Production, CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
ひとことで言うと

テイスティングとは、ワインを見る・嗅ぐ・味わうの順に観察し、その特徴を読み解くことです。色・香り・味わいを意識して味わうだけで、ワインの理解と楽しさが大きく深まります。

「味わう」を少し意識するだけ

テイスティングは専門家だけのものではありません。色を見て、香りを嗅ぎ、口に含む——この流れを少し意識するだけで、いつものワインがぐっと豊かに感じられます。

基本の4ステップ

  1. 見る — 色合いや濃さ。若さや品種のヒントになります。
  2. 嗅ぐ — 果実・花・スパイス・樽などの香り。
  3. 味わう — 甘み・酸・タンニン・ボディのバランス。
  4. 余韻 — 飲み込んだあとに香りや味がどれだけ続くか。

途中でスワリング(グラスを回す)と、ワインが空気に触れて香りが開きます。

上達のコツは「飲み比べ」

一番の近道は比べること。「同じ品種を産地違いで」「赤と白を並べて」飲むと、違いが浮かび上がり、感じたことを言葉にしやすくなります。第10講のブラインド実践は、その総仕上げです。

香りは「三つの層」に分けて考える

香りを言葉にできない最大の理由は、いきなり細かい名前を探そうとするからです。まずどこから来た香りかで三つに分けると、一気に整理がつきます。

由来よく使われる表現
第一の層(ぶどう由来)品種そのものが持つ香りベリー、柑橘、青草、花、ハーブ、香辛料
第二の層(発酵由来)酵母や乳酸発酵から生まれる香りパン、ヨーグルト、バター、酵母
第三の層(熟成由来)樽と瓶の中の時間が生む香りヴァニラ、トースト、なめし革、キノコ、枯葉

若いワインは第一の層が中心で、年を重ねるほど第三の層が主役になっていきます。「果実の香りが前に出ているから若い」「土や革の香りが強いから熟成している」——この見立てができるだけで、テイスティングは急に立体的になります(第29講 ヴィンテージと熟成完全編)。

味わいは五つの物差しで測る

口に含んだときに確かめるのは、次の五つです。当てるためではなく、比べるための座標軸だと考えてください。

  • 甘み — 辛口か、ほのかに甘いか、はっきり甘いか。
  • — 口の中で唾液が出る感じの強さ。冷涼な産地ほど強い傾向があります。
  • タンニン(赤のみ) — 口の中が乾く感覚。量だけでなく、きめの細かさも(用語: タンニン)。
  • ボディ — 液体の重さの印象。水と牛乳のあいだのどこか、と考えるとつかみやすくなります。
  • 余韻 — 飲み込んだあと、香りと味が何秒残るか。一般に長いほど質が高いとされます。

慣れないうちは、この五つをそれぞれ「弱い・中くらい・強い」の三段階で決めるだけで十分です。細かい形容詞は後からついてきます(第31講 テイスティングの言葉完全編)。

スワリングの、正しいやり方

グラスを宙で回そうとすると、たいてい溢れます。テーブルに置いたまま、脚を持って小さく円を描くのが確実な方法です。ボウルの底の液体が壁面に薄く広がり、香りが立ち上がれば成功。派手に振り回す必要はまったくありません。

なお、スパークリングは回しません。せっかくの炭酸が抜けてしまいます。泡のワインは、立ち上がる泡そのものが香りを運んでくれるので、静かに置いておけば十分です。

家でできる、三つの練習メニュー

  1. 同じ品種、違う産地 — 例えばシャルドネを、冷涼な産地と温暖な産地で一本ずつ。酸の強さと樽の使い方の差が、驚くほどはっきり出ます。
  2. 同じワイン、違う温度 — 一本を、よく冷やした状態と、少し置いて温度が上がった状態で。同じ液体とは思えない変化を体験できます(提供温度(適温))。
  3. 同じワイン、違うグラス — 万能型とコップで飲み比べる。「グラスで変わる」が実感に変わります(ワイングラス)。

いずれも、変える要素をひとつだけにするのが要点です。二つ以上変えると、何が効いたのかわからなくなります。

感じ方を邪魔しないための環境

  • 香りの強いものを近くに置かない — 香水、柔軟剤、灰皿、生花。テイスティングの前は自分の手も洗っておきます。
  • 明るく、白い背景で — 色を見るなら白い紙やテーブルクロスの上が理想です。
  • 空腹すぎない状態で — 極端な空腹はアルコールの影響を強めます。水を並走させるのも忘れずに。
  • メモを一行だけ残す — 「酸が強い、レモン、好き」。それで十分です。記録は語彙の貯金になります。

よくある誤解

  • 「テイスティングは品種を当てるゲーム」 — 違います。目的は次に選ぶ一本の精度を上げること。当てられなくても、好みの輪郭がはっきりすれば成功です。
  • 「高いワインほど違いがわかりやすい」 — むしろ逆のことが起こります。高価なワインは要素が複雑に溶け合っているぶん、初心者には輪郭がつかみにくいことがあります。個性のはっきりした手頃な一本のほうが、練習には向きます
  • 「音を立ててすするのが正式」 — 空気と一緒に含む方法は香りを立たせるための技術ですが、必須ではありません。食事の席では無理に真似しなくてかまいません(第35講 レストランでのワイン完全編)。

よくある質問

テイスティングの基本手順は?
①色を見る ②香りを嗅ぐ ③口に含んで味わう ④余韻を確かめる、の順です。難しく考えず、意識を向けるだけで十分です。
スワリング(グラスを回す)はなぜ?
ワインを空気に触れさせ、香りを立ちやすくするためです。回したあとに香りが開くのを確かめてみましょう。
上手くなるコツは?
「同じ品種を産地違いで」「赤と白を並べて」など飲み比べることです。違いを意識すると、表現できる言葉が増えていきます。
香りをうまく言葉にできません。どうすればいいですか?
いきなり細かい名前を探さず、まず大きなカテゴリーで絞るのがコツです。果実か、花か、香辛料か、樽や土の系統か。次に果実なら、赤い果実か黒い果実か、柑橘か白い果実か、と二段階で降りていきます。専門用語より、自分の記憶にある匂いのほうが役に立ちます。
スワリング(グラスを回す)はどう回すのが正しいですか?
慣れないうちは、グラスをテーブルに置いたまま脚を持ち、小さく円を描くように回すのが安全で確実です。ボウルの底の液体が壁に薄く広がれば十分で、大きく振り回す必要はありません。泡のワインは回すと炭酸が抜けるため、回さないのが基本です。
テイスティングは品種や産地を当てられないと意味がないのでしょうか?
そんなことはありません。当てることは目的ではなく、違いに気づくための手段です。「前に飲んだものより酸が強い」「この香りは好きだ」と言えるようになるだけで、次に選ぶ一本の精度は確実に上がります。

最終更新: 2026-08-09 / 監修: Vinotier編集部